居宅介護支援でケアマネジャーの採用・雇用に使える補助金・助成金とは?資格の更新やIT導入にも活用可能

2023.05.08
2023.05.08
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居宅介護支援事業所を運営する中で、職員の雇用や設備の入替などを行うタイミングがあると思います。

そのような時に役に立つのが補助金や助成金です。

この記事では、居宅介護支援事業所が活用できる助成金・補助金について、人材雇用や設備導入、資格取得などの目的別にご紹介しています。

目次
    居宅介護支援事業所が使える補助金・助成金の一覧
      居宅介護支援事業所がケアマネジャーの採用・雇用で使える補助金・助成金とは?
      居宅介護支援事業所のケアマネジャーの資格更新・資格取得で使える補助金・助成金とは?
      居宅介護支援事業所がIT導入で使える補助金とは?
      まとめ

        居宅介護支援事業所が使える補助金・助成金の一覧

        助成金や補助金は、国や自治体等が目指す方針・政策に向けた取り組みを行う事業者をサポートするために給付される資金を指します。金融機関から受ける融資と違って返済する必要はありません。

        助成金の目的は、雇用・労働環境の整備や改善等で、一定の要件を満たせば助成を受けることができます。

        一方、補助金は、国や地方自治体が推進する公益性がある事業(新規事業や創業促進等)への補助を目的としています。そのため、申請内容の審査が行われ、申請しても採択されない場合があります。

        以下に、居宅介護支援事業所で活用できる助成金・補助金を一覧でまとめました。

        【居宅介護支援事業所で活用できる助成金・補助金】

        • キャリアアップ助成金(正社員化コース)
        • 中途採用等支援助成金
        • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
        • 特定求職者雇用開発助成金
        • 65歳超雇用推進助成金
        • 【東京都練馬区】介護支援専門員・主任介護支援専門員更新研修費助成事業
        • 【山梨県北杜市】介護人材資格取得費用助成金交付制度
        • IT導入補助金

          など

        居宅介護支援事業所がケアマネジャーの採用・雇用で使える補助金・助成金とは?

        それではまずはじめに、居宅介護支援事業所で人材を雇用する際に活用できる助成金・補助金の種類を見ていきます。

        キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?

        キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の職員を、正規雇用に転換または直接雇用をした場合に受給が可能な助成金です。

        【給付条件】

        • 正規雇用の職員に転換する制度を就業規則などに規定している。
        • 転換後6カ月間の賃金を、転換前6カ月間の賃金より3%以上増額させている。
        • 正規雇用の職員に転換する前日までに「キャリアアップ計画」を作成・提出している。

          など

        【支給金額】

        1人当たりの助成額は以下の通りです。

        転換前の雇用形態
        有期雇用労働者 無期雇用労働者
        中小企業 57万円 28万5,000円
        大企業 42万7,500円 21万3,750円

        中途採用等支援助成金とは?

        中途採用等支援助成金は、中途採用率を拡大または45歳以上を初めて雇用する際に受給可能な中途採用拡大コースと、東京圏から移住者を雇い入れる場合に受給可能なUIJターンコースがあります。

        【中途採用拡大コースの給付条件】

        • 中途採用計画を作成し、管轄の労働局に届け出る
        • 中途採用者の雇用管理制度を整備する
        • 中途採用計画期間内に中途採用を拡大する
        • 中途採用者、無期雇用での採用など、支給対象の労働者を雇い入れる

          など

        【中途採用拡大コースの支給金額】

        助成額
        中途採用率の拡大 50~70万円
        (初めての中途採用の場合追加で10万円)
        45歳以上を初採用 60万円または70万円
        情報公表+中途採用者数の拡大 30万円
        (1年定着した場合はさらに20万円)

        一定期間後に生産性が向上した場合には、以下の追加助成があります。

        助成額
        中途採用率の拡大 1事業所あたり25万円
        45歳以上を初採用 1事業所あたり30万円
        情報公表+中途採用者数の拡大 1事業所あたり15万円

        【受給可能なUIJターンコースの給付条件】

        • 採用活動計画を作成し、管轄の労働局に届け出、労働局長の認定を受ける
        • 計画期間内に、採用パンフレット等の作成・印刷、自社ホームページやPR動画の作成などの採用活動を行う
        • 東京圏からの移住者、継続雇用が確実であるなど、支給対象の労働者を雇い入れる

          など

        【受給可能なUIJターンコースの支給金額】

        • 中小企業:助成対象経費の合計額の½
        • 中小企業以外:助成対象経費の合計額の⅓

          ※いずれも上限は100万円

        トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは?

        トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは、職業経験・技能・知識の不足等により安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介によって、一定期間試行雇用した場合に受給可能な助成金です。

        【給付条件】

        • 対象労働者が、ハローワークや職業紹介事業者から紹介を受けた日に、学校に在籍していない・トライアル雇用期間中ではないなどの条件に当てはまる
        • ハローワークや職業紹介事業者などの紹介により雇い入れる
        • 原則3カ月のトライアル雇用をする
        • 対象労働者が、次のいずれかに該当する
          • 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している
          • 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者など
          • 紹介日に、ニートやフリーター等で55歳未満である者

        【支給金額】

        • 支給対象者1人につき月額4万円
        • 対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円

          ※トライアル雇用の雇用期間が1カ月に満たない月がある場合や、支給対象者本人の都合による休暇があった場合などは、実際に就労した日数に基づいて計算した額となります。

        特定求職者雇用開発助成金とは?

        特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介によって、継続して雇用する職員として雇い入れた場合に受給可能な助成金です。

        特定求職者雇用開発助成金は、以下のようなコースに分かれており、コースによって助成金額や給付条件が違います。

        • 特定就職困難者コース
        • 生涯現役コース
        • 被災者雇用開発コース
        • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
        • 就職氷河期世代安定雇用実現コース
        • 生活保護受給者等雇用開発コース

        例として、特定就職困難者コースの給付条件と支給金額をみていきます。

        【特定就職困難者コースの給付条件】

        • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇う
        • 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実である

          など

        【特定就職困難者コースの支給金額】

        対象者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
        短時間労働者以外 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 60万(50万) 1年(1年) 30万×2期(25万×2期)
        重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万(50万) 2年(1年) 30万×4期(25万×2期)
        重度障害者等 240万(100万) 3年(1年6カ月) 40万×6期(33万×3期)
        ※第3期の支給額は34万
        短時間労働者 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 40万(30万) 1年(1年) 20万×2期(15万×2期)
        重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 80万(30万) 2年(1年) 20万×4期(15万×2期)

        ※()内は中小企業事業主以外の場合

        65歳超雇用推進助成金とは?

        65歳超雇用推進助成金とは、高齢の有期契約労働者を無期雇用へ転換した場合に受給可能な助成金です。以下の3つのコースに分かれており、コースによって助成金額や給付条件が違います。

        • 65歳超継続雇用促進コース
        • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
        • 高年齢者無期雇用転換コース

        例として、高年齢者無期雇用転換コースの給付条件と助成金額を見ていきます。

        【高年齢者無期雇用転換コースの給付条件】

        • 無期雇用転換計画を作成し、認定を受ける
        • 無期雇用転換計画に基づき、計画の実施期間内に50歳以上かつかつ定年年齢未満の有期契約職員を無期雇用職員に転換する

        【高年齢者無期雇用転換コースの支給金額】

        • 対象労働者1人につき48万円(中小企業以外は38万円)
        • 生産性要件を満たした場合、対象労働者1人につき60万円(中小企業以外は48万円)

        居宅介護支援事業所のケアマネジャーの資格更新・資格取得で使える補助金・助成金とは?

        続いて、ケアマネジャーが資格の取得や更新に活用できる助成金・補助金の種類を見ていきます。

        事業所が取得する助成金・補助金ではなく、基本的には職員自らが申請して取得するものにはなります。ですが、職員のキャリアアップや資格更新の後押しのためにも知っておくと良いでしょう。

        介護支援専門員・主任介護支援専門員更新研修費助成事業【東京都練馬区】とは?

