訪問看護師にスキルアップしてもらうための方法とは?キャリアアップのための研修や資格もご紹介

2023.05.08
2023.05.09
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サービスの質を向上させるために、看護師にスキルアップしてもらいたいと考える訪問看護事業者の方は多いでしょう。

そのような時に、「看護師にスキルアップをしてもらうためにはどうしたらいいの?」や「スキルアップのためにどんな資格を取得してもらうといいの?」といった疑問が浮かぶかもしれません。

この記事では、訪問看護事業所の経営者・管理者の皆様に向けて、看護師にスキルアップしてもらうための方法や、スキルアップのために取得してもらいたい資格や受講してもらいたい研修について解説していきます。

目次
    訪問看護師にスキルアップしてもらうための方法とは?
    訪問看護師のスキルアップのために取得してほしい資格の一覧とは?
    訪問看護師のスキルアップのために取得してほしい研修の一覧とは?
    まとめ

      訪問看護師にスキルアップしてもらうための方法とは?

      訪問看護師にスキルアップしてもらうためには、事業所が資格の取得や研修の受講をサポートするのが良いでしょう。

      以下のような資格や研修は、訪問看護師のスキルアップにつながるでしょう。

      【資格】

      • 認定看護師
      • 専門看護師
      • 認知症ケア専門士

      【研修】

      • 特定行為研修
      • 精神障がい者の在宅看護セミナー
      • 訪問看護ステーション管理者育成研修

      訪問看護師のスキルアップとキャリアアップの違いとは?

      スキルアップとは、学習や研修、訓練などを通して自身の能力を高めることを言います。対して、キャリアアップとは、専門的な知識や高い能力を身につけるだけでなく、役職や地位、経歴を高めることを言います。

      訪問看護師には、以下のようなキャリアアップの例が考えられます。

      訪問看護師のスキルアップのために取得してほしい資格の一覧とは?

      訪問看護師のスキルアップに資する資格について、詳しく見ていきましょう。

      認定看護師

      認定看護師とは、特定の看護分野における熟練した技術および知識を用いて、水準の高い看護を実践できる看護師を輩出することで、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的に、日本看護協会が創設した民間資格です。

      認定看護師には旧制度には21つ、新制度には19つの認定看護分野があります。その中でも訪問看護師のスキルアップにつながる分野は以下のとおりです。

      旧制度 皮膚・排泄ケア
      緩和ケア
      訪問看護
      感染管理
      糖尿病看護
      認知症看護
      新制度 感染管理
      がん薬物療法看護
      緩和ケア
      在宅ケア
      糖尿病看護
      認知症看護
      皮膚・排泄ケア

      認定看護師の資格を取得するには?

      認定看護師になるには、受験資格をクリアした上で、認定審査を受験する必要があります。また、認定看護師の資格は、5年ごとに更新審査を受けなければなりません。

      【受験資格】

      • 看護師免許がある
      • 看護師免許を取得後、通算5年以上の実務研修を受けており、そのうち通算3年以上は特定の認定看護分野における実務研修である
      • 認定看護師教育機関に入学・修了しているか、外国においてそれらと同等と認められる教育を修了している

      【審査料金】

      51,700円

      【審査方法】

      マークシート方式・四肢択一の筆記試験(100分)

      専門看護師

      専門看護師とは、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人や家族などに対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野における知識・技術を深めた看護師を輩出することで、保健医療福祉の発展への貢献と看護学の向上を図ることを目的に、日本看護協会と日本看護系大学協議会が連携して運営している民間資格です。

      専門看護師は、専門分野において、以下の6つの役割を果たすこととされています。

      1. 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
      2. 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
      3. 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
      4. 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
      5. 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
      6. 専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。(研究)

      現在、14つの専門看護分野が特定されていますが、訪問看護師のスキルアップにつながる分野は以下のとおりです。

      • がん看護
      • 精神看護
      • 地域看護
      • 老人看護
      • 小児看護
      • 慢性疾患看護
      • 感染症看護
      • 家族支援
      • 在宅看護
      • 災害看護

      専門看護師の資格を取得するには?

      専門看護師になるには、受験資格をクリアした上で、認定審査を受験する必要があります。また、専門看護師の資格は、5年ごとに更新審査を受けなければなりません。

      【受験資格】

      • 看護師免許がある
      • 看護系大学大学院修士課程、もしくは関連領域の大学院修士課程を修了している
      • 専門看護師としての必要な実務研修がある

      【審査料金】

      51,700円

      【審査方法】

      書類審査、論述式の筆記試験(120分)

      認知症ケア専門士

      認知症ケア専門士とは、認知症ケアに対する優れた知識と技能、倫理観を備えた専門技術士を養成することを目的に、一般社団法人日本認知症ケア学会が創設した民間資格です。

      認知症ケア専門士の資格を取得するには?

