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社会保障審議会・介護給付費分科会での検討を経て各サービスの人員・設備・運営基準を定める省令改正案がまとまりました。1月3日までパブリックコメントが募集されているところです。
同分科会では、直前まで特定施設の人員要件緩和や新たな委員会設置の義務付けなどに対する反対意見も出ていましたが、これらも改正項目に盛り込まれています。新しく対応が義務づけられる内容や基準緩和される内容を漏れなく確認しておきましょう。
※編集注:本ページに記載内容は基本的に「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案」を引用したものですが、新たに義務化(努力義務を含む)される部分を太字表記、要件緩和(経過措置の延長を含む)となる部分を下線表記にしています。
退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、医師等の従業者が、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者に対し退院後の指定訪問リハビリテーションを提供する際に、リハビリテーション計画の作成をするに当たっては、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書を入手し、内容を把握することを義務付ける。
訪問リハビリテーション事業所を更に拡充する観点から、介護老人保健施設及び介護医療院の開設許可があったときは、訪問リハビリテーション事業所の指定があったものとみなす。その際、当該施設の医師の配置基準を満たすことをもって、当該事業所の医師の配置基準を満たしているものとみなす。
ア 委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の設定等の高齢者虐待防止のための措置の実施状況や更なる周知の必要性を踏まえ、当該取組の義務付けの経過措置期間を3年間延長し、令和9年3月31日までとする。
イ 感染症や非常災害の発生時の業務継続に向けた、計画の策定及び周知、研修及 び訓練(シミュレーション)の実施等の義務付けの経過措置期間を3年間延長し、令和9年3月 31 日までとする。
退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、医師等の従業者が、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者に対し退院後の指定通所リハビリテーションを提供する際に、リハビリテーション計画を作成するに当たっては、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書を入手し、内容を把握することを義務付ける。
1(1)②の訪問リハビリテーションの見直しに伴い、介護保険法第 72 条第1項の規定による通所リハビリテーション事業所に係るみなし指定を受けている介護老人保健施設及び介護医療院についても同様に、当該施設の医師の配置基準を満たすことをもって当該事業所の医師の配置基準を満たしているものとみなす。
ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修を受講するよう努めなければならないこととする。
提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、(看護)小規模多機能型居宅介護の管理者による他事業所の職務との兼務について、兼務可能な他事業所のサービス類型を限定しないこととする。
全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による介護保険法の改正により、看護小規模多機能型居宅介護のサービス拠点での「通い」「泊まり」における看護サービスが含まれる旨が明確化されたことに伴い、所要の改正を行う。
福祉用具の一部の貸与種目・種類について、特定福祉用具販売の対象に加えることとしているところ、福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売の対象となる貸与種目・種類の福祉用具 (以下「選択制の対象福祉用具」という。)の貸与又は販売に当たっては、福祉用具専門相談員が、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることについて、利用者等に対し、十分説明することを義務付ける。
また、利用者の選択に当たって必要な情報を提供するとともに、医師や専門職の意見、利用者の身体状況等を踏まえ、提案を行うことを義務付ける。
福祉用具貸与のモニタリングを適切に実施し、サービスの質の向上を図る観点から、福祉用具貸与計画の記載事項にモニタリングの実施時期を追加する。
福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、福祉用具貸与について、介護予防福祉用具貸与と同様に、福祉用具専門相談員が、モニタリングの結果を記録し、その記録を介護支援専門員に交付することを義務付ける。
福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、選択制の対象福祉用具に係る福祉用具貸与の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、利用開始後6月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、貸与継続の必要性について検討を行うことを義務付ける。
福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、選択制の対象福祉用具に係る特定福祉用具販売の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、特定福祉用具販売計画の作成後、当該計画における目標の達成状況を確認することを義務付ける。
福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、選択制の対象福祉用具に係る特定福祉用具販売の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、利用者等からの要請等に応じて、販売した福祉用具の使用状況を確認するよう努めるとともに、必要な場合は、使用方法の指導、修理等(メンテナンス)を行うよう努めることとする。
事業者の負担軽減を図るため、次に掲げる事項に関して利用者に説明し、理解を得ることを居宅介護支援事業者の努力義務とする。
人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から、次に掲げる要件を設けた上で、少なくとも2月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月において、テレビ電話装置等を活用したモニタリングを行うことを可能とする。
ア 利用者の同意を得ること。
イ サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
基本報酬における取扱件数との整合性を図る観点から、指定居宅介護支援事業所ごとに1以上の員数の常勤のケアマネジャーを置くことが必要となる人員基準について、次のとおり見直す。
ア 原則、要介護者の数に要支援者の数に1/3を乗じた数を加えた数が44以下であれば必要なケアマネジャーの員数は1とし、44 の倍数(44 に満たない端数の場合も含む。)ごとに1ずつ増すこととする。
イ 指定居宅介護支援事業者と指定居宅サービス事業者等との間において、居宅サービス計画に係るデータを電子的に送受信するための公益社団法人国民健康保険中央会のシステムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合においては、 要介護者の数に要支援者の数に1/3を乗じた数を加えた数が49 以下であれば必要なケアマネジャーの員数は1とし、49の倍数(49 に満たない端数の場合も 含む。)ごとに1ずつ増すこととする。
ア 指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援の指定を受ける場合の人員配置指定居宅介護支援事業者が指定を受けて指定介護予防支援を行う場合の人員に関する基準については、次のとおりとする。
イ 市町村に対する情報提供
市町村において管内の要支援者の状況を適切に把握する観点から、指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援の指定を受けて介護予防支援を行うに当たって、市町村から情報提供の求めがあった場合は、介護予防サービス計画の実施状況等を市町村に情報提供することとする。
ウ その他、指定居宅介護支援事業者が指定を受けて指定介護予防支援を行うに当たって、所要の規定の整備を行う。
テクノロジーの活用等により介護サービスの質の向上及び職員の負担軽減を推進する観点から、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会において、生産性向上の取組に当たっての必要な安全対策について検討した上で、見守り機器等の複数のテクノロジーの活用、職員間の適切な役割分担等の取組により、介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていると認められる指定特定施設に係る当該指定特定施設ごとに置くべき看護職員及び介護職員の合計数について、常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が(要支援者の場合は10)又はその端数を増すごとに0.9 以上であることとする。
