研修55_訪問看護事業所の運営指導(旧実地指導)対策_報酬請求指導(後編/加算と減算の理解)

2022.01.31
2024.03.25
40:20
動画
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※動画内の説明では「運営指導」の22年度以前の旧称「実地指導」を使っています。

*関連情報:vol.1061介護保険施設等の指導監督について(通知)の送付について

目次
    はじめに:管理者の運営指導対応時のモヤモヤ
      合成単位となる加算
      合成単位以外の加算と減算
      おわりに

        はじめに:管理者の運営指導対応時のモヤモヤ

        はじめに、運営指導の対応について管理者さんの頭の中のモヤモヤを可視化してみたいと思います。

        • 加算の算定要件は正しく理解できているか、不安がある
        • 加算算定に必要な体制は守られているのか、不安がある
        • 加算算定に必要な記録物は正しく記載できているか、不安がある

        まだまだ、たくさんの「不安」や「迷い」が頭の中に浮かんでくるかと思います。

        今回は、このような不安や迷いを解決する為に、運営指導での報酬請求指導について理解しておくべきポイントの説明をしていきたいと思います。

        合成単位となる加算

        訪問看護ステーションでの(保健師又は看護師が訪問)合成単位の例

        合成単位となる加算としては、「夜間・早朝・深夜の場合の訪問」と「複数名訪問加算」があげられます。ここでは、訪問看護ステーションにおける訪問実施者が保健師または看護師による場合を説明していきたいと思います。

        基本報酬や加算報酬に対しては、基本的にはケアマネジャーからのサービス提供時間の依頼にあわせて、請求することになります。

        したがって、ケアマネジャーから毎月届くサービス提供票からサービス提供時間を必ず確認し、サービスを提供する必要があります。時間が多くかかったからと言って、勝手に時間を変更して請求することはできません。もし、サービス提供時間が変更になった場合は、必ず担当のケアマネジャーに報告し予定を変更してもらう必要があります。

        夜間・早朝・深夜の加算

        • 夜間(18時~22時)、早朝(6時~8時)・・・基本報酬に25%加算
        • 深夜(22時~6時)・・・基本報酬に50%加算

        この夜間帯などに訪問することで売上は上がりますが、従業員のシフト管理や賃金の支払いなどが変則的になるため、オペレーションの仕組みについても就業規程などで明確化しておく必要があります。

        夜間の加算算定ができない例

        老企36号4(9)には、「居宅サービス計画上又は訪問看護計画上、サービス開始時刻が加算の対象となる時間帯にある場合に、加算が算定できる」とされています。

        例えば、17時40分から18時10分のサービス提供をした場合は夜間の25%加算は算定できないということになります。

        複数名訪問看護加算I

        複数名訪問看護加算Iについては、複数名での訪問時間が30分未満と30分以上で区分されています。

        • 2名で訪問(1名は1時間未満、もう1名は30分未満の場合)・・・1075単位
        • 2名で訪問(1名は1時間未満、もう1名は30分以上の場合)・・・1233単位

        複数名訪問に対しても、夜間・早朝、深夜に訪問する場合は、このような合成単位が定められています。なお、二人目の看護師などに含まれる職種としては、保健師、看護師、准看護師又はPT、OT、STが含まれます。

        複数名訪問加算II

        看護師と同行する者が看護補助者の場合に以下の単位数を使用することになります。

        看護補助者については、「訪問看護を担当する看護師等の指導の下に、食事や排せつなどの療養生活上の世話の他、居室内の環境整備、看護用品及び消耗品の整理整頓等といった看護業務の補助を行う者のことであり、資格は問わないが、秘密保持や安全等の観点から、訪問看護事業所に雇用されている必要があるものとする。」と老企36号(10)➂に説明があります。

        訪問看護ステーションでの(理学療法士等が訪問)合成単位の例

        次に、理学療法士、または作業療法士及び言語聴覚士による「夜間・早朝・深夜の場合の訪問」と「複数名訪問加算」について、説明していきたいと思います。

        夜間・早朝・深夜の加算

        • 夜間(18時~22時)、早朝(6時~8時)・・・基本報酬に25%加算
        • 深夜(22時~6時)・・・基本報酬に50%加算

        複数名訪問加算

        理学療法士などの訪問は1回の訪問時間が20分に設定されているにもかかわらず、複数名での訪問時間が30分未満と30分以上で区分されており、やや解釈に難しさを感じるかもしれません。

