介護給付費明細書とは、利用者へ提供した介護サービスの実績を記録したサービス提供票・サービス提供票別表などを基に算出した介護給付費について、その内訳や保険者・利用者等への請求額を算定する書類です。 介護報酬の請求だけでなく、利用者の自己負担額の算定や収入(介護給付費)の内訳、事業所独自強みの分析に活用することもできます。
介護サービスを提供した月の翌月10日までに国保連へ提出します。
介護給付費明細書の様式は、事業所が提供するサービス種別によって異なります。
ここでは、居宅サービスと地域密着型サービスの様式を例に主な項目について解説します。
*参考:厚労省記載要領(P6より介護給付費請明細書について詳細な説明があります)
(1)サービス提供年月 介護報酬の請求対象となる介護サービスを提供した年月を記載します。 再請求を行なう際は、サービス提供年月の隣に「月遅れ再請求」などと記載すると管理がしやすくなります。
(2)公費負担者番号・公費受給者番号 介護保険の適用となる公費受給者に対して介護サービスを提供した場合は、公費受給者が所持している受給者証などに記載されている公費負担者番号と公費受給者番号を記載します。
(3)保険者番号 介護保険被保険者証などを確認し、保険者である市区町村等の保険者番号を記載します。
(4)被保険者番号、氏名、生年月日、性別 介護保険被保険者証の情報を記載します。
(5)要介護状態区分、認定有効期間 要介護状態区分とその認定の有効期間を記載します。 要介護状態区分等が月の途中で変更された場合は、区分等が変更された月の月末時点での情報を記載してください。
(6)請求事業者に関する情報 指定事業所番号や事業所の指定を受けた際に届出てた事業所名・所在地、連絡先を各欄に記載します。 事業所名や所在地など指定を受けた際の情報を変更した場合は、別途手続きが必要です(原則10日以内)。 連絡先欄には国保連や保険者からの問い合わせを受ける電話番号を記載します。
(7)居宅サービス計画 居宅療養管理指導費のみを請求する場合を除き、区分支給限度額管理の対象となるサービスの請求を行う場合に記載します。 居宅サービス計画の作成方法は当てはまる方を〇で囲みます。 居宅介護支援事業者が作成した場合は、サービス提供票を参考に、居宅介護支援事業者の事業所番号を記載します。
いずれも月の途中で要介護、要支援をまたがる区分変更認定などがあった場合には、月末時点の作成方法を選びます。(補足での記載が必要な場合は、「介護予防支援事業者作成」など省略せず正確に記載します)
(8)開始年月日 開始年月日は請求対象の月の最初に介護サービスを提供した日を記載します。 ※前月以前から継続して介護サービスを提供している場合の記載は不要。ただし、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護は前月以前から継続している場合でも、サービス提供開始日(前月以前)を記載する。 ※複数のサービス種類が記載されている場合は、最も前の日付を記載する。
(9)中止年月日、中止理由 中止年月日欄には介護サービスの提供を終了した日を記載し、下段の中止理由欄で該当する箇所を〇で囲みます。 翌月以降も引き続き介護サービスを継続して利用する場合の記載は不要です。
(10)介護給付費明細欄 介護事業所が提供した介護サービスの内容などを記載します。 なお、提供した介護サービスのうち、公費負担の対象となる部分については、公費分回数欄へ記載し、公費対象の単位数を算出してください。
(11)摘要 リンク先資料のうち、「別表1」のシートの内容にしたがって、サービスごとに定められた内容を記載します。 例えば訪問介護の場合は、身体介護4時間以上のサービスを提供した場合に計画上の所要時間を分単位で記載することなどが定められています。
(12)給付率 ・保険欄 負担割合証(被保険者証、減免証等)を参考にして、介護給付費の基準額のうちの保険給付の率を記載します。 ※1割負担の場合は 90、一定以上所得者の場合は80または70 ※月の途中で変更となった場合は、月内で最も大きい数字を記載。(ただし、旧措置入所者に係る利用者負担減免の対象で、その効力が申請月の初日にさかのぼる場合を除く。) ・公費欄 公費負担の給付を行う率を百分率で記載します。 各制度に応じた給付率などはリンク先ファイルの「別表2」のシートを参照してください。 なお、 障害者対策(特別対策)における訪問介護(介護予防を含む)や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護の場合は、公費負担医療に準じた取扱いを行うため、保険給付率を加えた率(例えば保険給付率が 90%、公費負担率が10%の場合は100)として記載します。
(13) 請求額集計欄 介護給付費明細書、サービス提供票およびその別表等を集計し①「サービス種類コード」から⑬「公費本人負担」の各項目を記載します。
①サービス種類コード サービス種類のコード(サービスコードの上2桁)を記載します。
②サービス種類の名称 当該対象サービス種類の名称(訪問介護、訪問入浴介護等)を記載します。
