4月になると新卒職員が入職してきますね。
若い方にのびのびと働いてもらい、その力を延ばすために、組織内のコミュニケーション強化は重要です。そこで参考にしていただきたいのが、世界的に認知されたリサーチベースのコンサルティング会社・ギャラップ社が公表している「2023年版 ギャラップ職場の従業員意識調査:日本の職場の現状 リーダーのための5つの洞察」です。
今月は、こちらのレポ―トを参考に、介護職員とのコミュニケーションとエンゲージメントの高め方について考えてみます。
アメリカのギャラップ社は、世界的に認知されたリサーチベースのコンサルティング会社です。経営コンサルティング、従業員エンゲージメント調査、世論調査など幅広い分野でサービスを提供しています。同社は、組織のリーダーがより良い意思決定を行い、従業員の生産性を向上させることを支援するために活動しています。そのミッションは、世界中の職場や社会において、重要な洞察とアドバイスを提供することにより、人々の生活と顧客組織の業績を向上させることです。
冒頭で紹介した同社のレポートには、日本企業にとって驚くべき結果が掲載されています。
まずは、”日本人の72%がエンゲージしていない”という現実です。
従業員エンゲージメントには、従業員の仕事や職場への関与と熱意が反映されます。従業員は、基本的なニーズが満たされ、貢献する機会、帰属意識、学び、成長する機会があるときに、エンゲージした状態になります。
その逆に、エンゲージしていない状況というのは、ただ職場にいて、時計をみつめて終業時間が来るのを待っているような状況を指します。彼らは必要最低限の努力しかせず、会社との心理的つながりが断ち切られています。生産性は最低限で喪失感が強く、職場から分断されていると感じているため、「エンゲージしている従業員」と比べて、ストレスや燃え尽きをより強く感じやすいようです。
働き方改革がなかなか進まない日本の現状を表している結果だと思います。
スタッフの多くがエンゲージメントが低い状況を改善せず何もしなければ、スタッフのエンゲージメントはさらに下がっていくでしょう。なぜなら、これまでの日本では、ずっと下がり続けているからです。
しかし同レポートは、日本再生のヒントを与えてくれています。日本の組織におけるエンゲージメントの低い従業員への対応が、組織の成長と変化を促す大きなチャンスであると伝えてくれています。
エンゲージメントの低い従業員は、もっとコミュニケーションを取り、励ましやインスピレーションを受けることを求めています。リーダーやマネジャーがこのような従業員に対して少し接し方を変えるだけで、彼らはより積極的でエンゲージメントの高いチームメンバーへと変わる可能性があります。
このレポートを受けて、あなたの職場ではどのような行動を選択しますか。ギャラップ社に調査依頼をするのか、それともとりあえずは自社で対応してみるのか、経営者によって考え方の違いはあります。
「あなたならどうするのか」ぜひ、考えて、それを行動に移してください。もしも、エンゲージメントが低いスタッフばかりだったとしたら、あなたの会社の未来はどうなっていくのか想像してみて下さい。
(画像出典:米ギャラップ社「2023年版 ギャラップ職場の従業員意識調査:日本の職場の現状 リーダーのための5つの洞察」より)
このレポートではギャラップ社が開発したQ12®と呼ばれる12個の質問を使って従業員エンゲージメントが測定されています。12個の質問がどのようなものかご覧ください。
Office SUGIYAMA グループ代表。採用定着士、特定社会保険労務士、行政書士。1967年愛知県岡崎市生まれ。勤務先の倒産を機に宮崎県で創業。20名近くのスタッフを有し、採用定着から退職マネジメントに至るまで、日本各地の人事を一気通貫にサポートする。HRテックを精力的に推進し、クライアントのDX化支援に強みを持つ。著書は『「労務管理」の実務がまるごとわかる本(日本実業出版)』『新採用戦略ハンドブック(労働新聞社)』など