厚生労働省の「介護給付費等実態統計 令和4年8月審査分」によると、通所介護は『24,533事業所』、地域密着型通所介護は『18,950事業所』、合計で約43,000事業所が運営されています。
直近5年間ほどデイサービスの事業所数は横ばいの傾向にありますが、高齢者数の増加に伴い、ビジネスチャンスを感じ、これまでの経験を活かしてデイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)の開業・起業を考えている方は多いのではないでしょうか。
デイサービスを開業し、安定した経営を行うためには、事業の見通しを立てる必要があり、その際『事業計画書』が用いられています。
この記事では、デイサービスの事業計画書について目的や記載すべき項目・内容等をご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
デイサービスで『事業計画書』を作成する主な目的として、『事業の見通しを立てる』、『金融機関からの融資』、『指定申請に使用する』が挙げられます。 それでは、それぞれの目的の内容を詳しく見ていきましょう。
事業計画書を作成する目的のひとつとして、経営者が『事業の見通しを立てるため』が挙げられます。 事業計画書には、事業のコンセプト、サービスの内容、ターゲットなど事業の全体像と合わせて、「どれくらいの収入があるのか?」、「どれくらいの経費が経常的に発生するのか?」、「初期投資はどれくらいの金額を予定しているのか?」、「融資によってどれくらいの金額を資金調達して、月々どれくらいの金額を返済するのか?」などの複数年の収支計算や資金調達の内容まで記載します。 開業前に、これらの項目について具体的な数字・金額を計算することにより、皆様が考えている「コンセプト」や「提供したいサービス」を実施し、事業として経営が成り立つのかを確認することができます。
開業・起業にあたり、金融機関からの融資を受け、資金調達を考えている方は多いでしょう。 金融機関から融資を受ける際、提出する書類に『事業計画書』が含まれています。 金融機関から融資を受けるには、「事業・収支の見通しがあり、返済ができること」を説明しなくてはいけません。そのためは、事業の概要、サービスの内容、ターゲット、市場環境、経営者の経歴や起業の動機、他の借入の状況、初期投資の内訳、資金調達方法、収支計算などについて説明する必要があり、そのために事業計画書を作成することになります。 また、融資を受けるためには、事業計画書だけでなく、借入金の返済ができることを説明するために、もっと詳細な収支計算を記載した収支計画書を作成する必要もでてくるでしょう。 収支計画書には、「営業日数」、「一人当たりの売上・単位数」、「利用人数・稼働率」、「従業員の人数・人件費の内訳」、「その他の主な経費の内訳と金額(家賃、給食費、水道光熱費、車輛費、保険料など)」など、詳細な収支計算を行うために必要な情報を記載することになります。
デイサービスを開業するためには、都道府県等から「指定」を受けなくてはいけません。そして、この指定を受けるために「指定申請書」を提出することになります。 指定申請書(付表)には、事業所の単位、利用定員、職種・勤務形態ごとの従業員数、営業日、営業時間・サービス提供時間などを記載する必要があるので、これらの項目を記載した事業計画書をあらかじめ作成し、また、これらの項目を勘案した収支計算を行うことで、指定申請書等を作成する際に役立ちます。
金融機関から融資を受ける際に提出する事業計画書は、フォーマットが指定されますが、それ以外の目的がある場合は、目的に合わせてカスタマイズして事業計画書を作成することになります。 それでは、これまでご紹介してきた3つの目的を網羅するために、事業計画書と収支計画書に必要な項目について見ていきましょう。
事業計画書・収支計画書は、このような項目について『整合性をもって』、かつ『説明を受ける相手が理解できるように』、作成しましょう。 また、収支計画書は『事業の継続した安定性(返済ができること)を示す』ために、年度ごとに3期分ほどを作成しておくことをおススメします。
デイサービスの開業準備では、事業計画の作成、法人設立、指定申請書類の作成、従業員の採用、利用者獲得のための営業、加算算定のための準備など、やらなくてはいけないことがとても多いです。また、開業に向けた準備を進める中でわからないこと・迷ってしまうこともでてくるでしょう。
このように開業への不安や疑問がある方は、ぜひ『カイポケの開業支援サービス』のような開業をサポートするサービスを活用しましょう。
今回は、デイサービスの事業計画書について説明してきました。 デイサービスを開業・起業するにあたって、経営者である皆様自身が、事業の見通しを確認し、関係者・関係機関へ説明するために『事業計画書』を作成することはとても重要です。 ここでご紹介した内容が、デイサービスの開業、そしてその後の事業所運営のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。