        • 2名で訪問(PT1名は40分、看護師1名は30分未満)・・・840単位
        • 2名で訪問(PT1名は40分、看護師1名は40分)・・・988単位

        ここまで説明しました「夜間・早朝・深夜の場合の訪問」と「複数名訪問加算」についての詳細については、必要に応じてサービスコード表をご確認いただけたらと思います。

        合成単位以外の加算と減算

        ここからは、こちらに上げた加算と減算について順番に説明していきたいと思います。

        同一建物減算

        訪問看護同一建物減算1の算定要件

        同一敷地内建物等の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者が1月あたり20人以上にサービスを行う場合、所定の単位数の10%が減算されます。

        訪問看護同一建物減算2の算定要件

        同一敷地内建物等の利用者又はこれ以外の同一建物の利用者が1月あたり50人以上にサービスを行う場合、所定の単位数の15%が減算されます。

        訪問看護の「費用の額の算定に関する基準」には「訪問介護と同様であるので、2(14)を参照されたい」と記載がありますので、ここでは訪問介護の基準を確認する必要があります。

        老企第36号の2の(14)には、

        • 同一敷地内建物等の定義
        • 同一の建物に 20 人以上居住する建物(同一敷地内建物等を除く)の定義
        • 同一敷地内建物等に 50 人以上居住する建物の定義 

        などが示されていますので、一読し理解をしておく必要があります。

        区分支給限度基準額の管理

        減算を受けている利用者と受けていない利用者との公平性の観点から、同一建物減算を受けている利用者の区分支給限度基準額を計算する際は、減算前の単位数を用いることとなっています。

        例えば、この減算を受けない場合は30回利用できたとします。減算を受ける場合は、同じ30回の利用でも減算された低い単位数で利用することになります。利用者からすると、区分支給限度基準額の単位数が余り、通常より多く利用できる形となってしまい、不公平なサービス提供の状況になってしまいます。

        この不公平なサービスの実情を解消する為、区分支給限度基準額の管理については、減算適用前の単位数を用いることとなっています。このように、同一建物減算の適用を受ける場合は、担当のケアマネジャーと情報を共有し、適切な給付管理を心掛ける必要があります。

        特別地域訪問看護加算

        特別地域訪問看護加算は、離島や山村地域などにある事業所が行う訪問看護を評価するための加算となっています。こちらの加算については、支給限度額管理の対象外となっています。

        また、加算算定には、事業所の所在地が特別地域加算の対象地域であることを確認し、あらかじめ届出が必要になります。厚生労働大臣が定める地域については、厚労省告示第百二十号に示されています。

        訪問看護ステーションや病院・診療所が算定する場合

        特別地域訪問看護加算1として、訪問1回につき所定単位数の15%を加算する形になります。

        定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合

        所定単位数の 15%を1月につき加算算定する形になります。この場合の所定単位数には、以下の加算は含めないことになっています。

        • 緊急時訪問看護加算
        • 特別管理加算
        • ターミナルケア加算

        中山間地域等における小規模事業所加算

        こちらの加算も支給限度額管理の対象外となっています。

        また、加算算定には対象地域であることを確認し、あらかじめ届出が必要になります。「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域(厚労省告示第83号)」第一項に定められた中山間地域等に所在する事業所で、かつ、小規模事業所であると認められた事業所は対象になります。

        訪問看護ステーションや病院・診療所が算定する場合

        訪問看護小規模事業所加算1として、訪問1回につき所定単位数の10%を加算する形になります。

        定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合

        訪問看護小規模事業所加算2として、所定単位数の10%を1月につき加算算定する形になります。

        訪問看護における小規模事業所の施設基準

        厚生労働大臣が定める施設基準 厚生労働省告示第96号に「一月当たり延訪問回数が百回以下の訪問看護事業所であること」と示されています。

        費用の額の算定に関する基準

        所定単位数の10%加算となっていますが、この場合の所定単位数には以下の加算は含めないこととなっています。

        • 緊急時訪問看護加算
        • 特別管理加算
        • ターミナルケア加算

        また、費用の額の算定に関する基準(老企第36号4の⒁)は、訪問介護の2の⒃を準用することになりますので、こちらも理解しておく必要があります。

        中山間地域等提供加算

        こちらの加算も、支給限度額管理の対象外となっています。また、事前の届け出については不要です。

        「厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域(厚労省告示第83号)」第二項に定められた

        中山間地域等に居住する利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えてサービスを提供した場合は、5%加算の対象になります。

