2024年度の介護報酬改定後の算定構造や単位が公表され、介護老人福祉施設(特養)の基本報酬が大幅に引き上げとなることが明らかになっています(※リンク先:社保審・介護給付費分科会)。
また、加算についても、透析を要する入所者の送迎への対応を評価する「特別通院送迎加算」や、認知症の行動・心理症状(BPSD)への平時からの対応を評価する「認知症チームケア推進加算」など、9種類の加算が新設されます。
こちらのページでは介護老人福祉施設の基本報酬の新旧比較と24年度加算の概説をまとめています。
なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、特養の改定実施時期は4月1日です。
2024年度介護報酬改定で、介護老人福祉施設(特養)・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の基本報酬は、いずれの分類でも大幅に引き上げられます。
改定前後の基本報酬に関する比較表は以下の通りです。
※すべて1日あたり
(現行)
(改正後)
(従来型個室)
(多床室)
(ユニット型個室)
(【表】「令和6年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」(改正告示案。社保審了承済み)を基に作成)
介護報酬改定後の算定構造については、以下の資料をご参照ください。
第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料2-2】|厚生労働省
24年度改定で特養に新設される加算は、以下の9種類です。
具体的な単位数や要件を以下に概説します。
定期的かつ継続的に透析を必要とする入所者(家族や病院等による送迎が困難である等やむを得ない事由がある者)に対し、施設職員が月12回以上の送迎を行った場合を評価する加算です。
協力医療機関との実効性のある連携体制を構築するため、入所者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価する加算です。
50単位/月(2025年度~)
協力医療機関の要件
入所者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行うことを評価する加算です。
施設内で感染者が発生した場合の適切な対応を促すため、以下を評価する新たな加算が設けられます。
また、感染対策に係る一定の要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けることも新たに評価します。
(新設)
<高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)>
<高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)>
必要な感染対策や医療機関との連携体制を確保した上で新興感染症などに感染した高齢者を施設内で療養を行うことを評価する加算です。
(※)現時点で指定されている感染症はありません。
認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぐため、あるいは出現時に早期に対応するための平時からの取組を推進するために新設される加算です。
※認知症専門ケア加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している場合は、算定不可。
<認知症チームケア推進加算(Ⅰ)>
<認知症チームケア推進加算(Ⅱ)>
介護保険施設の管理栄養士が、介護保険施設の入所者等の栄養管理に関する情報について、他の介護保険施設や医療機関等に提供することを評価する加算です。
対象者
(※)疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容を有する腎臓病食、肝臓病食、糖尿病食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓病食、脂質異常症食、痛風食、嚥下困難者のための流動食、経管栄養のための濃厚流動食及び特別な場合の検査食(単なる流動食及び軟食を除く。)
現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた「介護職員等処遇改善加算」(4段階が設定)に一本化されます。
介護職員等処遇改善加算の算定単位は加減算後の総報酬単位数にサービス種別ごとに設定された加算率を掛け合わせて算出します。
【介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護】
※2024年度末まで経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、改定による加算率の引上げを受けられるようにすることなどの激変緩和措置を講じる。
介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、
こうした取組みを評価する加算です。
<生産性向上推進体制加算(Ⅰ)>
<生産性向上推進体制加算(Ⅱ)>
(※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について
(※2)見守り機器等のテクノロジーの要件
ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、介護老人福祉施設(特養)の改定事項は32項目あります。
※各改定項目の内容(概要、厚労省説明資料)はリンク先の資料をご確認ください。
第239回社会保障審議会介護給付費分科会【参考資料1】
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理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。