(※5月25日一部表現や記載内容を修正しました)
介護の周辺業務の効率化を目指す厚生労働省の施策に、各種手続きにつかう行政文書の”ローカルルール”の削減があります。
これに関連して、国が示している「標準様式例」の活用状況や、負担軽減策の検証を目的とした、実態調査の結果が公表されました。 多くの自治体がローカルルールを採用しており、標準様式例の活用による行政手続きの標準化はまだ十分に進んでいるとは言えないようです。
また、加算算定に関する文書削減も今後の検討のテーマです。現状、算定基準を満たしていても事務負担を理由に算定していない加算が有る事業所の割合は4分の1を超えています。
この調査は、介護保険部会の専門委員会が2020年度から検討を重ねてきた「介護分野の文書に係る負担軽減」策の取組みが、現場にどの程度普及しているかを探ることを目的としたものです。また、今後、加算の届出の際に自治体に提出する添付文書の簡素化や標準化を検討するための基礎資料の収集も兼ねています。
(【画像】「介護分野の文書の簡素化・標準化・ICT化に関する調査研究事業 報告書概要版」より)
厚労省はこれまで、指定申請・報酬請求・指導監査の3分野について、国が示す標準様式の使用の原則化などを進めてきました。一方で、自治体によってはこの標準様式の作成や提出以外に独自ルールを介護サービス事業者に課しています。
厚労省はこうしたローカルルールを精査し、必要のないルールを見直すよう通知しており、2024年度の介護報酬改定に併せて、国の示した標準様式例の使用を基本ルールとする方針も打ち出しています。
(*参考:地域による独自ルール等に関する資料の公表について(厚生労働省老健局 高齢者支援課介護業務効率化・生産性向上推進室2023年5月30日事務連絡)
(介護保険法施行規則の一部を改正する省令等の公布等について(通知) )
全国の自治体(都道府県及び市町村)を対象としたアンケートの集計によると、加算の届出に係る様式例の活用について、「すべての様式例を利用している」との回答が全体の約9割となっています。しかし、「修正を加えずに利用している」自治体は55.9%と6割に届いていませんでした。
(【画像】厚労省「令和4年度における介護分野の文書に係る負担軽減に関する取組の進捗状況等について」より)
次に、2021年4月から22年9月までに更新申請を行った介護サービス施設・事業所を対象とした調査です。調査期間は22年12月〜23年1月です。 回答内訳は以下の通りです。
対象事業所のうち、全体で67.3%の事業所が2021年度以降に加算の届出を行ったことが「有り」と回答しました。
算定している加算のうち、届出に係る事務負担が特に負担が大きいと感じる加算の種類は、算定対象外である居宅介護支援以外のすべてのサービスで「介護職員処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ等支援加算」の処遇改善に係る加算の割合が高くなっています。
処遇改善に係る加算で届出の負担が大きくなっている要因について、ヒアリング結果では、「処遇改善に係る加算の計画書は、入力する値を事前に計算する作業が煩雑。賃金改善額のうち加算による改善分等を抜き出して報告するため、給与計算ソフト上の数値を貼り付けるだけでは完成しない。計画書と実績報告書で賃金改善の集計対象月が異なるため、同じ集計作業を二度実施しなければならない点も負担」といった具体的な意見が示されました。
また、算定基準を満たしているものの届出にかかる事務負担が大きいために算定していない加算「有り」と回答した事業所は全体の26.5%にのぼりました。
事務負担が大きいために算定していない加算として、最も多く挙げられた加算をサービス別に示します。
※介護老人福祉施設や介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護は対象が少ないことに注意
なお、届出に係る負担感はまだ大きいものの、各種の施策の確実な効果も伺えます。
2020年度以前に更新申請を行ったことがある事業所に負担の軽減度合いを尋ねると、約3割が前回更新申請時と比較して負担が「軽減したと思う」または「どちらかといえば軽減したと思う」と回答しています。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。