介護事業所のM&Aで成功するために──売り手・買い手が押さえるべき姿勢とポイント

ホーム ニュース 専門家コラム 介護事業所のM&Aで成功するために──売り手・買い手が押さえるべき姿勢とポイント

介護業界では、事業承継や経営戦略の一環として「M&A(企業の合併・買収)」を検討する事業所が増えています。
事業拡大、後継者問題の解決、人材確保など、目的はさまざまですが、いずれも「より良い経営環境を実現したい」という点では共通しています。
この記事では、介護事業所のM&Aを進めるうえで、売り手側・買い手側それぞれに求められる姿勢と重視すべきポイントを整理して解説します。

M&Aにおいて最も大切なのは「誠実さ」

M&Aは双方の信頼関係の上に成り立ちます。
自社の利益だけを追うのではなく、「双方にとってより良い結果を生む」ことを意識し、情報開示や交渉の場面で誠実な対応を取ることが成功の鍵です。

売り手側に求められる姿勢とポイント

1.情報機密を厳守する

契約が成立する前にM&A情報が漏れると、従業員の離職や利用者の解約、取引先の撤退といった事態に発展しかねません。

関係者全員が機密保持の重要性を理解し、厳重に管理する必要があります。

2. ありのままの情報開示を行う

企業の良い面だけを強調せず、課題やリスクも含めて正確な情報を共有する姿勢が重要です。

事実と異なる情報を開示すれば、買い手からの信頼を失い、交渉が破談になるリスクもあります。

また、売却価格を有利に見せるための不正会計(売上の過大計上、経費の除外など)は、デューデリジェンスで明らかになる可能性が高く、事前に是正しておくことが求められます。

3. タイミングを逃さない

業績や市場環境は日々変化します。

条件に固執せず、好機を逃さない柔軟な判断も成功には欠かせません。

4. 信頼できる専門家に相談する

M&Aには法務・税務・会計など幅広い専門知識が必要です。

経験豊富な専門家(M&Aアドバイザーなど)に相談し、慎重に進めましょう。

買い手側に求められる姿勢とポイント

1. 情報管理の徹底

売却情報は企業にとって極めてセンシティブです。

買い手もまた、取得した情報を外部に漏らさないよう細心の注意を払う必要があります。

2. 利害関係者への配慮

M&Aは経営陣だけでなく、従業員・利用者・取引先にも大きな影響を与えます。

不安を与えないよう、丁寧な説明と誠実な姿勢が求められます。

3. M&Aの目的を明確にする

「仲介会社に勧められた」「オーナーと気が合った」などの理由で進めてしまうと、目的を見失いがちです。

事業拡大、新規分野参入、人材確保など、自社にとってのM&Aの目的を明確にしたうえで判断しましょう。

4. デューデリジェンスを徹底する

デューデリジェンス(買収監査)は、売り手企業の財務・法務・人事リスクを事前に洗い出す重要なプロセスです。

未払残業代、簿外債務、法令違反などのリスクを把握せずに買収を進めると、後に大きな損失を招くおそれがあります。

5. 専門家に相談する

売り手同様、買い手側もM&A専門家に相談しながら進めることで、適切な判断が可能になります。

M&Aで起こりやすい失敗事例

  • M&Aの現場では、次のようなトラブルがよく見られます。
  • 信頼できないアドバイザーの選定
  • 機密情報の漏洩による破談
  • 情報開示不足による誤評価
  • 不正会計や簿外債務の見落とし
  • 相手との交渉姿勢が不誠実
  • 自社目的を明確にしないままのM&A実行
  • コンプライアンス違反
  • デューデリジェンスの不十分さ

いずれも事前準備と誠実な姿勢で回避できます。

デューデリジェンスの種類とポイント

財務デューデリジェンス

財務状況や税務リスク、簿外債務(未払賞与・退職金・債務保証など)を確認し、企業の収益力を把握します。

法務デューデリジェンス

契約内容、知的財産権、訴訟リスク、許認可の承継可否などを調査します。
特に介護事業では「許認可の承継」が重要です。

人事デューデリジェンス

労務管理や人材マネジメント体制を確認します。
退職金の積立不足や未払い残業代、従業員離脱リスクなどを把握することが重要です。

まとめ

介護事業所のM&Aは、「売って終わり」「買って終わり」ではありません。 目的は、統合後の健全な経営と持続的な成長です

不誠実な対応や不正な情報開示は、最悪の場合訴訟に発展することもあります。 双方が誠実な姿勢で向き合い、正確な情報をもとに交渉を進めることが、M&A成功の第一歩です。

カイポケM&Aサービスで安心のサポートを

介護事業所のM&Aに関するご相談は、「カイポケM&Aサービス」で受け付けています。 専門スタッフが、初歩的な質問から具体的な売却・買収のご相談までサポートいたします。

*カイポケM&Aサービスはこちら

介護・障がい・医療に特化した仲介サービス
お問い合わせはこちら 無料価格査定
お役立ち情報をメルマガでお届け 今すぐ登録 はじめやすく、ずっと使える 介護・看護・障害福祉ソフトカイポケ
関連記事
畑山浩俊
2026.01.30
デイサービスで利用者が怪我|家族から「虐待」を疑われた場合の正しい対応【弁護士が解説】
#サービス共通 #リスク管理
小濱道博
2026.01.19
2027年度介護報酬改定の核心とは?―介護保険部会の意見書から小濱道博氏がわかりやすく解説
#サービス共通 #介護保険部会 #報酬改定
杉山晃浩
2026.01.08
新年を抱負だけで終わらせない―介護事業を続けるための中期目標と“伴走者”の選び方
#人材採用/定着 #サービス共通 #起業・開業/事業拡大