訪問看護ステーションの感染症を予防するための対策や感染発生時の対応とは?

2023.01.30
2023.02.22
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訪問看護事業を経営している皆様は、感染症の予防や対策に細心の注意を払っていることと思います。

新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症のまん延が危惧される中、「事業所の感染対策はこのままで大丈夫なの?」といった不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような悩みをお持ちの皆様に向けて、この記事では、2022年12月時点で公表されている感染症予防の対策や感染が発生時の対応などをご紹介しています。

目次
    訪問看護ステーションで対策するべき感染症の種類とは?
      訪問看護ステーションの感染症の拡大を予防するための対策とは?
      【新型コロナウイルス】訪問看護ステーションの相談窓口、支援
      まとめ

        訪問看護ステーションで対策するべき感染症の種類とは?

        感染症とは、病気の原因となるようなウイルスや細菌などが体の中に入り、熱が出たり下痢になったり、具合が悪くなることを指します。感染症には、様々な種類がありますが、具体的に訪問看護事業所で対策すべき感染症の病原体について例をご紹介します。

        【感染症の例】

        • 新型コロナウイルス
        • インフルエンザウイルス
        • ノロウイルス
        • 結核菌
        • 腸管出血性大腸菌 (O157など)
        • レジオネラ属の細菌
        • ヒゼンダニ(疥癬)
        • B型肝炎ウイルス(ウイルス性肝炎)
        • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
        • MDRP(多剤耐性緑膿菌)
        • 水痘・帯状疱疹ウイルス(帯状疱疹)
        • アタマジラミ
        • クロストリジウム・ディフィシル菌(偽膜性大腸炎)

          など

        訪問看護ステーションの感染症の拡大を予防するための対策とは?

        感染対策には、「感染源の排除」、「感染経路の遮断」、「宿主(人間)の抵抗力の向上」という3つの重要なポイントがあります。

        感染源を排除するためには、手洗いや手指消毒の徹底、適切な個人用感染防護具の使用、エプロンやガウンの適切な着脱、汚染物の片づけ等が必要です。また、感染経路を遮断するためには、手指消毒やテーブル・ベッドなどの環境消毒、マスクの使用などが必要です。

        以上のような基本を押さえたうえで、訪問看護ステーションで感染症のまん延を防止するためには、どのような対応が推奨されているのかを見ていきましょう。

        公財)日本訪問看護財団のマニュアル

        ここでは、公益財団法人日本訪問看護財団の「新型コロナウイルス感染症自宅療養者への訪問看護マニュアル」の内容についてご紹介します。

        事前の体制整備

        訪問看護事業所が行う事前準備として、以下のようなポイントが挙げられています。

        • 地域の訪問看護事業所間における対応体制の検討
        • 入院困難・待機者が発生した場合の対応に関する行政等との事前合意

        初回訪問までの準備

        訪問看護事業所が行う事前準備として、以下のようなポイントが挙げられています。

        • 初動(保健所・医師より訪問要請。行政との委託契約)
        • 基礎情報収集
        • 療養者(家族)に対する電話問診(食事・移動・呼吸困難)
        • 心身状態および生活状況のさらなる情報収集/情報提供
        • 症状悪化時の対応/連絡先等について説明
        • 医師の確認と連携(対応できる医師・かかりつけ医の確認、医師へ連絡・往診/電話診療可否確認、対応可能な医師の検索、医師に訪問看護指示書・特別指示書作成依頼)
        • 急変対応
        • 公的サービス利用の有無を確認(ケアプラン等の確認/介護支援専門員との連携、地域包括支援センターに連絡)

        訪問時の対応

        訪問に関して以下のようなポイントが挙げられています。

        • 訪問前に療養者宅へ電話(訪問前に電話連絡、事前指示及び確認)
        • 訪問セット準備
        • 療養者宅到着(ケア前の準備)
        • ケアの実施(症状出現日・発熱・脱水兆候・SpO2・呼吸数等の確認、医師に報告・追加指示の確認、医師の指示のもとに保健所に入院依頼、食事援助・清潔援助・服薬援助・点滴管理・酸素療法等のケアの提供、症状悪化時の連絡先の説明、症状悪化時の対応について確認)
        • 退室後の後始末(退室準備、帰り支度)
        • 関係各所へ連絡(医師への連絡、保健所への連絡、関係多職種への連絡)

        【訪問セットの内容】

        • 手袋(ニトリル手袋、プラスティック手袋)
        • マスク(サージカルマスク、N95マスク)
        • ガウン(袖付き)
        • ゴーグルもしくはフェイスシールド
        • キャップ
        • シューズカバー
        • 擦式アルコール手指消毒薬
        • 環境整備・機器用の消毒薬
        • 血圧計
        • SpO2モニター
        • 体温計
        • ゴミ袋(大小、レジ袋など)