③サービス実日数 事業所で訪問サービス、通所サービス、地域密着型サービスのいずれかを実施した日数、居宅療養管理指導のために利用者の居宅を訪問した日数、福祉用具貸与を実際に行った日数をそれぞれ記載します。
④計画単位数 居宅介護支援事業者、または被保険者が作成したサービス提供票の別表から、月内に事業所から提供するサービス種類における区分支給限度基準内単位数を転記します。 ※居宅療養管理指導の場合は記載不要。
⑤ 限度額管理対象単位数 支給限度額管理対象のサービス単位数を合計して記載します。
⑥ 限度額管理対象外単位数 各サービス種類のうち、支給限度額管理対象外のサービス単位数を合計して記載します。
⑦給付単位数 「④計画単位数」と「⑤限度額管理対象単位数」のいずれか低い方の単位数に「⑥限度額管理対象外単位数」を加えた単位数を記載します。
⑧公費分単位数 該当するサービス種類の公費対象単位数の合計と「⑦ 給付単位数」のいずれか低い方の単位数を記載します。
⑨単位数単価 事業所所在地での単位数あたり単価をサービス種類別に記載します。 サテライト事業所の場合は、その所在地の単位数あたり単価を記載します。
⑩保険請求額 下記の計算式で計算した保険請求額を記載します。
保険請求額=《《⑦給付単位数×⑨単位数単価》×保険給付率》 ※《 》で囲まれた部分の計算結果の小数点以下は切り捨て。
⑪利用者負担額 下記の計算式で計算した利用者負担額を記載します。
利用者負担額=《⑦給付単位数×⑨単位数単価》-⑩保険請求額- ⑫公費請求額-⑬公費分本人負担 ※《 》で囲まれた部分の計算結果の小数点以下は切り捨て。 ※サービスの提供ごとに利用者負担を徴収している場合など、端数処理によって徴収した利用者負担の合計とは一致しない場合があります。
⑫公費請求額 下記の計算式で計算した公費請求額を記載します。 公費請求額=《《⑧公費分単位数×⑨単位数単価》×(公費給付率-保険給付率)》-⑬公費分本人負担 ※ 公費の給付率が 100/100 で、保険給付対象単位数と公費対象単位数 が等しく、利用者負担額(公費の本人負担額を除く。)が発生しない場合は、《⑦給付単位数×⑨単位数単価》-⑩保険請求額-⑬公費分本人負担 ※《 》で囲まれた部分の計算結果の小数点以下は切り捨て。
⑬公費分本人負担 公費負担医療、または生活保護受給者で本人負担額がある場合、その額を記載します。
(14)合計 保険請求額から公費分本人負担(全額自己負担分を除く)についてそれぞれの行の合計金額を合計欄に記載します。
(15) 社会福祉法人等による軽減欄 社会福祉法人等が運営している介護事業所について、その社会福祉法人等が利用者負担軽減の申出を都道府県等に行っている場合に必要事項を記載します。市区町村等が発行する利用者負担軽減確認証等などを確認してください。
介護給付費請求書と同様に、内容に誤りや不備等があると国保連による一次審査や各市区町村などの保険者による二次審査が通りません。
特に各市区町村などによる二次審査が通らない場合は、再請求の猶予期間が与えられることなく介護事業所へ介護給付費の支払いが行われる時期に国保連から「返戻」となって介護給付費請求書が戻ってきます。資金繰りの圧迫要因となるため、介護給付費請求書と併せて慎重な対応が求められます。
介護給付費請求書や介護給付費請求明細書が審査され不備が見つかった結果、支払処理が出来ずに事業所へ国保連合会から請求書類が戻されることです。
審査月の翌月6日頃に国保連合会から事業所へ審査結果の通知が送付られます。
介護給付費請求書などの審査に当たり、居宅介護支援事業所から「給付管理票」の提出がされていない場合や給付管理票が返戻となっている場合、一定期間審査が保留されます。請求情報は保留される期間内(通常2カ月間)に給付管理票が提出されれば国保連から支払いが行われ、提出がなかった場合は介護給付費請求書や介護給付費請求明細書も返戻されます。
・介護給付費明細書は1事業所(複数のサービス種類を提供する同一事業所番号の事業所を含む)の被保険者1人あたり、1カ月に1件作成します。 ※居宅介護支援費・介護予防支援費の請求の場合を除く ※月途中で要介護状態と要支援状態をまたがる区分変更認定がある被保険者に対して、1事業所から変更前後に居宅サービスと介護予防サービスを提供した場合は1カ月に2件以上作成する。
・1枚の介護給付費明細書の明細記入欄に請求明細が記入しきれない場合は、右下の所定欄に何枚中の何枚目か記載し、複数の介護給付費明細書に分けて明細の記入を行います。この際、2枚目以降は被保険者番号を除く被保険者欄の各項目、事業所番号を除く請求事業者欄の各項目の記載が省略できます。
・請求額集計欄は1枚目にのみ記載します。
(注)記事の内容は、2021年6月末時点の情報を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開された場合、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。配信日:2021年7月21日