高齢化が進む日本では、高齢者が住み慣れた地域での生活を継続するために、生活機能の維持・向上を目指すための介護サービスとして、『デイサービス』が重要な役割を担っています。
通所介護は、介護保険法の改正によって平成28年4月1日から「定員19名以上は通所介護」と「定員18名以下は地域密着型通所介護」として分類されることになりました。
地域密着型通所介護は、小規模な事業所として、高齢者の生活圏域における地域との連携や運営の透明性の確保の観点から創設されました。
この記事では、地域密着型通所介護の開業を検討している方に向けて、事業者が行う『指定申請』を詳しく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
介護保険法に基づく地域密着型通所介護サービスを提供するためには、開業予定地の「市町村長」から、指定地域密着型サービス事業所の指定を受ける必要があります。この指定を受けるために行う申請手続きを『指定申請』と言います。 また、指定を受けた後は、有効期限(6年)に合わせて更新申請を行い、事業を継続することになります。
指定申請の実際の流れは、申請を行う市町村によって若干違いますので、ここでは千葉県柏市を例に説明していきます。
柏市では、地域密着型通所介護の新規指定申請を行う場合、指定予定月の前々月15日頃までに「指定申請書類審査申込書」を提出することになります。 また、「指定申請書類審査申込書」を提出するまでに、事業所が使用する建物について、市の消防局火災予防課との協議、市の建築指導課との協議が必要になります。
指定申請書と添付書類を準備して、指定予定月の前々月23日頃までに指定申請受付窓口に提出します。
指定申請書及び添付書類に関して、担当課窓口にて審査及び補正が行われます。審査・補正の結果、問題がないと確認されると、申請が受理されたことになります。
指定申請書及び添付書類等の受理後、必要に応じて担当職員が開設予定の事業所を訪問し、現地で設備等の確認が行われます。
書類の確認や現地確認が終わると、事業所番号等が記載された指定地域密着型通所介護サービス事業所の指定通知書が届きます。
指定申請の流れとして、事前相談や指定申請書類審査申込書の提出、指定申請書提出、審査・現地確認、指定を受けるというのが一般的です。 もし、開業予定日に指定を受けられず開業することができない状況になると、賃料や人件費の支払いだけが発生してしまうことや、利用予定の高齢者、担当ケアマネジャー、他の事業所、事業所の従業員にも迷惑をかけてしまうことになりかねません。 ですから、開業予定日から逆算して、スケジュール通りに進められるかどうかはとても重要です。指定申請の具体的なスケジュールは、市町村によって違いがありますので、しっかりと把握し、余裕をもって行動しましょう。
指定申請を行うためには、「法人としての登記」、「事業所の賃貸契約・改築・建設」、「従業員の採用」、「事業計画・収支予算の作成、融資手続き」、「各種規則や規程、マニュアル等の作成」など、準備がとても大変です。 特に、介護職員を始め、看護職員、機能訓練指導員など従業員の採用は、全国的に有効求人倍率が高いことからも準備が大変です。
今回ご紹介した例では、開業予定月の前々月に指定申請書類審査申込書を提出することから、その前には物件を手配し、主軸となる管理者を採用していなくてはいけません。 この期間の経費に対して、収入がない状態であること、そして、実際に開業してサービスを提供してからも、その介護報酬が入金されるのはサービス提供月の約2ヵ月後であることからも、開業時の資金調達では運転資金の計算に注意が必要です。
地域密着型通所介護の開業準備では、事業計画の作成、法人設立、指定申請書類の作成、従業員の採用、利用者獲得のための営業、加算算定のための準備など、やらなくてはいけないことがとても多いです。また、開業に向けた準備を進める中でわからないこと・迷ってしまうこともでてくるでしょう。
このように開業への不安や疑問がある方は、ぜひ『カイポケの開業支援サービス』のような開業をサポートするサービスを活用しましょう。
地域密着型通所介護の指定申請について説明してきましたが、一連の流れを掴むことはできましたか? 地域密着型通所介護の指定申請では、一連の流れと具体的なスケジュールを把握し、人員基準、設備基準、運営基準を満たしていることを証明する書類を準備します。 この記事でご紹介した内容が、皆様の地域密着型通所介護事業所の開業・指定申請のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。