        一社)全国訪問看護事業協会のマニュアル

        一般社団法人全国訪問看護事業協会は、「新型コロナウイルス感染症対策 訪問看護ステーションで取り組みましょう」という冊子の中で、事前の対策として、スタッフと事業所の新型コロナウイルスに対する方針を話し合うことの重要性を示しています。

        それでは、一般社団法人全国訪問看護事業協会の「新型コロナウイルス感染症対策 訪問看護ステーションで取り組みましょう(冊子)」の内容についてご紹介します。

        勤務体制など事業所内の取り組み

        • 優先順位を考慮しながら業務内容を検討する
        • 職員や同居家族に感染が疑われる場合の連絡や対応の体制を検討する
        • 一人の職員に過度な負担がかからないよう、物品調達、情報収集、連絡担当など、役割を分担する

        利用者様や家族への対応

        • 利用者様や家族に新型コロナウイルス発生時等の対応を説明する文書を準備する
        • 訪問に関する予防的な取り組みを確認する
        • 家族への消毒や清掃の指導など、利用者様や同居家族等が感染した場合の対応を考える
        • 病態などの緊急度に応じて訪問看護の優先度を決める

        事業所外の他職種と共有する連絡事項

        • 職員と共に、万が一の際に事業所外に共有すべき連絡事項について話し合う
        • 主治医・ケアマネジャー・保健所等に、連絡事項をあらかじめ伝える
        • 感染者や休職者が発生した際、近隣のステーションと連携する、もしくは近隣のステーションに利用者様を変更するなどの対応策を検討する

        衛生材料や医療材料等の確保

        • マスクや防護衣を調達。品切れの場合は代替用品も検討する
        • 利用者様ごとに医療材料や薬のチェック表を作成。利用者様や家族と協力して必要量を確保する

        厚生労働省のマニュアル

        ここでは、厚生労働省の「介護現場における(施設系 通所系 訪問系サービスなど)感染対策の手引き」の内容についてご紹介します。

        感染予防のための管理者の役割

        感染防止のために、管理者は日頃から以下のような取組みを行うことが重要だとされています。

        • 地域の感染症の発生状況を把握
        • 連絡先の一覧を作成するなど、日頃から医師や保健所等との連携体制を構築
        • 感染症を疑う利用者様がいる場合は、速やかに受診を勧奨
        • 近隣事業所との情報交換を密に行い、地域レベルで効果的な対応ができるようにする
        • 職員の健康管理にも留意し、感染症が疑われる場合は、速やかに医療機関の受信を進めるなど助言を行う

        感染予防のための職員の役割

        感染症の予防のために、以下の対応を職員全員で取り組むことが重要だとされています。

        • 感染対策の基本的な考え方、個人用感染防護具の装着方法等を習得する
        • 事業所内での感染対策の研修や、企画・運営等にも積極的に参加する
        • 感染症発生時の対応がまとめてある書類の場所を把握する
        • 職員同士で声をかけあい、感染対策を徹底する
        • 利用者様が発熱している等、体調に心配がある場合には、かかりつけ医と連携し、適切な対応につなげられるようにする

        【新型コロナウイルス】訪問看護ステーションの相談窓口、支援

        最後に、新型コロナウイルス感染症等に関する、訪問看護ステーションの相談窓口や支援についてご紹介します。

        公財)日本看護協会の相談窓口

        公益財団法人日本看護協会は、新型コロナウイルス感染症に関する看護職の相談窓口を設置しています。

        「感染管理」や「労務関連(働き方)」についてはチャットボットで、メンタルヘルスについてはメールや電話を用いた個別相談の窓口で相談をすることができます。

        リンク:日本看護協会の相談窓口

        公財)日本訪問看護財団の相談窓口

        公益財団法人日本訪問看護財団は、訪問看護を提供する際の疑問や質問に答える相談窓口を設置しています。

        電話やFAX、相談専用フォームから相談をすることができます。

        リンク:日本訪問看護財団の相談窓口

        一社)全国訪問看護事業協会の相談窓口

        一般社団法人全国訪問看護事業協会は、訪問看護相談室を設置しています。

        新型コロナウイルスに関する悩みなどをメールにて相談することができます。

        リンク:全国訪問看護事業協会の相談窓口

        まとめ

        ここまで、訪問看護事業所の感染症予防・感染拡大を防ぐための方法など、厚生労働省や各団体が公表している情報をお伝えしてきました。

        日頃からの感染症対策を確実に実施することもとても重要ですが、このように公開されているマニュアル・情報を参考にしながら、事業所のマニュアルを定期的に見直すことも必要になっています。

        この記事でご紹介した内容が、皆様の事業運営のお役に立てば幸いです。

        最後までお読みいただきありがとうございました。

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