厚生労働省が示している様式、「科学的介護推進に関する評価」は、2021年度介護報酬改定で新設された「科学的介護推進体制加算」を算定する際に科学的介護情報システム(以下・LIFE)への登録項目を示すものです。同加算を算定するためには、書式の作成ではなく、ここで示されている項目のLIFEへのデータ登録が必要になります。
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通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)地域密着型通所介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護のいずれかのサービス事業所で科学的介護推進体制加算を算定する場合、以下のア~エの通り規定されている月の翌月10日までにデータの登録が必要です。
ア 加算の算定を開始しようとする月時点でサービスを利用している利用者(既利用者)は、算定を開始しようとする月 イ 加算の算定を開始しようとする月の翌月以降にサービスの利用を開始した利用者(新規利用者)は、サービスの利用を開始した月 ウ(ア)または(イ)の月のほか、少なくとも6月ごと エ サービス利用を終了する月
※なお、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院も科学的介護推進体制加算を算定することができます。LIFEへの登録項目を示す様式は別に定められています。
上述の通所サービス、居住サービス、多機能サービスのいずれかの事業所で「科学的介護推進体制加算」を算定する場合は「科学的介護推進に関する評価」で示されている項目をLIFEに登録する必要があります。
下記の図表中、赤枠で示している項目が加算算定に必須とされている項目です。
以下、一部の項目についてポイントを解説します。
※【画像】厚生労働省が示している様式「科学的介護推進に関する評価」(通所・居宅サービス)を基に編集部で加工
(1)評価日・前回評価日【必須項目】
・ 各項目について、一連の評価を実施した日をLIFEにデータ登録します。 ・ 2回目以降の作成の場合、前回評価日をLIFEにデータ登録します。
(2) 障害高齢者の日常生活自立度【必須項目】
・ 調査対象者について、調査時の様子から下記の判定基準を参考に該当するものを選びます。 なお、全く障害などを有しない場合は、自立とします。
・ 施設職員による評価が可能です。 ・ 評価の視点として、「~をすることができる」といった「能力」の評価ではなく「状態」、特に「移動」に 関わる状態像に着目して、日常生活の自立の程度を 4 段階にランク分けすることで評価するものとされています。
(3) 認知症高齢者の日常生活自立度 【必須項目】
・ 調査対象者について、調査時の様子から下記の判定基準を参考に該当するものを選びます。なお、 全く障害等を有しない者は、自立とします。
(4) 既往歴 【任意項目】
・初回登録時に現病歴と主な既往歴を LIFE にデータ登録します。 2回目以降は前回の評価時から変化があった場合に、登録します。 ・病名は、診療情報提供書等に記載された情報や、本人・ご家族からのヒアリング、ある いは介護支援専門員からの情報提供等から、把握可能な情報をデータ登録します。 ・入院等があった場合には、医療機関や介護支援専門員と連携して把握します。 ※LIFEには国際疾病分類第10版(ICD-10)を用いてデータ登録することができます。
(5) 服薬情報 【任意項目】
・その時点で処方されている処方薬について、薬剤名、用量、処方期間のデータを登録します。 ・入所前の医療機関やかかりつけ医等から提供される診療情報提供書を確認したうえで、登録をします。その際、診療情報提供書を発行した以外の医療機関の受診状況や診療情報提供書とお薬手帳との整合性を確認し、現在使用中のすべての処方薬を把握して入力するようにします。 ・毎日服薬する薬だけでなく、頓服薬(解熱鎮痛剤等)についても把握している場合は その情報も登録します。 ・用量は、内服薬の場合は1日量、頓服薬の場合は1回量を登録します。 ・内服薬等以外で、一日量が計算できない場合は空欄のまま登録することも可能です。 ※介護業務ソフト等からcsvファイルを出力し、LIFE に取り込むことによって一括で入力できます。
(6) 同居家族、家族等が介護できる時間【任意項目】
・利用者、家族に聞き取りを行うか、介護支援専門員から情報を得て、同居家族の有無及び同居している家族、家族等が介護できる時間を選び、登録します。 ・ 施設サービスの場合、同居家族及び家族等が介護できる時間については、自宅に戻った場合の状態を記載します。
(7) ADL(Barthel Index) 【必須項目】
・Barthel Index の評価については、リンク先:「LIFE利活用の手引き」73ページからの「IV 主な項目に関する評価方法」(1)Barthel Index の項目をご参照ください。
(8) 在宅復帰の有無等 評価基準 【任意項目】
・在宅復帰の状況について、該当する項目を入力します。
(9) 身長、体重 ・ 身長・体重【必須項目】
各項目を LIFE にデータ登録します。
(10) 褥瘡の有無【任意項目】
過去 3 か月以内に持続する発赤(d1)以上の褥瘡があった場合は「有り」を選んでください。そうでなかった場合は「無し」を選びます。
(11) 口腔の健康状態【必須項目】
・利用者の直近3日間の状況を踏まえて評価します。
(12) 誤嚥性肺炎の発症・既往【必須項目】
・初回の入力時には誤嚥性肺炎の既往、2回目以降の入力時は前回の評価後、誤嚥性肺炎が発症したかで評価します。
・発症日については、日付まで入力します。大まかな発症時期しかわからない場合、例えば発症したの が月の上旬であれば「5 日」、中旬であれば「15 日」等と入力してください。
・既往が不明な場合は、介護支援専門員から情報を得るとよいでしょう
(13)認知症の診断【必須項目】
・ 医師意見書の記載を確認し、認知症の診断有無を選択します。
・ 診断ありの場合、診断日と認知症の種別を選択します。
・ 確定診断を受けていない場合は、「なし」とします。
(14) DBD13(認知症の診断または疑いのある場合に記載)【一部必須項目】
・DBD13 の評価については、リンク先:「LIFE利活用の手引き」「IV 主な項目に関する評価方法」77ページからの(2)認知症行動障害尺度 (Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD13)をご参照ください。
(15) Vitality Index【一部必須項目】
・Vitality Index の評価については、リンク先:「LIFE利活用の手引き」「IV 主な項目に関する評価方法」(3)Vitality Indexをご参照ください。
期限内に必要なデータの提出が行えないことが分かった場合、直ちに自治体に届け出る必要があります。その場合、データ提出ができない月のサービス提供分から情報の提出が行われた月の前月までの期間において、利用者全員分の科学的介護推進体制加算が算定できません。詳細は管轄自治体による発信をご確認ください。
(注)記事の内容は、2021年6月末時点の情報を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開された場合、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。配信日:2021年8月19日