        東京都練馬区における介護支援専門員・主任介護支援専門員更新研修費助成事業とは、練馬区内の事業所に勤務している介護支援専門員・主任介護支援専門員が更新研修を受講する場合に、更新研修費の一部を助成する事業です。

        【支給対象者】

        • 練馬区内の事業所に勤務し、介護サービス計画の作成を 行っている介護支援専門員
        • 令和4年度中に、介護支援専門員専門研修のうち専門研修Ⅱまたは介護支援専門員更新研修のうち実務経験者向けの更新研修を受講した
        • 令和4年度中に、主任介護支援専門員更新研修を受講した

          など

        【支給金額】

        支給額
        「専門研修Ⅱ」または「実務経験者向けの更新研修」の受講者 7,700円
        「主任介護支援専門員更新研修(46時間)」の受講者 8,400円

        介護人材資格取得費用助成金交付制度【山梨県北杜市】とは?

        山梨県北杜市における介護人材資格取得費用助成金交付制度とは、北杜市内の介護サービス事業所における人材の確保と育成を目的に、介護の資格取得に必要な受講料または受験料を助成する制度です。

        【支給対象者】

        • 北杜市内の介護サービス事業所に就業している、または新たに就業を予定している
        • 助成金を受領した日から5年以上、北杜市内の介護サービス事業所に就業する

          など

        【支給対象研修・試験】

        • 介護職員初任者研修
        • 介護職員実務者研修 
        • 介護支援専門員実務研修
        • 主任介護支援専門員研修
        • 介護福祉士試験
        • 認知症介護実践研修(実践者研修)
        • 認知症介護実践研修(実践リーダー研修)
        • 認知症対応型サービス事業開設者研修
        • 認知症対応型サービス事業管理者研修
        • 小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修

        【支給金額】

        • 補助対象経費の全額(就業するまたは就業を予定する事業所から補助金等の支給がある場合は、その額を控除した残りの額)

        居宅介護支援事業所がIT導入で使える補助金とは?

        最後に、居宅介護支援事業所でICT機器などの設備を導入する際に利用できる助成金・補助金について見ていきます。

        IT導入補助金とは?

        IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合った、クラウドサービスなどのITツールの導入を支援する補助金です。通常枠の「A類型」、「B類型」、「セキュリティ対策推進枠」、デジタル化基盤導入枠の「デジタル化基盤導入類型」、「複数社連携IT導入類型」の5種類があります。

        【支給要件】

        • 飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業、製造業や建設業等における中小企業
        • それぞれ資本金や従業員に上限あり

        【支給対象経費】

        • ソフトウェア購入費
        • クラウド利用料
        • 導入関連費
        • ハードウェア購入費(デジタル化基盤導入枠の場合)

          など

        【支給金額】

        支給金額や補助率は以下の通りです。

        類型・枠 補助額(下限・上限) 補助率 対象経費 機能要件
        A類型 5万~150万円未満 1/2以内 ソフトウェア購入費
        クラウド利用料(最大2年分)
        導入関連費
        1プロセス(※)以上
        B類型 150万~450万円以下 1/2以内 ソフトウェア購入費
        クラウド利用料(最大2年分)
        導入関連費
        4プロセス(※)以上
        セキュリティ対策推進枠 5万円~100万円 1/2以内 サービス利用料(最大2年分) 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス
        デジタル化基盤導入類型(ソフト) (下限なし)~350万円
        1)内、~50万円以下部分
        2)内、50万円超~350万円部分
        1)3/4以内
        2)2/3以内
        ソフトウェア購入費
        クラウド利用料(最大2年分)
        導入関連費
        1)会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上
        2)会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上
        デジタル化基盤導入類型(ハード) 1) ~10万円(PC等)
        2) ~20万円(レジ等)
        1/2以内 1) PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機
        2) レジ・券売機等
        デジタル化基盤導入類型(ソフト)のITツールの使用に資するもの

        ※「プロセス」とは、業務工程や業務種別のことです。

        まとめ

        ここまで、ケアマネジャーが活用できる助成金・補助金について目的別に述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

        人材雇用や資格取得・更新、設備導入など、様々な場面で活用できる助成金や補助金がありました。資金が必要になった際は、使える助成金や補助金がないのか、一度確認してみましょう。

        最後までお読みいただきありがとうございました。

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