      認知症ケア専門士の資格を取得するためには、受験資格をクリアした上で、認定試験を受験する必要があります。

      【受験資格】

      • 認知症ケアに関する施設・団体機関等おいて、試験実施年の3月31日より過去10年間に、3年以上の認知症ケアの実務経験がある

      【資格取得までの流れ】

      1. 第1次認定試験(WEB試験)に合格
      2. 第2次認定試験(論述試験)に合格
      3. 倫理研修(研修動画)の受講

      訪問看護師のスキルアップのために取得してほしい研修の一覧とは?

      訪問看護師のスキルアップに役立つ研修について詳しく見ていきましょう。

      特定行為研修

      特定行為研修は、保健師助産師看護師法に位置付けられた研修制度で、2015年10月から開始されています。研修を受講することで、医師の手順書があれば、看護師が特定行為を行うことができるようになります。

      特定行為とは、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力・思考力・判断力、さらには高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされる38の行為のことです。

      【特定行為の具体例】

      • 気管カニューレの交換
      • 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
      • 膀胱ろうカテーテルの交換
      • 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
      • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整

      実施頻度の高い特定行為については、各領域ごとにパッケージ研修が設けられており、その中のひとつに「在宅・慢性期領域」のパッケージ研修があります。ここからは、鹿児島大学病院看護師特定行為研修センターが実施している「在宅・慢性期領域」のパッケージ研修について、詳しく見ていきます。

      受講要件

      鹿児島大学病院看護師特定行為研修センターが実施の場合、研修を受講するためには受講審査を通過しなければなりません。受講審査に出願するためには、以下の全てを満たす必要があります。

      【出願資格】

      • 看護師免許がある
      • 看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験がある
      • 原則として、所属施設において特定行為の実践・協力が得られ、所属長の推薦書を添付できる
      • 原則として、所属施設が協力施設となって特定行為研修の実習を行える
      • 今後、特定行為を通じて、医療の発展と社会貢献に寄与する意欲がある

      費用

      • 受講審査料・・・1万円
      • 受講料・・・76万7,800円

      研修内容

      研修内容や時間数は以下の通りです。

      研修内容 時間数
      呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 11時間
      ろう孔管理関連 19時間
      創傷管理関連 29時間
      栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 13時間
      合計 72時間

      精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした研修

      精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした研修は、精神科訪問看護基本療養費の算定要件の1つとなっています。

      幅広い症状の利用者様を受け入れる体制を整えるためにも、受講をすすめてみましょう。

      ここからは、日本訪問看護財団が実施している「令和4年度改訂版 精神障がい者の在宅看護セミナー」について詳しく見ていきましょう。

      受講要件

      資格、職種、就業の有無にかかわらず受講可能です。

      受講料

      • 会員・・・15,400円
      • 非会員・・・25,300円

      研修概要

      講義時間は約21時間で、以下の内容を学びます。

      • 精神保健福祉の現状と動向
      • 精神科訪問看護の動向と制度活用
      • 精神疾患と治療について
      • 精神障がい者を介護する家族の支援
      • 精神障がい者及び家族を地域で支えるための社会資源と 制度の利用

        など

      訪問看護ステーション管理者育成研修

      訪問看護ステーション管理者育成研修は、人的資源管理や安定した事業所運営を行える管理者を育成することを目的に実施されています。

      訪問看護ステーション運営や人材育成について学べるため、新しく管理者となった訪問看護師のスキルアップにつながる資格です。

      ここからは、東京都福祉保健財団が実施している訪問看護ステーション管理者・指導者育成研修の基礎実務コースについて詳しく見ていきましょう。

      受講要件

      • 東京都内事業所の看護職
      • 訪問看護ステーション運営の基礎実務を学びたい、新たな管理者・指導者

      受講料

      なし(東京都が負担)

      研修概要

      研修は2日にわたって開催され、以下の内容を学びます。

      • 地域包括ケア推進における 訪問看護ステーションの役割
      • 訪問看護ステーション運営の基礎
      • これだけは知っておこう経営の基本
      • 地域の医療機関とどう関わるか

        など

      まとめ

      ここまで、訪問看護師にスキルアップしてもらうための資格や研修について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

      資格の取得や研修の受講などによって訪問看護師にスキルアップをしてもらうと、事業所全体のサービスの質の向上や、人材定着につながってきます。事業所としては、積極的にスキルアップをしてもらうための環境を整えることが大切になってくるでしょう。

      最後までお読みいただきありがとうございました。

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