        このことから、運営規程に定めている「通常の事業の実施地域」の範囲内であれば、「中山間地域等」に居住する利用者にサービスを提供した場合であっても、加算は算定できません。

        訪問看護ステーションや病院・診療所が算定する場合

        訪問看護中山間地域等提供加算1として、訪問1回につき所定単位数の5%を加算算定する形になります。

        定期巡回随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合

        訪問看護中山間地域等提供加算2として、所定単位数の5%を1月につき加算算定する形になります。

        費用の額の算定に関する基準

        所定単位数の5%加算となっていますが、この場合の所定単位数には、以下の加算を含めないこととなっていますので、注意が必要です。

        • 緊急時訪問看護加算
        • 特別管理加算
        • ターミナルケア加算

        指定居宅サービス基準第 20条第3項には、「利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において訪問を行う場合は、それに要した交通費の額の支払を利用者から受けることができる」とされていますが、この加算を算定する場合は、交通費の支払いを受けることはできません。

        緊急時訪問看護加算

        こちらの加算も、支給限度額管理の対象外となっています。また加算算定には、あらかじめ届出が必要です。

        この加算が創設された背景には、「24時間の看護体制」への利用者ニーズの高まりがあり、緊急時にも対応できる体制を取っている訪問看護事業所を評価するという目的があります。

        • 訪問看護ステーションが算定する場合・・・574単位(月に1回)
        • 医療機関が算定する場合・・・315単位(月に1回)

        費用の額の算定に関する基準

        老企第36号4-(16)-①には、以下のように示されています。

        • 利用者やその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること
        • 計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を必要に応じて行う体制にあること
        • 利用者やその家族に緊急時訪問看護加算の算定について説明し、その同意を得ていること

        また老企第36号4-(16)-➁には、以下のように示されています。

        • 要件を満たしている場合は、月の第1回目に介護保険で訪問を行った日に、訪問看護の単位数に加えて算定すること

        この加算を介護保険で請求した場合には、同月に定期巡回・随時対応型訪問介護看護および看護小規模多機能型居宅介護を利用した場合の各サービスにおける緊急時訪問看護加算は算定できません。また、同月に医療保険における訪問看護を利用した場合の24時間対応体制加算も算定できません。

        老企第36号4-(16)-➂には、以下のように示されています。

        • 計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を行った場合については、所要時間に応じた所定単位数を算定する

        この場合、居宅サービス計画の変更を要することになりますので、担当のケアマネジャーに報告し、予定を変更してもらう必要があります。この緊急時訪問を行った場合には、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算は算定できませんが、1月以内の2回目以降の緊急時訪問については、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算を算定することができます。

        老企第36号4-(16)-④には、以下のように示されています。

        • この加算は、1人の利用者に対し、1か所の事業所に限り算定できる

        このことから、他の事業所から緊急時訪問看護加算に係る訪問看護を受けていないか確認する必要があります。

        特別管理加算

        こちらの加算も、支給限度額管理の対象外となっています。また、加算算定には、あらかじめ届出が必要です。

        特別管理加算は、サービスの提供にあたり、特別な管理を必要とする利用者に対する計画的な管理を評価する加算です。介護保険では、単位数が以下のように設定されています。

        • 特別管理加算(I)・・・月に500単位
        • 特別管理加算(II)・・・月に250単位 

        この特別管理加算は、介護保険と医療保険の両方に存在し、同じ趣旨のものになります。

        費用の額の算定に関する基準

        算定基準については細かく設定されていますので、必ず一読しておく必要があります。要点は以下のようになります。

        • 特別管理加算Iと特別管理加算IIは併算定できない
        • 医療と介護の両方の保険で同時に加算を算定することはできない
        • 介護の場合は、複数のステーションから訪問看護を受けている場合は、それぞれでこの加算を請求することができないため、どちらのステーションで請求するのか、事業所間で合議する必要がある
        • 医療の場合は、複数のステーションが関わっている場合でも、すべてのステーションで加算の算定が可能となっている

