訪問介護事業者の皆様は、日々の業務が忙しく、会計・経理業務を負担に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そのような中で、「会計・経理業務を効率化する方法はないの?」や「運営基準に書いてあることってどういう意味なの?」と悩んでいるのではないでしょうか。
この記事では、訪問介護事業所における会計・経理業務の流れやルール、効率的に会計・経理業務を行う方法などについて解説していきます。
会計は、資産・負債、収益・費用の動きを帳簿に記載(仕訳)して、決算書を作成するまでの一連の業務のことを言います。
会計業務を行う目的は、
といったことが挙げられます。
会社は資産・負債等と収益・費用の情報を対外的に発信・報告するために決算書を作成します。
そして、決算書を作成するために会計や経理といった業務を行うことになります。
同じような業務として認識されていますが、会計と経理は業務の範囲に違いがあります。
経理は、請求書の発行・入金確認、取引先への支払いなど、出入金について管理を行います。
一方、会計は、企業が行った活動について記録し、決算書を作成するために必要なことを行います。
それでは、それぞれの業務について詳しく見ていきましょう。
訪問介護では、以下のような会計業務を行います。
訪問介護では、以下のような経理業務を行います。
訪問介護の会計で理解しておかなければならないルールが、運営基準で定められている「会計の区分」です。
(会計の区分) 第38条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。
(会計の区分)
第38条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。
事業ごとに会計を区分することによって、どの事業が好調なのか数字を見て判断ができるようになります。
また、「介護事業の会計が他事業の会計と区分されていない」や「介護事業の収入は他事業の会計と区分しているが、支出を区分していない」という場合、運営指導(実地指導)で指導を受ける恐れがあるため、注意が必要です。
運営基準を満たす適切な会計処理方法として、具体的には以下の4つの方法が挙げられます。
会計単位分割方式とは、事業所単位ごとの介護サービス事業別に、あたかも別の法人のように仕訳帳や総勘定元帳をそれぞれ分ける方法です。
総勘定元帳が事業所単位ごとになるので、損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書も貸借対照表とともに事業所単位ごとに作成します。
本支店会計方式とは、仕訳帳や総勘定元帳の一部について、事業所単位ごとの介護サービス事業別に分離して会計処理をする方法です。
事業所単位で損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書や貸借対照表は作成しますが、貸借対照表の資本の部(純資産の部)については分離せず、いわゆる本支店区分だけ存在させます。
本部あるいは他の事業所間の取引は、本支店勘定(貸借勘定)で処理をします。
部門補助科目方式とは、勘定科目に補助コードを設定し、仕訳時に補助コードを記入することで、介護サービス事業別の数値が集計できるようにする方法です。
貸借対照表は介護サービス事業別の区分をせず、損益計算書・収支計算書・正味財産増減計算書は区分します。
区分表方式とは、仕訳時に区分をせず、それぞれの科目に按分基準を設け、配分表によって介護サービス事業別の結果表を作成する方法で、以下の流れで行います。
複数事業所・サービスにまたがる費用が共通費、各サービスがそのサービスを行うために直接必要な費用が個別費です。
以下の表は、共通費と個別費の例です。
具体的な勘定科目と按分方法は、以下の表のようになっています。
介護保険の給付対象事業における会計の区分について (平成13年3月28日老振発第18号)より作成
会計業務を適正かつ効率的に行うためには、
といった方法が考えられます。
利用者負担金の回収に関する業務が重荷になっているケースがあります。
現金での回収をやめて口座振替に切り替えると、利用者様からの集金業務の手間を省くことができます。
また、請求ソフトと利用者負担金の口座引落の機能が連動している請求ソフトを導入すると、計算した請求データから直接口座引落のデータを作成し、送信することができるのでとても便利です。
ソフトの種類にもよりますが、会計ソフトを導入すると以下のようなメリットがあります。
【会計ソフトを導入するメリット】
訪問介護の経理・会計ソフトは、「カイポケ会計・労務 by Money Forward クラウド会計」がおすすめです。
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ご自身の事業所で作成している決算書が、「訪問介護の運営基準に定められた『会計の区分』を遵守したものになっているのだろうか?」と不安を感じる方は、訪問介護に詳しい税理士に一度相談してみるのもいいかもしれません。
【税理士に相談するメリット】
ここまで、訪問介護事業所における会計の目的や、会計・経理業務の流れなどについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。
訪問介護事業所では、日々の業務が忙しいために、会計や経理業務を適切に行うことが難しいかもしれません。ルールを遵守し、運営指導(実地指導)で指摘を受けないためにも、介護事業向けの会計ソフトを導入していない場合は、導入・切り替えを検討してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。