訪問看護事業者の皆様は、「給与計算のミスを減らすためにはどうしたらいいの?」や「給与計算の業務を効率化するためにはどうすればいいの?」など、毎月の給与計算の業務に負担を感じているのではないでしょうか?
この記事では、訪問看護事業所の経営者・管理者の皆様に向けて、給与計算の方法やよくあるミス、効率化の方法などについて解説していきます。
訪問看護事業所における給与を計算して支給するまでの業務の流れを確認しましょう。
【給与計算から支給までの流れ】
それでは、一つひとつのステップについて、詳しく見ていきましょう。
給与の支給・控除に影響する情報の変更等を確認します。
次に、職員の労働日数・労働時間を集計します。
時間外労働や深夜労働、休日労働、遅刻、欠勤、振替休日など、ルールに則り適切に賃金を計算するための情報を集計します。
以下の項目を計算し、総支給額を算出します。
割増賃金の種類と割増率は以下のようになっています。
(時間外手当・残業手当)
(休日手当)
(深夜手当)
(東京労働局 しっかりマスター割増賃金編を参考に作成)
以下の項目を計算し、給与の控除額を算出します。
また、上記の法定控除以外にも以下のような控除の項目が設けられていることがあります。法定の項目以外のものを給与から控除する際には、労使協定の締結が必要になりますので、注意が必要です。
総支給額から控除額を差し引いて、差引支給額(手取り額)を計算します。
所得税法第231条には、給与を支払う者は給与の支払いを受ける者に、支払明細書を交付しなければならないと規定されています。
そのため、給与を支払う際は、全ての従業員に給与明細を印刷して渡す必要があります。
ただし、給与の支払いを受ける従業員の承諾を得れば、電子メールでのデータ交付やweb閲覧などの電磁的方法で提供することも可能です。
給与を支払う方法については、労働基準法で以下のようなルールが定められています。
賃金は現金で支払わなければならず、会社の商品などの現物で払うことはできません。
ただし、労働者の同意を得た場合は、銀行振込み等の方法によることができます。
賃金は労働者本人に支払わなければなりません。
賃金は全額支払わなければならず、「積立金」などの名目で、強制的に賃金の一部を天引きして支払うことは禁止されています。
賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければいけません。
そのため、支払日を「毎月第1月曜日」や「毎月第4金曜日」などの変動する期日に設定することもできません。
訪問看護事業所で給与計算をする際に起こりやすいミスには、
といったものが考えられます。
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料)は、変更、加入・脱退などの情報の入力ミス等による計算ミスが発生する可能性があります。
時間外手当の計算ミスは、オンコール対応等を行っている事業所で緊急時の訪問を行った場合(時間外労働、早朝・夜間・深夜など)、休日労働をした場合、振替休日を取得した場合などに発生しやすいようです。
※労働基準法の改正に伴い、2023年4月1日から中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%に引き上げられています。
勤怠打刻をタイムカードで行っていたり、有給休暇の申請を届出用紙(紙媒体)で行ったりしている場合、勤怠記録から労働時間・休暇取得情報を転記する際、ミスが発生してしまう可能性があります。
訪問看護の給与計算で発生し得るミスを減らし、効率化をするためには、『シフト管理、勤怠管理から給与計算・振込データ作成まで一気通貫しているソフト』を導入すると良いでしょう。
特に給与計算のベースになるのは、労働時間等の勤怠情報なので、シフト管理や勤怠データと連動して労働時間を計算できると、転記作業の負担や転記ミスが減り、業務を効率化することができるでしょう。
ここまで、訪問看護事業所における給与計算でよくあるミスとそれらのミスを減らして業務を効率化する方法などについてご紹介してきました。
今お使いの給与計算ソフトが勤怠情報と連動していないようでしたら、ミスを減らし、業務を効率化するためにも、勤怠管理・シフト管理機能と連動する給与計算ソフトの導入を検討してはいかがでしょうか。
ここでご紹介した内容が、皆様の事業所運営の効率化につながれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
【監修者情報】 トリプルグッド社会保険労務士法人は、トリプルグッドグループのメンバーファームとして、トリプルグッド税理士法人、トリプルグッド司法書士法人、トリプルグッド行政書士法人、トリプルグッド法律事務所、トリプルグッドウェルスマネジメント株式会社、トリプルグッド株式会社など、さまざまな専門家が連携し、ワンストップでのサービスを提供。介護特化部門を擁し介護事業者の支援に力をいれている。