自宅等での安心した療養生活を送るために、利用者様の自宅を訪問して看護サービスを提供する『訪問看護ステーション』は重要な役割を担っています。
この記事では、訪問看護ステーションの開業を検討している方に向けて、事業者が行う『指定申請』を詳しく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
訪問看護ステーションは、介護保険法に基づく訪問看護を提供するためには「介護保険法の指定」を受け、健康保険法に基づく訪問看護を提供するためには「健康保険法に基づく指定」を受ける必要があります。 ただし、介護保険法の指定を受けた場合、別段の申し出がない限り「健康保険法に基づく指定も受けた」という扱いになるため、指定申請は『介護保険法に基づく指定申請を行う』ということになります。 介護保険法に基づく申請は、開業予定地域の「都道府県」または「市」に提出し、指定居宅サービス事業所(指定訪問看護)の指定を受けることになります。この指定を受けるために行う申請手続きを『指定申請』と言います。 また、指定を受けた後は、有効期限(6年)に合わせて更新申請を行い、指定を受けている状態を継続する必要があります。
指定申請の実際の流れは、申請を行う都道府県・市によって若干違いますので、ここでは東京都を例に説明していきます。
東京都で訪問看護ステーションの新規指定申請を行う場合、指定を受ける予定の月の4ヵ月前末日までに「新規指定前研修」の申込をし、管理者または法人代表者が受講する必要があります。
新規指定前研修では、指定訪問看護事業者が遵守する法律や基準等について詳しく学習することができます。 また、ここで学習できる知識は、新規指定申請だけでなく、事業所を開設し、運営をする中でも必要になります。 ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、オンラインで実施されています。
【新規指定前研修のカリキュラム】
指定を受けるために必要な書類(指定申請書・添付書類等)を準備して、指定を受ける予定の月の2ヵ月前15日を目途として指定申請の受付窓口に提出します。
【指定申請書・添付書類の例】
指定申請書・添付書類等に基づき、申請の内容に不備がないかの確認が行われます。 書類上の確認だけでは確認が取れない事項等について、都道府県等の担当職員が開設予定の事業所を訪問し、現地での調査(指定前実地調査)を行う場合があります。
無事に確認・調査が終わると、指定訪問看護の指定通知書が届きます。 指定通知書が届くと、記載されている指定年月日から指定訪問看護事業を開始することができます。
指定申請を行う前に、「法人格の取得」、「不動産の契約」、「各種規則、規程、マニュアル、書式等の作成」、「管理者・看護職員の面接・採用」など経営者がやらなくてはいけないことがたくさんあり、とても大変です。 特に各種規則、規程、マニュアル、書式等の作成や管理者・看護職員の面接・採用は時間と労力がかかってしまいます。 もし、準備を進める中で負担が大きいと感じた場合には、開業支援サービスなどを活用するのが良いでしょう。
東京都の例では、事前相談→新規申請前研修→指定申請という流れを説明してきましたが、申請前の相談や申請前研修の実施の有無・申請スケジュールは、申請を行う都道府県等によって違いがあります。 余裕をもって指定申請を行う都道府県等の担当部署にご確認いただくのが良いでしょう。
東京都の例では、開業予定日の4ヵ月には相談をし、新規指定研修の申込をすることになりますが、実際にはもっと準備期間を長くとっていることが多いようです。また、開業してからサービスを提供し、その介護報酬が入金されるのは開設してから約2ヵ月後になります。 これらのことから、開業時の資金調達では、準備期間から支払う人件費や賃貸料と、実際に運営が開始してから2ヵ月間の経費を含めた運転資金を計算しなくてはいけないことに注意しましょう。
訪問看護の開業準備では、事業計画の作成、法人設立、指定申請書類の作成、従業員の採用、利用者獲得のための営業、加算算定のための準備など、やらなくてはいけないことがとても多いです。また、開業に向けた準備を進める中でわからないこと・迷ってしまうこともでてくるでしょう。
このように開業への不安や疑問がある方は、ぜひ『カイポケの開業支援サービス』のような開業をサポートするサービスを活用しましょう。
訪問看護の指定申請について説明してきましたが、一連の流れを掴むことはできましたか? 訪問看護の指定申請では、人員基準と合わせて設備基準を満たすことを証明するための書類を準備することになります。 この記事でご紹介した内容が、皆様の訪問看護ステーションの開業・指定申請のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。