居宅介護支援事業所には、実務経験が豊富なケアマネジャーから新人ケアマネジャーまで、様々な人材がいます。
そのような中で「ケアマネジャーとしてスキルアップしてもらいたい」や「キャリアアップの道筋を作ってあげたい」といった希望をお持ちの経営者・管理者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、居宅介護支援事業所のケアマネジャーのスキルアップやキャリアアップに役立つ研修・資格について解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
キャリアアップとは、専門的な知識や高い能力を身につけて、役職や地位、経歴を高めることを言います。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーには、以下のようなキャリアアップの例が挙げられます。
また、多角的に事業所を経営している場合は、居宅介護支援事業所の管理者に向けたキャリアアップだけでなく、他の事業所の管理者・中間管理職などを目指すこともできます。
ケアマネジャーのスキルアップに役立つ研修として、以下のような研修が挙げられます。
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
認知症にかかわる実践的な研修には、「認知症介護実践者研修」、「認知症対応型サービス事業管理者研修」、「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」など、様々な種類があります。
ここでは、「認知症介護実践者研修」について詳しくご紹介します。
認知症介護実践者研修は、「認知症の人が、能力に応じて自立した日常生活を営む」ことを支援するための実践的な知識・技術を学び、サービス形態にとらわれない支援を展開できるようになることを目的として実施されています。
また、介護現場の中心的存在として、他の職員をリードし、認知症支援の質を向上させるために具体的な行動ができることを目指した研修となっています。
受講要件は、都道府県によって異なりますが、埼玉県を例にすると以下の要件を全て満たしている方となっています。
身体介護に関する基本的知識・技術を習得しており、身体介護の実務経験が2年以上の者 アセスメント・実践計画を検討する事例を2つ程度準備できる者(事例は研修期間中に継続的に関わることができる認知症の人を対象とすること) 所在地が埼玉県内(さいたま市を除く)にある介護保険施設、事業所等において、以下のいずれかのサービスの業務に従事しており、所属長から当研修の受講について許可を受けた者(居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービス、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス、居宅介護支援、介護予防支援) パソコンやタブレット端末を使用でき、かつそれらをインターネットに接続し、WEBカメラとマイク等を通じた通信ができる者。および、研修資料をインターネットからダウンロードし紙に印刷できる者
研修期間は、講義と演習、実習報告を含めて合計8日間となっています。(都道府県によって日数が違う場合があります。)
受講料は20,000円〜30,000円ほどが多いですが、受講者を限定して無料で実施している都道府県もあります。
ここでは、埼玉県が実施している「埼玉県介護支援専門員レベルアップ研修」をご紹介します。
介護支援専門員レベルアップ研修は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の専門的な知識や実践的な技術等を向上させるために実施されています。
介護支援専門員レベルアップ研修は、ケアマネジャーが専門的な知識の習得および実践的な技術等を向上させ、業務に生かしてもらうことを目的として実施されています。
ケアラー支援、介護と仕事の両立支援、アルコール・ギャンブル依存症への視点、ターミナルケアの視点などについて学びます。
受講対象者は、埼玉県内の介護事業所で、介護支援専門員として業務を行っている方となっています。
受講の流れは以下のようになっています。
埼玉県介護支援専門員レベルアップ研修は、受講料が無料で実施されています。
ケアマネジャーのスキルアップに資する資格として、以下のような資格が挙げられます。
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)とは、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域課題の把握から社会資源の開発等の地域づくりや地域の介護支援専門員の人材育成等の役割を果たすことができる専門職の養成ができる人材を育成することを目的とした研修・資格です。
主任介護支援専門員の資格を取得するためには、「主任介護支援専門員研修」を修了する必要があります。
【受講要件(いずれかを満たすこと)】
また、主任介護支援専門員の資格には、研修を修了してから『5年間』という有効期間があります。
認定ケアマネジャーとは、ケアマネジャーの資質向上を図り、利用者様の生活の質の向上と住民の福祉に貢献し、ケアマネジメントの専門性と社会的地位の確立に資することを目的に、日本ケアマネジメント学会が創設した資格です。
認定ケアマネジャーの資格を取得するためには、「認定ケアマネジャー資格認定試験」に合格する必要があります。
【受験要件】
また、認定ケアマネジャーの資格には、研修を修了してから登録した翌年度の4月1日から『5年間』という有効期間があります。
社会福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格です。
社会福祉士の資格取得を通して、相談援助に関する知識・技術を学ぶことができるため、ケアマネジャーとしてのスキルアップにつながる資格となっています。
社会福祉士の資格を取得するためには、社会福祉士国家試験に合格する必要があります。この国家試験を受験するためには、3つのルートがあります。
【福祉系大学ルート】
福祉系大学等において指定科目を履修し、学校の種類に応じて必要となる実務経験を積んだ後に、国家試験を受験するルート。
【短期養成施設ルート】
福祉系大学等において基礎科目を履修し、学校の種類に応じて必要となる実務経験を積む、または児童福祉司等の実務経験を積み、短期養成施設(6カ月以上)に通った後に、国家試験を受験するルート。
【一般養成施設ルート】
一般大学等を卒業し、学校の種類に応じて必要となる実務経験を積む、または相談援助の実務経験を積み、一般養成施設(1年以上)に通った後に、国家試験を受験するルート。
介護福祉経営士とは、介護福祉分野の経営における視点を学習することができる、介護福祉経営人材教育協会が創設した資格です。
管理者としての視点・考え方を学ぶことができるので、ゆくゆくは管理者を目指すケアマネジャーの方のスキルアップにつながる資格となっています。
介護福祉経営士の資格には、1級と2級があります。
2級の試験は誰でも受験することができ、1級の試験は2級に合格して資格登録を行った人が受験することができます。
ケアマネジャーのスキルアップやキャリアアップに役立つ情報をお伝えしてきました。
介護支援専門員の資格を取得するまでの背景・資格・経験は、その人によって異なるため、スキルアップが必要な能力も異なっています。それぞれのケアマネジャーのスキルアップ・キャリアアップの方向性を聞き取った上で、研修受講や資格取得を事業所として支援しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。