訪問介護の助成金・補助金とは?支給要件と金額も合わせてご紹介します

2023.02.21
2023.02.22
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訪問介護事業所を運営する中で、「新たにICT機器を導入したい」、「子育て中の人や定年退職した高齢者の方を積極的に採用したい」と考える機会があるでしょう。

この記事では、訪問介護の経営者・管理者の皆様に向けて、ICT導入や人材採用に活用できる助成金・補助金の種類や支給要件、支給金額などをご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

※助成金・補助金に関する情報については、2023年1月時点の最新情報を記載しています。

目次
    訪問介護で利用できる助成金・補助金のリストとは?
      訪問介護で人材採用のために利用できる助成金・補助金とは?
      訪問介護で設備導入のために利用できる助成金・補助金とは?
      訪問介護で光熱費の高騰に対して利用できる助成金・補助金とは?
      まとめ

        訪問介護で利用できる助成金・補助金のリストとは?

        助成金や補助金は、国や自治体等が目指す方針・政策に向けた取り組みを行う事業者をサポートするために給付される資金のことで、金融機関から受ける融資と違って返済する必要がないことが特徴です。

        助成金の目的は、雇用・労働環境の整備や改善等で、一定の要件を満たして申請することで助成を受けることができます。

        一方、補助金は、国や地方自治体が推進する公益性がある事業(新規事業や創業促進等)への補助を目的としているため、申請内容の審査が行われ、申請しても採択されない場合があります。

        こちらが訪問介護で活用できる助成金・補助金の一例です。

        人材採用のために利用できる助成金・補助金
        キャリアアップ助成金

        (正社員化コース)

        有期契約労働者を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合
        中途採用等支援助成金 中途採用を拡大した場合、一定期間後に生産性が向上した場合
        トライアル雇用助成金

        (一般トライアルコース)

        就業経験の不足などにより就職が困難な求職者を試行的に雇った場合
        特定求職者雇用開発助成金 高齢者や障害のある人・母子家庭の母など就職困難な人、65歳以上の離職者を雇う場合など
        65歳超雇用推進助成金 65歳以上への定年引上げ、高年齢の有期契約労働者を無期雇用へ転換した場合など
        設備導入のために利用できる助成金・補助金
        IT導入補助金 クラウドサービスなどのITツールを導入した場合
        光熱費の高騰に対して利用できる助成金・補助金
        港区介護サービス事業所光熱費等高騰支援金 東京都港区内に所在する事業所等を運営している場合
        金沢市原油価格高騰緊急対策介護サービス事業所等冬期光熱費補助金 石川県金沢市内に所在する事業所等を運営している場合
        その他
        新型コロナウイルス感染症流行下における介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業 緊急時に介護人材を確保、職場環境の復旧、連携して緊急時の人材確保支援を行った場合など
        両立支援等助成金 育児休業の円滑な取得や職場復帰のための取り組みを行った場合、不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度を活用しやすい環境整備を行った場合など
        人材開発支援助成金 職務に関連した専門的な知識や技能を修得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合、教育訓練休暇制度を適用した場合など

        訪問介護で人材採用のために利用できる助成金・補助金とは?

        まずは、訪問介護で人材を採用する際に利用できる助成金・補助金について見ていきます。

        キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?

        キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の職員を、正規雇用に転換または直接雇用をした場合に受給が可能な助成金です。

        【支給要件】

        • 正規雇用の職員に転換する制度を就業規則などに規定している。
        • 転換後6カ月間の賃金を、転換前6カ月間の賃金より3%以上増額させている。
        • 正規雇用の職員に転換する前日までに「キャリアアップ計画」を作成・提出している。

          など

        【支給金額】

        1人当たりの支給金額は以下のようになります。

        転換前の雇用形態
        有期雇用労働者 無期雇用労働者
        中小企業 57万円 28万5,000円
        大企業 42万7,500円 21万3,750円

        中途採用等支援助成金とは?

        中途採用等支援助成金は、中途採用率を拡大または45歳以上を初めて雇用する際に受給可能な中途採用拡大コースと、東京圏から移住者を雇い入れる場合に受給可能なUIJターンコースがあります。

        【中途採用拡大コースの支給要件】

        • 中途採用計画を作成し、管轄の労働局に届け出る
        • 中途採用者の雇用管理制度を整備する
        • 中途採用計画期間内に中途採用を拡大する
        • 中途採用者、無期雇用での採用など、支給対象の労働者を雇い入れる

          など

        【中途採用拡大コースの支給金額】

        助成額
        中途採用率の拡大 50~70万円

        (初めての中途採用の場合追加で10万円)

        45歳以上を初採用 60万円または70万円
        情報公表+中途採用者数の拡大 30万円

        (1年定着した場合はさらに20万円)

        一定期間後に生産性が向上した場合には、以下の追加助成があります。

        助成額
        中途採用率の拡大 1事業所あたり25万円
        45歳以上を初採用 1事業所あたり30万円
        情報公表+中途採用者数の拡大 1事業所あたり15万円

        【UIJターンコースの支給要件】

        • 採用活動計画を作成し、管轄の労働局に届け出、労働局長の認定を受ける
        • 計画期間内に、採用パンフレット等の作成・印刷、自社ホームページやPR動画の作成などの採用活動を行う
        • 東京圏からの移住者、継続雇用が確実であるなど、支給対象の労働者を雇い入れる

          など

        【UIJターンコースの支給金額】

        • 中小企業:助成対象経費の合計額の½
        • 中小企業以外:助成対象経費の合計額の⅓

          ※いずれも上限は100万円

        トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは?

        トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは、職業経験・技能・知識の不足等により安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介によって、一定期間試行雇用した場合に受給可能な助成金です。

        【支給要件】

        • 対象労働者が、ハローワークや職業紹介事業者から紹介を受けた日に、学校に在籍していない・トライアル雇用期間中ではないなどの条件に当てはまる
        • ハローワークや職業紹介事業者などの紹介により雇い入れる
        • 原則3カ月のトライアル雇用をする
        • 対象労働者が、次のいずれかに該当する
          • 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している
          • 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者など
          • 紹介日に、ニートやフリーター等で55歳未満である者

        【支給金額】

        支給対象者1人につき月額4万円です。

        ただし、対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。

        また、トライアル雇用の雇用期間が1カ月に満たない月がある場合や、支給対象者本人の都合による休暇があった場合などは、実際に就労した日数に基づいて計算した額になります。

        特定求職者雇用開発助成金とは?

        特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介によって、継続して雇用する職員として雇い入れた場合に受給可能な助成金です。

        特定求職者雇用開発助成金は、以下のようなコースに分かれており、コースによって助成金額や給付条件が違います。

        • 特定就職困難者コース
        • 生涯現役コース
        • 被災者雇用開発コース
        • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
        • 就職氷河期世代安定雇用実現コース
        • 生活保護受給者等雇用開発コース

        例として、生涯現役コースの給付条件と助成金額をみていきましょう。

        【生涯現役コースの支給要件】

        • ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介により雇う
        • 雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れ、1年以上雇用することが確実である

          など

        【生涯現役コースの支給金額】

        支給対象者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
        短時間労働者以外の者 70万円(60万円) 1年 35万円×2期(30万円×2期)
        短時間労働者 50万円(40万円) 1年 25万円×2期(20万円×2期)

        ※()内は中小企業以外

        65歳超雇用推進助成金とは?

        65歳超雇用推進助成金とは、高齢の有期契約労働者を無期雇用へ転換した場合に受給可能な助成金です。以下の3つのコースに分かれており、コースによって助成金額や給付条件が違います。

        • 65歳超継続雇用促進コース
        • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
        • 高年齢者無期雇用転換コース

        例として、高年齢者無期雇用転換コースの給付条件と助成金額をみていきましょう。

        【高年齢者無期雇用転換コースの支給要件】

        • 無期雇用転換計画を作成し、認定を受ける
        • 無期雇用転換計画に基づき、計画の実施期間内に50歳以上かつかつ定年年齢未満の有期契約職員を無期雇用職員に転換する

        【高年齢者無期雇用転換コースの支給金額】

        対象労働者1人につき48万円(中小企業以外は38万円)です。

        生産性要件を満たした場合、対象労働者1人につき60万円(中小企業以外は48万円)となります。

        訪問介護で設備導入のために利用できる助成金・補助金とは?

        次に、訪問介護でICT機器などの設備を導入する際に利用できる助成金・補助金について見ていきます。

        IT導入補助金とは?

        IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合った、クラウドサービスなどのITツールの導入を支援する補助金です。通常枠とデジタル化基盤導入枠の2種類があります。

        【支給要件】

        • 飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業、製造業や建設業等における中小企業
        • それぞれ資本金や従業員に上限あり

        【支給対象経費】

        • ソフトウェア購入費
        • クラウド利用料
        • 導入関連費
        • ハードウェア購入費(デジタル化基盤導入枠の場合)

          など

        【支給金額】

        支給金額や補助率は以下のようになります。

        通常枠 デジタル化基盤導入枠
        A類型 B類型 デジタル化基盤導入類型
        補助対象経費区分 ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費
        補助率 1/2以内 3/4以内 2/3以内
        上限額・下限額 30万円~150万円未満 150万円~450万円以下 5万円 50万円超~350万円
        ハードウェア購入費※デジタル化基盤導入枠の場合
        PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器 レジ・券売機等
        補助率 1/2以内 1/2以内
        補助上限額 10万円 補助上限額20万円

        訪問介護で光熱費の高騰に対して利用できる助成金・補助金とは?

        最後に、訪問介護で光熱費の高騰に対して利用できる助成金・補助金について見ていきます。

        光熱費の高騰に対する助成金・補助金は各自治体が独自に実施しているため、こちらの記事では東京都港区と石川県金沢市の例をご紹介します。

        港区介護サービス事業所光熱費等高騰支援金【東京都港区】

        港区介護サービス事業所光熱費等高騰支援金は、国際情勢などによる光熱費およびガソリン代の高騰を踏まえ、港区内の介護サービス事業者が質の高いサービス提供を継続するために設けられた支援金です。

        【支給要件】

        • 事業所が港区内に所在
        • 2022年(令和4年)10月1日現在、事業所を運営している

          など

        【支給金額】

        訪問介護は4万8,000円(4,000円/月)です。

        金沢市原油価格高騰緊急対策介護サービス事業所等冬期光熱費補助金【石川県金沢市】

        金沢市原油価格高騰緊急対策介護サービス事業所等冬期光熱費補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、原油・電気・ガスなどの価格高騰に対する緊急対策として、安定的な介護サービス等を提供するために設けられた補助金です。

        【支給要件】

        • 事業所が金沢市内に所在
        • 2023年(令和5年)1月1日時点に、事業所を運営している
        • など

        【支給金額】

        訪問介護は上限2万円です。

        まとめ

        このように、訪問介護事業所の運営における様々な場面で活用できる助成金や補助金が存在しています。

        中には申請期限が設けられているものもありますので、助成金や補助金に関する情報はできるだけ素早くキャッチアップして、活用しましょう。

        最後までお読みいただきありがとうございました。

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