訪問介護を経営・管理している皆様は、実地指導・監査の準備はお済でしょうか?ここでは、全国各地の自治体が公表している実地指導の指導事例をまとめています。皆様の事業所の所在地やお近くの地域で、どのような指導事例があったのか、その内容を知って実地指導に向けた準備を進めましょう。今回は、岩手県盛岡市の指導事例をご紹介します。
○提供した具体的なサービス内容等の記録がなく、訪問介護計画書に沿ったサービス提供を行ったことが確認できない
提供した具体的なサービス内容等の記録がなく、訪問介護計画書に沿ったサービス提供を行ったことが確認できない事例について、訪問介護費を算定していることを確認した。当該記録がない場合には、訪問介護サービスを実施したとは認められないことから、同様事例の有無を自主点検の上、保険者に介護給付費の返還等の要否を確認し、所要の措置を講じること。
○安否確認や健康チェックを提供して訪問介護費を算定している
提供した具体的なサービス内容等の記録が、本人の安否確認及び健康チェックである事例について、訪問介護費を算定していることを確認した。訪問介護の内容が単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護又は生活援助を行う場合には、訪問介護費は算定できないことから、同様事例の有無を自主点検の上、保険者に介護給付費の返還等の要否を確認し、所要の措置を講じること。
○身体介護及び生活援助を提供した利用者の訪問介護記録が、生活援助のみの記録で身体介護を行ったことを確認できない
身体介護及び生活援助を提供している利用者において、訪問介護記録が生活援助のみの記録であり、身体介護(自立生活支援のための見守り的援助)を行ったことが確認できない事例について、身体介護及び生活援助を実施したとして訪問介護費を算定していることを確認した。
当該記録がない場合には、身体介護を実施したとは認められないことから、同様事例の有無を自主点検の上、保険者に介護給付費の過誤調整等の要否を確認し、所要の措置を講じること。
○身体介護(通院介助)及び生活援助を提供した利用者の訪問介護記録が、身体介護のみの記録で生活援助を行ったことが確認できない
病院からの退院に伴う介助を行った後、引き続き、他の病院への通院介助及び生活援助を提供した利用者において、提供した具体的なサービス内容等の記録が身体介護(通院介助)のみの記録であり、生活援助を行ったことが確認できない事例について、1回の訪問介護において身体介護及び生活援助を実施したとして訪問介護費を算定していたことを確認した。
訪問介護は、介護保険法第8条の定義上、要介護者の居宅において行うものとされており、訪問介護の通院・外出介助については、利用者の居宅から目的に行くための準備を含む一連のサービス行為を行った場合に訪問介護費を算定するものであることから、当該事例は、通院・外出介助を実施したとは認められない。また、生活援助を行った記録がない場合には、生活援助を実施したとは認められないことから、同様事例の有無を自主点検の上、保険者に介護給付費の返還等の要否を確認し、所要の措置を講じること。
○訪問介護の通院・外出介助において、院内の移動等の介助などのサービス行為だけをもって訪問介護費を算定している
訪問介護の通院・外出介助において、院内の移動等の介助など病院を起点としたサービスについて訪問介護費を算定していることを確認した。
訪問介護は、介護保険法第8条の定義上、要介護者の居宅において行うものとされており、訪問介護の通院・外出介助については、利用者の居宅から目的に行くための準備を含む一連のサービス行為を行った場合に訪問介護費を算定するものである。そのため、院内の移動等の介助などのサービス行為だけをもって訪問介護として算定することはできない。
介護報酬の過誤調整が必要になる場合は、指定された期間の記録を遡って確認することをはじめ、その後の介護報酬の取り下げや再請求に伴う事務負担、会社のキャッシュフローに対する負担など、事業所経営に大きな影響を受けることになります。
ご紹介した事例が、皆様の事業所の自主点検のきっかけや、お役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
出典元:「平成30年度介護保険施設等の指導監査結果」岩手県盛岡市
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年4月3日掲載のものです。
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