        特別管理加算(I)の利用者要件

        厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等として、厚労省告示第九十四号の7に示されています。

        厚生労働大臣が定める区分の特別管理加算(I)は、第六号イに規定する状態にある者に対して指定訪問看護を行う場合とあります。この第6号イについては、厚生労働大臣が定める基準として、以下のいずれかに該当する状態とあります。

        • 在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態
        • 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
        • 気管カニューレを使用している状態
        • 留置カテーテルを使用している状態

        費用の額の算定に関する基準を満たしたうえで、こちらに示された状態のいずれかに該当した場合は、特別管理加算(I)を算定することになります。

        特別管理加算(II)の利用者要件 

        以下のいずれかに該当する状態の場合に、特別管理加算(II)を算定することになります。

        • 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態
        • 在宅血液透析指導管理を受けている状態
        • 在宅酸素療法指導管理を受けている状態
        • 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態
        • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態
        • 在宅自己導尿指導管理を受けている状態
        • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態
        • 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態
        • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
        • 人工肛門または人工膀胱を設置している状態
        • 真皮を越える褥瘡の状態(MPUAP分類III度またはIV度、DESIGN分類D3、D4、D5)
        • 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態

        ターミナルケア加算

        こちらの加算も、支給限度額管理の対象外となっています。また加算算定には、あらかじめ届出が必要です。

        ターミナルケア加算とは、ご利用者の尊厳を維持し、その人らしく最期を迎えられるような療養上の支援を行う体制を構築していることと、実際の取り組みの両面で評価する加算です。

        死亡月につき、2000単位を算定することができます。

        施設基準

        厚生労働大臣が定める施設基準としては、以下のように厚労省告示第95号に示されています。

        • ターミナルケアを受ける利用者について二十四時間連絡できる体制を確保しており、かつ、必要に応じて、訪問看護を行うことができる体制を整備していること
        • 主治医との連携の下に、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画及び支援体制について利用者及びその家族等に対して説明を行い、同意を得てターミナルケアを行っていること
        • ターミナルケアの提供について利用者の身体状況の変化等必要な事項が適切に記録されていること

        算用の額の算定に関する基準

        • ターミナルケアを最後に行った日の属する月と、利用者の死亡月が異なる場合には、死亡月に算定すること
        • 一人の利用者に対し、1か所の事業所に限り算定できること
        • 介護保険で請求した場合は、同月に定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び看護小規模多機能型居宅介護を利用した場合は、各サービスにおけるターミナルケア加算は算定できないこと
        • 同月に医療保険における訪問看護を利用した場合は、訪問看護ターミナルケア療養費及び訪問看護・指導料における 在宅ターミナルケア加算は算定できないこと 等

        算定に関する基準についても必ず一読し、詳細を把握しておく必要があります。

        特別指示減算

        こちらの減算は、定期巡回・随時対応型 訪問介護看護事業所と連携する場合が該当になります。

        訪問看護を利用しようとする者の主治医が、当該利用者が急性増悪等により一時的に頻回の訪問看護を行う必要がある旨の特別の指示を行った場合に、指示の日数に応じて、1日につき97単位を所定単位数から減算するというものになります。

        費用の額の算定に関する基準

        算定基準は、利用者が急性増悪等により一時的に頻回の訪問看護を行う必要がある旨の特別指示があった場合は、交付の日から14日間を限度として医療保険の給付対象となるものであり、介護保険での訪問看護費は算定しないこととされています。

        また、医療保険の給付対象となる場合には、「頻回の訪問看護が必要な理由、その期間等については、診療録に記載しなければならない」ともされています。

        初回加算

        初回加算は、利用者が過去2月間(暦月)において、訪問看護事業所から訪問看護の提供を受けていない場合であって新たに訪問看護計画書を作成した場合に算定することになります。

        過去2カ月間に当該訪問看護ステーション等が医療保険での訪問看護を提供した場合は、介護保険の訪問看護が初回であっても初回加算を算定できないことに留意する必要があります。

        なお、「介護予防訪問看護を利用していた者が、要介護認定の更新に伴って一体運営の訪問看護事業所からサービス提供を受ける場合は、過去 2 月以内に介護予防訪問看護の利用がある場合でも初回加算は算定可能」と平成24年度介護報酬改定に関する関係 Q&Aの問38 にあります。こちらも、お時間のある時に一読し、理解しておく必要があります。

