デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)は、人員基準・設備基準・運営基準等を遵守しながら運営を行います。
経営者・管理者の皆様の中には、「指定申請から確認していないため、設備基準を改めて確認したい」や「実地指導(運営指導)の通知が来たけど、設備や備品に不備はないだろうか?」などの悩みや疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そのような皆様に向けて、この記事では、デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の設備基準や、運営指導でチェックされるポイントなどについて解説していきます。
デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の設備基準には、事業所が適切な介護サービスを提供するために、最低限設置しなくてはならない設備や備品などが記載されています。
通所介護は「指定居宅サービス等の人員、設備及び運営の基準」に、地域密着型通所介護は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」に定められています。
デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の人員基準には、介護職員や機能訓練指導員などの最低限配置しなくてはならない職種、資格要件、配置基準などが定められています。
デイサービスの人員基準については、こちらの記事に詳しくまとめていますのでご覧いただけると幸いです。
デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の運営基準には、事業所が適切な介護サービスを提供するために、提供するサービスの内容や提供方法、必要な書類や記録、取り組みなどが規定されています。
デイサービスの運営基準については、こちらの記事に詳しくまとめていますのでご覧いただけると幸いです。
ここからは、具体的な設備・備品等に関するルールについて詳しく見ていきます。
食堂と機能訓練室は、それぞれに必要な広さ(支障がない場合は同一の場所とすることが可)を確保し、合計した面積は、利用者様1人あたり3㎡以上の広さが必要です。
デイサービスは原則として同時に複数の利用者様に対して介護を提供するため、設備基準では「狭い部屋を多数設置するような形で面積を確保すべきではない」とされています。
ただし、グループ分けをして効果的なサービスを提供する場合は、複数の部屋を設置し、面積を満たすことができるとされています。
消防法等に規定されている消火設備や、非常災害時に必要な設備・備品を設置しなくてはいけません。消火設備の詳細は消防署等に確認して準備しましょう。
利用者様の体調が悪くなった際に利用する静養室を設置しなくてはいけません。
利用者様やその家族から相談を受ける際に利用する相談室は、相談の内容が周囲に漏えいしないように配慮する必要があります。
事務室は、事務作業を行うのに適した広さを確保しなくてはいけません。
設備基準には「指定通所介護の提供に必要なその他の設備・備品」も設置しなくてはならないことが定められています。
通所介護事業所と他の居宅サービス事業所等を併設している場合、利用者様へのサービス提供に支障がない場合に限り、設備や備品の共用が可能です。
夜間や深夜において、通所介護事業所の設備を利用して通所介護以外のサービスを提供する場合、事前に指定権者に届け出る必要があります。
デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の運営指導(実地指導)では、上記でご紹介した設備基準の項目に対して、以下のような標準確認項目と確認文書が定められています。
ここでは、運営指導(実地指導)で設備基準に対する指摘を受けたケースをいくつかご紹介します。
相談室として届出しているスペースに、布団を置いていた。当該スペースについては、届出を行った用途以外に用いることはできないため、用途を変更したい場合には変更届を提出すること。
消火設備その他の非常災害に際して必要な設備は、確実に設置すること。
消防用設備等の法定点検について、6か月ごとの機器点検の実施及び1年に1回消防署への点検結果の報告が義務付けられている。法令等に基づき点検を実施し、消防署へ報告を行うこと。
静養室として申請をしているスペースに、機能訓練用の機材を設置し、静養室を設置していなかった。当該スペースについては、申請を行った用途以外に用いることはできないため、静養室に戻すか、用途を変更すること。
廊下に設置されてある消火器の前に、機能訓練に使用する機材が置かれていた。ついては、消火器が即座に使用できるように、機材を移動させること。
設備基準に違反しないように事業所を運営するためには、基準に定められている内容を理解しておく必要があります。
ここまで、デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の設備基準や運営指導でのチェックポイント、違反しないための対策について述べてきましたが、いかがでしたか。
設備や備品は、事業所を開業した際に一度そろえて安心するのではなく、設置した設備・備品が必要な時に使える状態にあるかどうか、定期的に確認しなくてはいけません。
ぜひ、この機会に「部屋や区画が、届出した用途で使用されているか?」、「設備等が点検され、使用できる状態なのか?」を確認しておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。