サービスの質を向上させるために、看護師にスキルアップしてもらいたいと考える訪問看護事業者の方は多いでしょう。
そのような時に、「看護師にスキルアップをしてもらうためにはどうしたらいいの?」や「スキルアップのためにどんな資格を取得してもらうといいの?」といった疑問が浮かぶかもしれません。
この記事では、訪問看護事業所の経営者・管理者の皆様に向けて、看護師にスキルアップしてもらうための方法や、スキルアップのために取得してもらいたい資格や受講してもらいたい研修について解説していきます。
訪問看護師にスキルアップしてもらうためには、事業所が資格の取得や研修の受講をサポートするのが良いでしょう。
以下のような資格や研修は、訪問看護師のスキルアップにつながるでしょう。
【資格】
【研修】
スキルアップとは、学習や研修、訓練などを通して自身の能力を高めることを言います。対して、キャリアアップとは、専門的な知識や高い能力を身につけるだけでなく、役職や地位、経歴を高めることを言います。
訪問看護師には、以下のようなキャリアアップの例が考えられます。
訪問看護師のスキルアップに資する資格について、詳しく見ていきましょう。
認定看護師とは、特定の看護分野における熟練した技術および知識を用いて、水準の高い看護を実践できる看護師を輩出することで、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的に、日本看護協会が創設した民間資格です。
認定看護師には旧制度には21つ、新制度には19つの認定看護分野があります。その中でも訪問看護師のスキルアップにつながる分野は以下のとおりです。
認定看護師になるには、受験資格をクリアした上で、認定審査を受験する必要があります。また、認定看護師の資格は、5年ごとに更新審査を受けなければなりません。
【受験資格】
【審査料金】
51,700円
【審査方法】
マークシート方式・四肢択一の筆記試験(100分)
専門看護師とは、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人や家族などに対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野における知識・技術を深めた看護師を輩出することで、保健医療福祉の発展への貢献と看護学の向上を図ることを目的に、日本看護協会と日本看護系大学協議会が連携して運営している民間資格です。
専門看護師は、専門分野において、以下の6つの役割を果たすこととされています。
現在、14つの専門看護分野が特定されていますが、訪問看護師のスキルアップにつながる分野は以下のとおりです。
専門看護師になるには、受験資格をクリアした上で、認定審査を受験する必要があります。また、専門看護師の資格は、5年ごとに更新審査を受けなければなりません。
書類審査、論述式の筆記試験(120分)
認知症ケア専門士とは、認知症ケアに対する優れた知識と技能、倫理観を備えた専門技術士を養成することを目的に、一般社団法人日本認知症ケア学会が創設した民間資格です。
認知症ケア専門士の資格を取得するためには、受験資格をクリアした上で、認定試験を受験する必要があります。
【資格取得までの流れ】
訪問看護師のスキルアップに役立つ研修について詳しく見ていきましょう。
特定行為研修は、保健師助産師看護師法に位置付けられた研修制度で、2015年10月から開始されています。研修を受講することで、医師の手順書があれば、看護師が特定行為を行うことができるようになります。
特定行為とは、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力・思考力・判断力、さらには高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされる38の行為のことです。
【特定行為の具体例】
実施頻度の高い特定行為については、各領域ごとにパッケージ研修が設けられており、その中のひとつに「在宅・慢性期領域」のパッケージ研修があります。ここからは、鹿児島大学病院看護師特定行為研修センターが実施している「在宅・慢性期領域」のパッケージ研修について、詳しく見ていきます。
鹿児島大学病院看護師特定行為研修センターが実施の場合、研修を受講するためには受講審査を通過しなければなりません。受講審査に出願するためには、以下の全てを満たす必要があります。
【出願資格】
研修内容や時間数は以下の通りです。
精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした研修は、精神科訪問看護基本療養費の算定要件の1つとなっています。
幅広い症状の利用者様を受け入れる体制を整えるためにも、受講をすすめてみましょう。
ここからは、日本訪問看護財団が実施している「令和4年度改訂版 精神障がい者の在宅看護セミナー」について詳しく見ていきましょう。
資格、職種、就業の有無にかかわらず受講可能です。
講義時間は約21時間で、以下の内容を学びます。
など
訪問看護ステーション管理者育成研修は、人的資源管理や安定した事業所運営を行える管理者を育成することを目的に実施されています。
訪問看護ステーション運営や人材育成について学べるため、新しく管理者となった訪問看護師のスキルアップにつながる資格です。
ここからは、東京都福祉保健財団が実施している訪問看護ステーション管理者・指導者育成研修の基礎実務コースについて詳しく見ていきましょう。
なし(東京都が負担)
研修は2日にわたって開催され、以下の内容を学びます。
ここまで、訪問看護師にスキルアップしてもらうための資格や研修について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。
資格の取得や研修の受講などによって訪問看護師にスキルアップをしてもらうと、事業所全体のサービスの質の向上や、人材定着につながってきます。事業所としては、積極的にスキルアップをしてもらうための環境を整えることが大切になってくるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。