通所介護(デイサービス)の実地指導(運営指導)・監査に必要な書類とチェックリストとは?

2023.01.30
2023.10.02
ホーム事業所運営通所介護通所介護(デイサー…

通所介護は介護保険法に基づくサービスを提供するため、定期的に指定権者(都道府県または市)によって法令を遵守しているか確認を受けることになります。このチェックが運営指導(実地指導)です。

運営指導の実施についての通知が届いた事業者の中には、「運営指導ではどのようなことをチェックされるの?」や「前回の実地指導から時間が経っているから、何を準備すればいいかわからない。」という方もいらっしゃるかもしれません。

そのような不安を感じている方へ、この記事では、実地指導・監査の必要書類とチェック項目について解説しています。

目次
    行政指導(実地指導・集団指導)と監査の違いとは?
    通所介護(デイサービス)の実地指導監査に必要な書類とは?
      通所介護(デイサービス)の実地指導の標準確認項目とは?
        通所介護(デイサービス)の実地指導のチェックリスト・自己点検票とは?
          通所介護(デイサービス)の実地指導対策のポイントとは?
            まとめ

              行政指導(実地指導・集団指導)と監査の違いとは?

              行政指導(運営指導・集団指導)と監査の違いとは、行政指導は「サービスの質の確保と保険給付の適正化を目的として実施される。」のに対し、監査は「運営基準違反等の可能性がある場合に、その内容を的確に把握することを目的として実施される。」という実施の目的が異なる点が挙げられます。

              行政指導(運営指導・集団指導)と監査の関係性については、以下のようになっています。

              通所介護(デイサービス)の運営指導(実地指導)とは?

              運営指導(実地指導)とは、指定権者(都道府県または市)が、指定の有効期間中(6年間)に少なくとも1回以上、サービスの質の確保と保険給付の適正化を目的として、原則事業所を訪問して、法令の遵守等を確認することを指します。

              運営指導は、以前は『実地指導』という名称でしたが、確認する内容によってはオンラインツールを活用して実地にて行わない場合もあることから、2022年に『運営指導』という名称になりました。

              指定権者(都道府県または市)が運営指導で実施する指導は以下の3つとなります。

              (1)介護サービスの実施状況指導

              (2)最低基準等運営体制指導

              (3)報酬請求指導

              事業所の運営状況についてチェックが行われ、その結果、『指導なし』または、指摘事項の程度に応じて『助言』、『口頭指導』、『文書指導』といった指導等を受けることになります。

              (1)介護サービスの実施状況指導

              介護サービスの実施状況指導では、利用者様に対して適切なサービスを提供しているかを確認するために、実地で施設設備の状況やサービスの提供状況などをチェックされます。

              (2)最低基準等運営体制指導

              最低基準等運営体制指導では、サービス種別ごとの基準等に規定されている運営体制を満たしているかをチェックされます。

              ※原則実地で行われますが、現場に行かなくても確認可能と判断された場合は、オンラインツールを活用し、実施されることがあります。

              (3)報酬請求指導

              報酬請求指導では、不正請求の防止を目的として、適正に介護報酬を請求しているかをチェックされます。

              ※原則実地で行われますが、現場に行かなくても確認可能と判断された場合は、オンラインツールを活用し、実施されることがあります。

              通所介護(デイサービス)の監査とは?

              監査とは、指定権者(都道府県または市)が、不正や法令違反が認められる場合やそのおそれがある場合に、内容を的確に把握することを目的として、事業所の訪問または関係者の出頭を通して、法令の遵守等の状況を確認することを指します。

              監査は、運営指導(実地指導)の結果、以下の4つのうちいずれかの不正の疑い等が発覚し、実施されるケースが多いです。

              1. 人員、施設設備、運営基準に従っていない状況が著しいと認められる場合またはその疑いがある場合
              2. 介護報酬請求について不正または不正の疑いがある場合
              3. 不正の手段による指定等またはその疑いがある場合
              4. 高齢者虐待等があるまたはその疑いがある場合

              そして、監査が実施され、違反・不正行為が認められた場合は、その内容に応じて、改善を求める『改善勧告』や『改善命令』、行政処分である『指定の一部効力停止』『指定の全部効力停止』『指定取消』が行われます。

              通所介護(デイサービス)の実地指導監査に必要な書類とは?

              通所介護(地域密着型通所介護も含む)の運営指導(実地指導)や監査に向けて準備する書類をご紹介します。

              運営指導で確認される書類は、厚生労働省から『標準確認文書』として例示されています。

              *参考:厚生労働省 確認文書

              確認文書
              勤務実績表/タイムカード
              勤務体制一覧表
              従業者の資格証
              管理者の雇用形態が分かる文書
              管理者の勤務実績表/タイムカード
              平面図
              重要事項説明書(利用申込者または家族の同意があったことがわかるもの)
              利用契約書
              サービス担当者会議の記録
              居宅サービス計画
              通所介護計画(利用者および家族の同意があったことがわかるもの)
              サービス提供記録
              業務日誌
              送迎記録
              アセスメントシート
              モニタリングシート
              介護保険番号、有効期限等を確認している記録等
              請求書
              領収書
              緊急時対応マニュアル
              サービス提供記録
              運営規程
              雇用の形態(常勤非常勤)がわかる文書
              認知症介護の研修計画、実施記録
              勤務実績表(勤務実績が確認できるもの)
              方針、相談記録
              業務継続計画
              感染症、非常災害対策の研修及び訓練計画、実施記録
              業務日誌
              国保連への請求書控え
              非常災害時対応マニュアル(対応計画)
              避難、救出等訓練の記録
              通報、連絡体制
              消防署への届出
              感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための指針、研修の記録及び訓練の記録、対策を検討する委員会名簿、委員会の記録
              個人情報同意書
              従業者の秘密保持誓約書
              パンフレット/チラシ
              苦情の受付簿
              苦情者への対応記録
              苦情対応マニュアル
              事故対応マニュアル
              市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録
              再発防止策の検討の記録
              ヒヤリハットの記録
              虐待防止の対策を検討する委員会の開催記録
              虐待の発生、再発防止の指針
              虐待防止の研修及び訓練計画、実施記録
              担当者を設置したことが分かる文書
              運営推進会議の記録(地域密着型通所介護のみ)

              通所介護(デイサービス)の実地指導の標準確認項目とは?

