訪問看護事業所は、介護保険法や健康保険法、それらに基づく省令等を遵守して運営を行う必要があります。
この省令の中に定められている、訪問看護事業所として設置するべき設備や備品のルールが『設備基準』です。
訪問看護事業所をすでに運営している皆様は、運営指導を受けることが決まったタイミングで「運営指導で指摘を受けないためにも、改めて設備基準を確認したい」、「事業所に備品は準備しているけれど、設備基準を満たしているのだろうか?」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか?
そのような方に向けて、この記事では訪問看護の設備基準について解説しています。
訪問看護の設備基準とは、国や指定権者(都道府県または市)が定める『訪問看護事業所で確保するべき設備や備品』についてのルールであり、指定を受けた訪問看護事業者が最低限満たさなければならない条件です。
介護保険法に基づく訪問看護の設備基準は、平成十一年厚生省令第三十七号「指定居宅サービス等の人員、設備及び運営の基準」に定められ、『訪問看護ステーションの場合』と『病院または診療所の場合』のそれぞれについて定められています。
訪問看護ステーションの設備基準には、以下の項目が定められています。
それでは、「事務室」と「設備・備品等」について詳しく見ていきましょう。
事務室は、具体的な面積は定められていませんが、利用申込の受付や相談等に対応するための適切なスペースがある専用の事務室を確保しなければならないことが定められています。
ただし、同一敷地内に他の介護事業所等がある場合は、「専用の事務室を設けるのではなく」、必要な広さの専用の区画を用意することで足りるとされています。
設備・備品は、訪問看護サービスの提供に必要となる備品等を設置しなければならないことが定められています。
訪問看護事業所では特に、感染症予防に必要な設備等に配慮することが求められていますので、留意しましょう。
また、同一敷地内に他の介護事業所等がある場合は、訪問看護事業所と他の介護事業所の運営に支障がなければ、他の介護事業所に備え付けられた設備や備品を使用することができるとされています。
【訪問看護サービスを提供するために必要となる設備・備品の例】
等
病院または診療所が行う訪問看護の設備基準には、以下の項目が定められています。
設備・備品については、医療機関の診療用に備え付けられたものを使用することができるとされています。
健康保険法における訪問看護の設備基準には、以下の項目が定められています。
ただし、他の事業の事業所を兼ねる場合は、事業の運営を行うために必要な広さのある専用の区画を設けることで足りるものとされています。
訪問看護の人員基準とは、国や指定権者(都道府県または市)が定める『訪問看護事業所で確保するべき従業員の資格や員数』についてのルールです。介護保険法に基づく指定を受けた場合は、健康保険法に基づく訪問看護事業者の指定も受けたとみなされます。
訪問看護ステーションの人員基準については、こちらの記事に詳しくまとめていますのでご覧いただけると幸いです。
介護保険法に基づく訪問看護の運営基準には、サービスの提供にあたって、作成しなくてはいけない書類や説明・確認しなくてはいけない内容など、事業所の運営にあたって遵守しなくてはいけない基準が定められています。
訪問看護ステーションの運営基準については、こちらの記事に詳しくまとめていますのでご覧いただけると幸いです。
ここまで訪問看護事業所の設備基準について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここでご紹介した内容をもとに、運営指導の前に、今一度、ご自身の運営する訪問看護事業所が設備基準の遵守(特に備品等がそろっているか)を確認しておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。