訪問介護事業所を運営する中で、「新たにICT機器を導入したい」、「子育て中の人や定年退職した高齢者の方を積極的に採用したい」と考える機会があるでしょう。
この記事では、訪問介護の経営者・管理者の皆様に向けて、ICT導入や人材採用に活用できる助成金・補助金の種類や支給要件、支給金額などをご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
※助成金・補助金に関する情報については、2023年1月時点の最新情報を記載しています。
助成金や補助金は、国や自治体等が目指す方針・政策に向けた取り組みを行う事業者をサポートするために給付される資金のことで、金融機関から受ける融資と違って返済する必要がないことが特徴です。
助成金の目的は、雇用・労働環境の整備や改善等で、一定の要件を満たして申請することで助成を受けることができます。
一方、補助金は、国や地方自治体が推進する公益性がある事業(新規事業や創業促進等)への補助を目的としているため、申請内容の審査が行われ、申請しても採択されない場合があります。
こちらが訪問介護で活用できる助成金・補助金の一例です。
(正社員化コース)
(一般トライアルコース)
まずは、訪問介護で人材を採用する際に利用できる助成金・補助金について見ていきます。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の職員を、正規雇用に転換または直接雇用をした場合に受給が可能な助成金です。
など
1人当たりの支給金額は以下のようになります。
中途採用等支援助成金は、中途採用率を拡大または45歳以上を初めて雇用する際に受給可能な中途採用拡大コースと、東京圏から移住者を雇い入れる場合に受給可能なUIJターンコースがあります。
(初めての中途採用の場合追加で10万円)
(1年定着した場合はさらに20万円)
一定期間後に生産性が向上した場合には、以下の追加助成があります。
※いずれも上限は100万円
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは、職業経験・技能・知識の不足等により安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介によって、一定期間試行雇用した場合に受給可能な助成金です。
支給対象者1人につき月額4万円です。
ただし、対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。
また、トライアル雇用の雇用期間が1カ月に満たない月がある場合や、支給対象者本人の都合による休暇があった場合などは、実際に就労した日数に基づいて計算した額になります。
特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介によって、継続して雇用する職員として雇い入れた場合に受給可能な助成金です。
特定求職者雇用開発助成金は、以下のようなコースに分かれており、コースによって助成金額や給付条件が違います。
例として、生涯現役コースの給付条件と助成金額をみていきましょう。
※()内は中小企業以外
65歳超雇用推進助成金とは、高齢の有期契約労働者を無期雇用へ転換した場合に受給可能な助成金です。以下の3つのコースに分かれており、コースによって助成金額や給付条件が違います。
例として、高年齢者無期雇用転換コースの給付条件と助成金額をみていきましょう。
対象労働者1人につき48万円(中小企業以外は38万円)です。
生産性要件を満たした場合、対象労働者1人につき60万円(中小企業以外は48万円)となります。
次に、訪問介護でICT機器などの設備を導入する際に利用できる助成金・補助金について見ていきます。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合った、クラウドサービスなどのITツールの導入を支援する補助金です。通常枠とデジタル化基盤導入枠の2種類があります。
支給金額や補助率は以下のようになります。
最後に、訪問介護で光熱費の高騰に対して利用できる助成金・補助金について見ていきます。
光熱費の高騰に対する助成金・補助金は各自治体が独自に実施しているため、こちらの記事では東京都港区と石川県金沢市の例をご紹介します。
港区介護サービス事業所光熱費等高騰支援金は、国際情勢などによる光熱費およびガソリン代の高騰を踏まえ、港区内の介護サービス事業者が質の高いサービス提供を継続するために設けられた支援金です。
訪問介護は4万8,000円(4,000円/月)です。
金沢市原油価格高騰緊急対策介護サービス事業所等冬期光熱費補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、原油・電気・ガスなどの価格高騰に対する緊急対策として、安定的な介護サービス等を提供するために設けられた補助金です。
訪問介護は上限2万円です。
このように、訪問介護事業所の運営における様々な場面で活用できる助成金や補助金が存在しています。
中には申請期限が設けられているものもありますので、助成金や補助金に関する情報はできるだけ素早くキャッチアップして、活用しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。