              通所介護(地域密着型通所介護も含む)の運営指導(実地指導)当日に確認される項目(一部抜粋)をご紹介します。

              運営指導で確認される項目は、厚生労働省から『標準確認項目』として例示されています。

              *参考:厚生労働省 確認項目

              【設備】

              • 平面図に合致しているか
              • 使用目的に沿って使われているか

              【運営】

              • 利用申込者またはその家族への説明と同意の手続きを取っているか
              • 重要事項説明書の内容に不備等はないか
              • 居宅サービス計画に基づいて通所介護計画が立てられているか
              • 利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて通所介護計画が立てられているか
              • サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか
              • 利用者またはその家族への説明、同意、交付は行われているか
              • 目標の達成状況は記録されているか
              • 達成状況に基づき、新たな通所介護計画が 立てられているか

                など

              通所介護(デイサービス)の実地指導のチェックリスト・自己点検票とは?

              自己点検票とは、介護保険法に定められる基準(人員基準・設備基準・運営基準)や介護報酬の算定が適正に行われているかどうかを、事業所が自己点検するための様式です。

              運営指導の前に自己点検票を利用したチェックを実施することが求められますので、指定権者のホームページから自己点検票の様式をダウンロードして入力しましょう。

              ここでは、東京都が公開している通所介護事業の自己点検票をもとに、その内容の一部をご紹介していきます。

              【人員に関する基準】

              • 生活相談員又は介護職員のうち1人以上は、常勤であるか。
              • 指定通所介護事業者は、指定通所介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置いているか。

              【設備に関する基準】

              • 指定通所介護事業所は、食堂、機能訓練室、静養室、相談室及び事務室を設けるほか、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備並びに指定通所介護の提供に必要なその他の設備及び備品等を備えているか。
              • 相談室は遮へい物の設置等により相談の内容が漏えいしないよう配慮されているか。

              【運営に関する基準】

              • 管理者は、当該指定通所介護事業所の従業者の管理及び指定通所介護の利用の申込に係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行っているか。
              • 業務継続計画の策定等
                指定通所介護事業者は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定通所介護の提供を継続的に行い、及び業務継続計画を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じているか。
              • 定員の遵守
                指定通所介護事業者は、利用定員を超えて指定通所介護の提供を行っていないか。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

              【介護給付費の算定および取り扱い】

              • 所要時間については、現に要した時間ではなく、通所介護計画に位置づけられた内容の指定通所介護を行うのに要する標準的な時間で、それぞれ所定単位数を算定しているか。 ただし、利用者の数又は看護職員若しくは介護職員の員数が平成12年厚生省告示第27号の一(厚生労働大臣が定める利用者の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法)に該当する場合〔利用者定数超過又は職員数が基準を満たさない場合〕は、同告示により算定しているか。
              • 介護職員等ベースアップ等支援加算(令和4年10月1日適用) 

                別に厚生労働大臣が定める基準に適合している介護職員等の賃金の改善等を実施しているものとして都道府県知事に届け出た指定通所介護事業所が、利用者に対し、指定通所介護を行った場合は、イからニまでにより算定した単位数の1000分の11相当する単位数を所定単位数に加算する。

              通所介護(デイサービス)の実地指導対策のポイントとは?

              運営指導(実地指導)において指摘・指導を受けないために、対策のポイントをいくつかご紹介します。

              • 日頃から書類を整理する。
              • 日頃から定期的に書類の不備がないかを確認する。
              • マニュアルや規程を更新した際は、差し替えてファイリングする。
              • 更新した掲示物は、差し替えて掲示する。
              • 日頃から整理整頓をして、清潔を保持する。
              • 基本報酬、加算の算定要件を理解し、要件を満たした上で算定しているかを確認する。

              まとめ

              通所介護における運営指導(実地指導)・監査について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

              運営指導にあたっては、自己点検票、標準確認文書等を準備し、万全の態勢でのぞめるように、日頃の書類作成、整理、保管がとても大切になっています。

              ここでご紹介した内容が、皆様の事業所運営のお役に立てば幸いです。

              最後までお読みいただきありがとうございました。

              会員詳細情報を入力すると下記の資料がダウンロードできます
              会員詳細情報を入力すると下記の資料が
              ダウンロードできます
              この資料は会員限定コンテンツです。
              ダウンロードするには、ログインまたは会員登録から会員詳細情報の入力をお願いします。
              ※ログイン後、未入力の場合は「会員詳細情報の入力」ボタンが表示されますのでご入力ください。
              関連記事
              トリプルグッド社会保険労務士法人
              2023.05.01
              デイサービスの雇用契約書・労働条件通知書に定める項目とは?【ひな形の無料ダウンロード】
              #人事・労務
              トリプルグッド社会保険労務士法人
              2023.05.01
              デイサービス(通所介護)の就業規則の書き方や変更時のルールとは?無料でダウンロードできる就業規則のテンプレートもご用意!
              #人事・労務
              2023.04.27
              デイサービスでファクタリングを利用するメリット・デメリットとは?
              #資金調達