        退院時共同指導加算

        退院時共同指導加算は、病院、診療所または老健施設などに入院・入所する患者・入所者が

        退院または退所するにあたり、訪問看護ステーションの看護師が入院先の医師・看護師と共同で指導を行った場合に算定できる加算となっています。

        退院または退所後に初回の訪問看護を行った場合に、退院または退所につき1回に限り、1月に600単位を加算することになります。特別な管理を必要とする利用者については、2回算定が可能です。

        ただし、初回加算を算定する場合は、退院時共同指導加算は算定しないことに留意しなければなりません。

        費用の額の算定に関する基準

        老企第36号 4(22)➀には以下のように示されています。

        • 退院時共同指導は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。ただし、その際は、テレビ電話装置等の活用について当該者又はその看護に当たる者の同意を得なければならない。

        こちらは業務効率化の視点から理解しておく必要があります。この際、以下のように示されているため、これらのガイドラインを理解しておく必要があります。

        • 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること

        また老企第36号 4(22)④には、 以下のように示されています。こちらの説明についても留意しておかなければなりません。

        • 退院時共同指導加算を介護保険で請求した場合には、同月に定期巡回・随時対応型 訪問介護看護及び看護小規模多機能型居宅介護を利用した場合の各サービスにおける退院時共同指導加算並びに 同月に医療保険における訪問看護を利用した場合の訪問看護における当該加算は上記②の場合を除き、算定できない

        また老企第36号 4(22)➄には以下のように示されていますので、忘れずに記載する必要があります。

        • 退院時共同指導を行った場合は、その内容を訪問看護記録書に記録すること

        訪問看護介護連携強化加算

        こちらの加算は、訪問看護事業所の職員が訪問介護事業所と連携して利用者に係る計画作成の支援等を行った場合を評価する加算です。1月に1回に限り250単位を算定することができます。

        費用の額の算定に関する基準

        老企第36号 4(23)①には、以下のように示されています。

        • 訪問看護事業所の看護職員が、訪問介護事業所の訪問介護員等に対し、たんの吸引等の業務が円滑に行われるよう、たんの吸引等に係る計画書や報告書の作成及び緊急時等の対応についての助言を行うとともに訪問介護員等に同行し、利用者の居宅において業務の実施状況について確認した場合、又は利用者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のための会議に出席した場合に算定する
        • 訪問介護員等と同行訪問した場合や会議に出席した場合は、その内容を訪問看護記録書に記録する

        老企第36号 4(23)②には、以下のように示されています。

        • 加算算定日に関しては、訪問介護員等と同行訪問を実施した日又は会議に出席した日の属する月の初日の訪問看護の実施日に加算する

        老企第36号 4(23)③には、以下のように示されています。

        • 訪問看護が24時間行える体制を整えている事業所として緊急時訪問看護加算の届け出をしている場合に算定可能である

        老企第36号 4(23)④には、以下のように示されており、勝手に時間を増やしてはいけないことに留意する必要があります。

        • 訪問看護事業所の看護職員が、訪問介護員等と同行し、たんの吸引等の実施状況を確認する際、通常の訪問看護の提供以上に時間を要した場合であっても、ケアプラン上に位置づけられた訪問看護費を算定する

        老企第36号 4(23)⑤には、以下のように示されています。

        • 訪問介護員等のたんの吸引等の技術不足を補うために同行訪問を実施することを目的としたものではないため、訪問介護員等のたんの吸引等に係る基礎的な技術取得や研修目的で、訪問看護事業所の看護職員が同行訪問を実施した場合は、加算及び訪問看護費は算定できない

        訪問看護体制強化加算

        こちらの加算も、あらかじめ届出が必要となっています。

        訪問看護体制強化加算は、訪問看護・介護予防訪問看護において、医療ニーズの高い利用者への訪問看護の提供体制を強化した場合に算定できます。訪問看護ステーションか、病院・診療所に対して設定されている加算になっています。

        • 訪問看護体制強化加算(I)・・・月に550単位
        • 訪問看護体制強化加算(II)・・・月に200単位

        算定に関しては、こちらの要約表を活用していただければと思います。

        費用の額の算定に関する基準

        老企第36号 4(24)➀から➂には、緊急時訪問看護加算と特別管理加算の算定割合の計算の方法が示されています。➃には、看護師の占める割合の計算の在り方や算定の方法が示されています。

