年々種類が増え、複雑さが増している加算について、9月30日に開かれた社保審・介護給付費分科会では、多くの有識者が簡素化・シンプル化を提言しました。
下記資料から分かる通り、2000年当初の介護報酬における加算は、ごくごくシンプルなものでした。各サービスごとの加算数は一桁に留まり、それに伴うサービスコード数も合計1,745。
しかし2020年現在、介護老人保健施設の加算にいたっては54種類に、サービスコード数は計24,905にまで増大しています。
加算の分かりにくさや複雑さが現場の負担を大きくしているとして、多くの委員が基本報酬への組み込みや一部加算の廃止を提言しました。
中でも焦点とされたのが、平均算定率が80%を超えるものと、年間算定率1%未満の加算についてです。
これについて、健康保険組合連合会の河本滋史氏は「平均算定率が80%を超えるものについては、普及したものと考えられる。基本サービス方針に要件を組み込むような形で評価をし、報酬体系の簡素化を図るべき」と発言し、多くの委員が賛同しました。
一方で、年間算定率が極端に低いまたは算定実績のない加算に対しては、基本的に廃止する方向の意見が多いものの、算定できない理由や背景を精査するべきという慎重な意見も挙がりました。
日本看護協会の齋藤訓子参考人は算定実績が少ない加算について「主に地域密着型の小規模な施設の加算が取得できていない。夜間配置などの要件が厳しいのではないか」と指摘しました。
加算の再検討に関して様々な意見が交わされた中、コロナ禍での現場の負担や将来への不安感の拡大を危惧し、スピード感を持った方針決定を要望する声も多数。次期報酬改定に向け、早期の方針決定が期待されます。
引用:第186回社保審・介護給付費分科会「令和3年度介護報酬改定に向けて(介護人材の確保・介護現場の革新)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月2日掲載のものです。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。