2024年度介護報酬改定に向け、社会保障審議会・介護給付費分科会ではサービス別の対応について検討が進んでいます。訪問リハビリテーションについて、厚生労働省は認知症リハビリテーションへの取組みを評価する新たな加算の創設を提示し、賛同意見が多数を占めました。
また、医療介護連携の強化に向けた報酬体系の見直しや、老健に対し訪問リハビリテーション事業所のみなし指定を認める提案もあり、いずれも導入される見通しです。
訪問リハビリテーションに関する論点と検討状況をまとめます。
11月6日の分科会では、訪問系サービスに関する2回目の審議が行われました。 そのうち、訪問リハビリテーションについて、厚生労働省が示した具体的な論点および改定案を以下にまとめます。
(【画像】第230回社会保障審議会・介護給付費分科会資料より(以下同様))
※介護保険法第九十四条第一項又は第百七条第一項の許可
委員から発言が目立った論点を中心に、検討状況をまとめてお伝えします。
厚労省はこの日の会合にて、
などを課題点として示していました。
厚労省の提案は、退院後もリハビリテーションを必要とする利用者に対して、切れ目なく質の高いリハビリテーションを提供するため、医療・介護の連携を強化しようとするものです。
提案内容に対する目立った反対意見はありませんでした。その上で、
などの指摘がありました。
訪問での認知症リハビリテーションの提供を新たに評価する提案に対し、賛成意見が多数を占めました。
その上で、
との提案も出ています。
事業所外の医師に求められる「適切な研修の修了等」について、2021年度改定で提示された猶予期間(令和3年3月31日まで)に対し、さらに3年間の延長を求める提案になります。
厚労省の示した調査結果によると、診療未実施減算に係る「必要な研修等の受講」について、全く確認できていない事業所は62.1%。確認できたかかりつけ医のうち、必要な研修等を受講していた割合は3割未満は35%にのぼります。
こうした現状の中、適用猶予期間を延長する見直し案について、委員からは疑問を呈する意見があがりました。
具体的な意見は以下の通りです。
なお、介護予防訪問リハに対する見直し案や、訪問リハ事業所のみなし指定などについては目立った反対意見もなく、さらに詳細な検討へ進む見込みです。
今後の動向を引き続きお伝えしてまいります。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。