        老企第36号 4(24)⑤から⑧には、以下のように示されています。

        • 加算の内容について利用者又はその家族への説明を行い、同意を得ること
        • 地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取り組みを実施していることが望ましいこと
        • 継続的に所定の基準を維持しなければならないことと、その割合及び人数については、台帳等により毎月記録するものとし、所定の基準を下回った場合については、届出を提出しなければならないこと
        • 加算(I)または加算(II)を選択的に算定することができないものであり、訪問看護事業所においていずれか一方のみを選択し、届出を行うこと

        サービス提供体制強化加算

        こちらの加算も、支給限度額管理の対象外となっています。また加算算定には、あらかじめ届出が必要になります。

        サービス提供体制強化加算は、サービス提供体制を特に強化して基準を満たし、届出を行った介護事業所に対して算定することができる加算です。訪問看護ステーションか、病院・診療所、また定期巡回・随時対応型と連携する場合に対して設定されている加算になっています。単位数は以下の通りです。

        • サービス提供体制強化加算I1・・・1回につき6単位
        • サービス提供体制強化加算II1・・・1回につき3単位
        • サービス提供体制強化加算I2・・・1月につき50単位
        • サービス提供体制強化加算II2・・・1月につき25単位

        算定に関しては、こちらの要約表を活用していただければと思います。

        費用の額の算定に関する基準

        老企第36号3(9)➀には、以下のように研修についての記載があります。

        • 研修実施のための勤務体制の確保を定めるとともに、 従業者について個別具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定めた計画を策定しなければならない

        老企第36号3(9)②には、以下のように会議開催についての記載があります。

        • 「サービス提供に当たっての留意事項に係る伝達又は訪問看護従業者の技術指導を目的とした会議」とは、事業所においてサービス提供に当たる従業者のすべてが参加するものでなければならない
        • 実施に当たっては、全員が一堂に会して開催する必要はなく、いくつかのグループ別に分かれて開催することで差し支えない
        • また、会議の開催状況については、その概要を記録しなければならない

        ここでの「定期的」とは、おおむね1月に1回以上開催されている必要があることが示されています。

        また、会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとされており、その際は以下のガイドラインを理解しておく必要があります。

        • 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること

        また、 「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項」は以下のようになっています。

        • 利用者のADLや意欲、利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望、家族を含む環境、前回のサービス提供時の状況、その他サービス提供に当たって必要な事項について、その変化の動向を含め、記載しなければならない

        老企第36号3(9)③には、「少なくとも一年以内ごとに一回、事業主の費用負担により健康診断を実施しなければならない」とされています。④には職員の割合の算出に当たっての在り方が示されており、➄には「職員の割合については、毎月記録するものとし、所定の割合を下回った場合については、直ちに届出を提出しなければならない」と示されています。また➅~⑧のことにも留意しておく必要があります。

        おわりに

        ここまで、加算についてのお話をしてきましたが、訪問看護における加算の算定状況がわかる参考資料をここに添付させていただきました。

        (令和2年8月19日社会保障審議会介護給付費分科会 資料3より引用)

        こちらは2021年の報酬改定の審議の際に用いられた 資料 ですが、過去の訪問看護の加算の算定割合についてこのようになっています。

        今後、地域における利用者像が中重度化していくと仮説が立てられるならば、算定率の低いターミナルケア加算や看護体制強化加算等が算定できる体制構築が求められるのかもしれません。

        今回は、研修55_訪問看護事業所の運営指導(旧実地指導)対策_報酬請求指導(後編/加算と減算の理解)として、介護報酬における「加算・減算」についてのお話をさせていただきました。運営指導での「報酬請求指導」についての理解が増し、引き続き理解を深めていきたいと思っていただけたとすれば大変うれしく思います。

        また、こちらの研修動画のほかに「基本報酬」に関して、 研修54_訪問看護事業所の運営指導(旧実地指導)対策_報酬請求指導(前編/介護報酬の体系と基本報酬の理解) の研修動画もご用意しております。こちらの研修動画についても、ご視聴いただくことで、訪問看護の運営指導時に把握しておくべき事柄についての理解が深まると思われますので、必要に応じてご視聴いただけましたら幸いです。

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