全ての指定特定施設において、口腔衛生管理体制の確保を促すとともに、入所者の状態に応じた口腔衛生管理を更に充実させる観点から、口腔衛生管理体制を整備し、各入居者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行わなければならないこととする。その際、3年の経過措置期間を設ける。
高齢者施設内で対応可能な医療の範囲を超えた場合に、協力医療機関との連携の下で適切な対応が行われるよう、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する地域の医療機関等と実効性のある連携体制を構築するために、以下の見直しを行う。
ア 協力医療機関を定めるに当たっては、以下の要件を満たす協力医療機関を定めるように努めることとする。
ⅰ 入所者の病状の急変が生じた場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
ⅱ 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること。
イ 1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、当該協力医療機関の名称等について、当該事業所の指定を行った自治体に提出しなければならないこととする。
ウ 入所者が協力医療機関等に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入所させることができるように努めることとする。
新興感染症の発生時等に、事業所内の感染者への診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築するため、あらかじめ、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努めることとする。また、協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合においては、当該第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応について協議を行うことを義務付ける。
離島や過疎地域に所在する小規模介護老人福祉施設における効率的な人員配置を可能とする観点から、以下の見直しを行う。
ア 離島・過疎地域に所在する定員30名の指定介護老人福祉施設に指定短期入所生活介護事業所又は指定介護予防短期入所生活介護事業所(以下「指定短期入所生活介護事業所等」という。)が併設される場合において、当該指定短期生活介護事業所等の医師については、当該指定介護福祉施設の医師により当該指定短期生活介護事業所等の利用者の健康管理が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができることとする。
イ 離島・過疎地域に所在する定員30名の指定介護老人福祉施設に指定通所介護事業所、指定短期入所生活介護事業所等、指定地域密着型通所介護事業所又は併設型指定認知症対応型通所介護の事業を行う事業所若しくは併設型指定介護 予防認知症対応型通所介護の事業を行う事業所が併設される場合において、当該併設される事業所の生活相談員、栄養士又は機能訓練指導員については、当 該指定介護老人福祉施設の生活相談員、栄養士または機能訓練指導員により当該事業所の利用者の処遇が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができることとする。
ウ 離島・過疎地域に所在する定員30名の指定介護老人福祉施設に指定小規模多機能型居宅介護事業所又は指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が併設される場合において、当該指定介護老人福祉施設の介護支援専門員については、当該併設される指定小規模多機能型居宅介護事業所又は指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員により当該指定介護老人福祉施設の利用者の 処遇が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができることとする。
介護老人福祉施設があらかじめ定めることとされている緊急時等における対応方法について、配置医師及び協力医療機関の協力を得て定めることとし、また、1年に1回以上、見直しを行うことを義務づける。
ユニットケアの質向上のための体制を確保する観点から、ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修を受講するよう努めなければならないこととする。
ア 以下の要件を満たす協力医療機関(ⅲの要件を満たす協力医療機関にあっては、病院に限る。)を定めることを義務付ける(複数の医療機関を定めることにより要件を満たすこととしても差し支えないこととする。)。その際、一定の経過措置期間を設けることとする。
ⅰ 入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
ⅱ 診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。
ⅲ 入所者の病状の急変が生じた場合等において、当該施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。
イ 1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、当該医療機関の名称等について、当該事業所の指定を行った自治体に提出しなければならないこととする。
ウ 入所者が協力医療機関に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入所させることができるように努めることとする。
新興感染症の発生時等に、施設内の感染者への診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築するため、あらかじめ、第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努めることとする。
また、協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合においては、当該第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時の対応について協議を行うことを義務付ける。
介護現場の生産性向上の取組を推進する観点から、現場における課題を抽出及び分析した上で、事業所の状況に応じた必要な対応を検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら事業所全体で継続的に業務改善に取り組む環境を整備するため、 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置を義務付ける。その際、3年間の経過措置期間を設けることとする。
事業所内での「書面掲示」を求めている事業所の運営規程の概要等の重要事項について、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、「書面掲示」に加え、原則としてウェブサイトに掲載することを義務付ける。その際、1年の経過措置を設けることとする。
提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者が兼務できる事業所の範囲について、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。
身体的拘束等の適正化を推進する観点から、次に掲げる見直しを行う。
ア 短期入所系サービス及び多機能系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の設置、指針の整備、研修の実施)を義務付ける。その際、 1年間の経過措置期間を設けることとする。
イ 訪問系サービス、通所系サービス、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、居宅介護支援及び介護予防支援について、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととする。また、身体的拘束等を行う場合の記録を義務付ける。
今回の改正はパブリックコメントの募集を経て、1月下旬に正式に成立することになります。介護報酬改定の実施タイミングがまだ定まっていないため、改正省令の内容が有効になるのも「4月1日又は6月1日」とされています。
なお、集約された意見はその内容と意見を考慮した結果や対応も示されることになります。現場の課題を伝える貴重な機会にもなりますので、意見がある場合は年内にコメントを送るようにするとよさそうです。
介護経営ドットコムの記事を制作・配信している編集部です。日々、介護事業所を経営する皆さんに役立つ情報を収集し、発信しています。