訪問看護ステーションの経営数字~数字を武器にするための思考・入門編~

2022.04.04
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1.はじめに…訪問看護の市場拡大に伴い参入事業所は今後も増加する

2021年6月時点で訪問看護事業所が約1万3,000事業所開設されており、2040年に向けてさらに参入企業が増えると予想されます(参考:全国訪問看護事業協会・令和3年度 訪問看護ステーション数 調査結果)。

2040年には年間死亡者数は168万人でピークを迎えるといわれています。

その状況に対処できるように、国としても在宅サービスの整備・拡充に力を入れていかざるを得ないし、企業としても需要が高まるところに参入していくという流れは当然といえます。

2.訪問看護における生産性の向上と効率化が定義できていますか

この記事を読んで下さっている方にも「この数年で、自分の地域に訪問看護事業所が増えたな」と感じている方は多いのではないでしょうか?

近隣地域に参入企業が増えてくる中で自社を成長・発展させるには、できるだけ1度の訪問で収益を上げ、かつ稼働を増やす必要があります。

これを実現するには、「生産性の向上」や「効率化」が重要になってきます。

それでは、訪問看護事業における「生産性」や「効率化」とは何を指すのでしょうか?

また、そこを理解した上で経営数字をモニタリングし、スタッフに指示を出す事が出来ているでしょうか?

今回は、「生産性」や「効率化」をどう捉えていけばいいのかについて解説していきます。

3. 効率化とは何か?「生産性の向上」を計算して現場に活かす

ここからは皆さまに問題を解いてもらいながら「生産性」の向上と「効率化」についてお伝えします。

CASE:限られた時間で販売する商品の優先順位をどのようにつけるか

突然ですが、立場を変え、あなたは商品販売スタッフを育成する販売課長になったと考えてください。

わずか3時間勤務のスタッフに以下の商品をどう優先順位をつけて販売するように指示をしますか?

商品A  9,000円 在庫4点
商品B  6,000円 在庫10点
商品C  4,000円 在庫12点

【間違いやすい考え方】

よくある回答は「値段が高い商品Aから順番に販売していく」です。

売上を最大限にしたいのだから単価が高い商品をたくさん売りたくなるし、それが最も効率的な気がするから、などと考えられるためでしょう。

では、あなたが販売スタッフの立場だとして、以下の条件で働く場合はどちらを選ぶでしょうか?

A 日給1万円のアルバイト
B 日給1万5,000円のアルバイト

この条件だけだと普通はBを選びますね。
ここで追加条件を出します。

A 勤務時間 AM11:00~PM4:00(5h)
B 勤務時間 AM9:00~PM7:00(10h)

このような内容でもBを選びますか?
A、Bの求人を時給換算してみると

A 1万円/日→10,0005=2,000円/h
B 1万5,000円/日→15,00010=1,500円/h

効率的に稼げるのはAだとわかると思います。

「生産性」と「効率化」を数字に変換する

アルバイトの例の様に、「生産性」や「効率」は(得られるもの)(それに割く資源)で導き出すことができます。

先に示した例題の回答は、実は、「情報が足りずに判断ができない」が正解という事になります。

この例では、「商品A」「商品B」「商品C」を販売するのに「どれくらい労力がかかるのか?」という情報が足りませんでした。

仮に、
「商品A」に40分(高単価のためじっくり接客が必要)
「商品B」に20分(少し説明が必要)
「商品C」に10分(ご自身で試してもらう)

をそれぞれ要するとしたら、時間当たりの単価は以下のように算出できます。

画像

時間当たりでみたときに効率の良いものから優先的に販売していくと3時間の売上は以下の通りとなります。

画像

もし時間当たりの効率を考慮せず、商品単価が高い順番で販売していたとしたら3時間の売り上げは以下のようになります。

時間効率を考えて販売した場合とでは2万4,000円の差が出てしまいました。

ここまでの例えをまとめると、「時間」という資源を「効率的」に活用することで、生産性が向上するということになります。

訪問看護事業における「生産性」と「効率化」を表す指標とは?

訪問看護事業においてもサービスは限られた時間で提供する必要があり、なおかつ介護保険・医療保険の単価は決まっています。

どの分野に力を入れ、訪問の割合を増やしていくかを検討することが重要です。

皆さまは普段どういった指標を毎月確認しながら業務を進め、会社としての「生産性」と「効率」を評価していますか?

以下に私が普段評価している指標の一部をご紹介します。

画像

立ち上げ当初は事業所全体の指標を確認していく事が重要ですが、スタッフ数が増え、看護部門、リハ部門ができてきたときに全体の指標だけでなく、部門ごとの指標も重要になってきます。

詳細であればあるほど具体的な方針や解決方法が見えてきます。

4. 自社の「生産性」とは何か?今一度定義を

今回は「生産性」と「効率」を数字で考え、捉えていくというところをお伝えしました。

感情論や感覚で判断するのではなく、しっかりと数字で判断して考えていく事により、何に集中すべきか、優先すべきかが見えてきます。

その指標は今回紹介した指標に限りません。自社にとっての「生産性」と「効率」とは何かを改めて検討し、数値に落とし込んでみて下さい。

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