社会福祉法人連携推進法人制度の先行事例を共有―株式会社・サプライヤーとの連携例も

2025.01.02
2025.01.02
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創設3年目の現在、全国で22法人が認定を受けている社会福祉連携推進法人制度。

この制度の普及を目的として開催されたシンポジウムで、連携をしている当事者達から先行事例が共有されました。
社会福祉法人同士だけでなく株式会社や関連サービスのサプライヤーが参画している事例なども共有されています。

異なる法人間で経営上のアドバイスを提供しあうなど、その成果を実感する例が生まれているようです。

目次
    社会福祉連携推進法人制度とシンポジウムの位置づけ
    各連携推進法人法人による実践の内容と効果

      社会福祉連携推進法人制度とシンポジウムの位置づけ

      「社会福祉連携推進法人シンポジウム」は、11月に厚生労働省の調査研究事業の一環として開催されました(受託法人:PwCコンサルティング)。その目的は社会福祉連携推進法人や法人間の連携に対する補助事業の普及です。会場開催とオンラインのハイブリット形式併せて600名超が参加しました。

      社会福祉連携推進法人とは

      社会福祉連携推進制度は、経営基盤の強化や地域課題の解決を促すために2022年度から始まった制度で、社会福祉法人を中心とした法人2つ以上を社員とする団体が一般社団法人としての認可を受けられる制度です。

      (【画像】厚生労働省「社会福祉連携推進法人の運営等について」より)

      制度の特徴は、合併や事業譲渡と比べて参画する法人の独立性が保たれていることです。参加や脱退なども比較的容易でありながら、同じ目的意識をもった法人が法的な枠組みに沿って連携を深めることができます。

      社会福祉法人がその経営基盤を強化したり、複雑・多様化する福祉ニーズに応えていくための方策として、厚労省は同制度の活用促進に取り組んできました。

      (【画像】厚生労働省「社会福祉連携推進法人の運営等について」より)

      なお、社会福祉連携推進法人が行える業務(社会福祉連携推進業務)には

      1. 地域福祉支援業務(地域貢献事業の企画・立案 、地域ニーズ調査の、事業実施に向けたノウハウ提供等)
      2. 災害時支援業務(応急物資の備蓄・提供 、被災施設利用者の移送 、避難訓練 、BCP策定支援等)
      3. 経営支援業務(経営コンサルティング ・財務状況の分析・助言 ・事務処理代行等)
      4. 貸付業務(社会福祉法人である社員に対する資金の貸付け )
      5. 人材確保等業務
      6. 物資等供給業務

      があり、これらの実施に支障がなければその他の事業も実施することができます(※社会福祉事業や同様の事業は不可)。

      社会福祉連携推進法人設立状況:全国で22法人が認定済み

      社会福祉連携推進法人として認定を受けているのは、24年9月30日時点で22法人です。

      (【画像】厚生労働省「社会福祉連携推進法人の設立状況について」(2024年9月30日現在))

      11月のシンポジウムではこのうち以下の8法人と、厚労省の補助を受けて小規模法人のネットワーク化を進めている2団体が各自の取り組み等を紹介しました。

      法人名 認定所轄庁
      社会福祉連携推進法人リゾムウェル 大阪府
      社会福祉連携推進法人光る福祉 千葉県
      社会福祉連携推進法人新しい保育イニシアチブ 和歌山県
      社会福祉連携推進法人きょうと福祉キャリアサポート 京都府
      社会福祉連携推進法人リガーレ 京都府
      社会福祉連携推進法人日の出医療福祉グループ 兵庫県
      社会福祉連携推進法人一五戸共栄会 東京都
      社会福祉連携推進法人 共創福祉ひだ 岐阜県飛騨市

      各連携推進法人法人による実践の内容と効果

      各団体はそれぞれ連携の経緯や取り組み、その効果などについて発表しました。

      千葉県八街市にある2つの社会福祉法人と同八千代市にある株式会社が構成社員となっている「社会福祉連携推進法人光る福祉」の内藤晃代表理事は、連携推進法人の地域福祉支援業務として、社員である3法人の公益的な取り組みをバックアップしていることなどを紹介しました。直近の取り組みとしては、八街市の社会福祉協議会が実施している地域の子供たちの学習支援(生活困窮者自立支援事業)に、会場を提供するなどして協力したことなどを挙げています。

      また、経営支援業務としては、構成社員の経営層による情報共有や意見調整の機会として、「経営研究会」を定期開催しており、「光る福祉を組んでよかったと一番思うところ」「社会福祉法人に所属していながら(株式会社等の)理事から多くのアドバイスをいただいた」と紹介しました。

      保育人材の不足や急速な少子化への強い危機感から、保育園やこども園の運営事業者だけでなく、就学前教育に携わるサービスのサプライヤーなども参画するプロジェクトとして立ち上がった社会福祉連携推進法人あたらしい保育イニシアチブからは、齋藤祐善理事が取り組みを発表。構成法人間で保育事業にまつわるDXを協力して進めたり、障害児や外国籍を持つ子供などのニーズへ対応している施設の実践例を共有したりしていることなどが共有されました。

      齋藤理事は、「自分のところの経営方針が、本当に地域ニーズに合ってるんだろうかみたいなこと、マーケティングのような視点というのは、なかなか社会福祉事業ではやりきれなかったりする。そうしたことを、みんなで分かち合っている」などと連携の意義について語りました。

      その他の社会福祉連携推進法人制度の活用事例については、現在、23年度版の事例集が公開されています(※リンク先:PwCコンサルティング)。

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