通所介護(デイサービス)を開設し、運営するには、基準に定められた人数以上のスタッフを配置しなくてはいけません。この基準が『人員に関する基準(人員基準)』です。
この記事では、通所介護(デイサービス)を開設・運営するにあたって求められている人員基準について詳しく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
人員基準には、通所介護事業所が適切なサービスを提供するために、最低限配置しなくてはいけない職種と人員数が以下のように定められています。
※兼務は、その職種の業務に支障がない範囲や定められる基準を満たす範囲で、通所介護の他の職務・同一敷地内の他の事業所等の職務に従事すること等が認められているので、兼務を考えている場合は、具体的な兼務予定についての可否を所轄官庁にご確認ください。
生活相談員は、通所介護事業所のサービス提供時間に応じて、以下の計算式を満たすように配置する必要があります。
『サービス提供時間数 ≦ 提供日ごとの勤務延時間数』
例1:サービス提供時間(9:00~15:30)が6.5時間とすると、その日に勤務延時間数が6.5時間以上となるように生活相談員を配置していることで満たす。
例2:サービス提供時間(9:00~12:30と14:00~17:30)の合計が7時間とすると、その日に勤務延時間数が7時間以上となるように生活相談員を配置していることで満たす。
生活相談員の勤務延時間を計算する上で気をつけるポイントとして、『事業所の外での業務』が挙げられます。 利用者の地域での生活を支援するために、医療機関や他の事業者、地域住民と連携するための活動は勤務延時間の計算に含めることが認められていますが、生活相談員としての業務に従事していない勤務(研修や出張など)は勤務延時間の計算に含めないことになっています。
【勤務延時間に含めて良い業務】
【勤務延時間に含めることができない業務の例】
介護職員は、通所介護事業所のサービス提供時間と利用者数に応じて、以下の計算式を満たすように配置する必要があります。
利用者が15人以下:『サービスの平均提供時間数 ≦ 単位ごとの勤務延時間数』
利用者が16人以上:『サービスの平均提供時間数×{(利用者数-15)÷5+1} ≦ 単位ごとの勤務延時間数』
※平均提供時間数は、『利用者ごとのサービス提供時間の合計÷利用者数』で計算します。
例1:サービス提供時間(9:00~15:30)が6.5時間で全員この時間を利用し、利用者数15人とすると、その単位に勤務延時間数が6.5時間以上となるように介護職員を配置していることで満たす。
例2:サービス提供時間(9:00~15:30)が6.5時間で全員この時間を利用し、利用者数30人とすると、その単位に勤務延時間数が26時間以上となるように介護職員を配置していることで満たす。
人員基準に定められる職種として働くためには、定められる以下の資格を有していることが求められています。
(例:東京都)介護支援専門員、特別養護老人ホームにおいて介護の提供に係る計画の作成に関し1年以上(勤務日数180日以上)の実務経験を有する者、老人福祉施設の施設長経験者、通所介護事業所等における介護に関する実務経験が通算で1年以上(勤務日数180日以上)あり介護福祉士の資格を有する者
ただし、はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6ヵ月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。
基本的に人員基準は「必ず守らなくてはいけない最低限の配置人数」が定められています。そのため、人員基準に違反していることは行政からの指導の対象となります。行政からの指導の結果、改善が見られない場合や悪質だと判断された場合は、事業所の受けている「指定」の効力停止や取消に繋がってしまうこともあります。 また、指導の対象となるだけでなく、介護職員・看護職員が人員基準に満たない場合は、介護報酬を30%減算して算定することになっています。
通所介護の開業準備では、事業計画の作成、法人設立、指定申請書類の作成、従業員の採用、利用者獲得のための営業、加算算定のための準備など、やらなくてはいけないことがとても多いです。また、開業に向けた準備を進める中でわからないこと・迷ってしまうこともでてくるでしょう。
このように開業への不安や疑問がある方は、ぜひ『カイポケの開業支援サービス』のような開業をサポートするサービスを活用しましょう。
今回は、通所介護(デイサービス)の人員基準について説明してきました。 通所介護事業所を開業・運営するにあたって、人員基準は把握しておく必要があります。そして、もし離職する従業員がいる場合には、人員基準を満たすために採用を早急に進める必要があります。 ここでご紹介した内容が皆様の通所介護の開業やその後の運営のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。