口腔機能向上加算とは、口腔機能が低下している、またはそのおそれのある利用者に対して実施する口腔機能向上の取り組みを評価する加算です。2021年度介護報酬改定で、利用者の口腔機能低下を早期に確認し、適切な管理等を行うことによって口腔機能低下の重症化等の予防、維持、回復等につなげるために、新たな加算区分が新設されました(LIFEの活用の評価)。
ここでは、口腔機能向上加算について詳しく説明します。
・通所介護 ・地域密着型通所介護 ・(介護予防)認知症対応型通所介護 ・(介護予防)通所リハビリテーション ・看護小規模多機能型居宅介護(※)
※2021年度介護報酬改定にて、看護小規模多機能型居宅介護も対象サービスに追加されました。
口腔機能向上加算は、口腔機能が低下している、またはそのおそれのある利用者に対し、口腔機能の向上を目的とした口腔機能向上サービス(※)を行った場合に算定できます。
※口腔機能向上サービス:個別的に実施される口腔清掃の指導もしくは実施、摂食・嚥下機能に関する訓練の指導もしくは実施であって、利用者の心身の状態の維持または向上に資すると認められるもの
算定するには、以下の算定基準をすべて満たすことが求められます。
・言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員を1名以上配置している ・利用者の口腔機能を利用開始時に把握している ・言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種の者が共同して、利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画を作成している ・利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画に従い、言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員が口腔機能向上サービスを行っている ・利用者の口腔機能を定期的に記録している ・利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画の進捗状況を定期的に評価している ・評価の結果について、担当の介護支援専門員、主治医、主治歯科医に情報提供している ・定員超過利用、人員基準欠如に該当していない
・加算(I)の算定基準をすべて満たしている
・利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚生労働省に提出し、口腔機能向上サービスの実施に当たって、当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用している(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
口腔機能向上加算を算定できる利用者は、以下のいずれかに該当し、口腔機能向上サービスが必要だと認められる者になります。
口腔機能向上加算(I):150単位/回(月2回を限度) 口腔機能向上加算(II):160単位/回(月2回を限度)
※3カ月以内の期間に限り1月に2回を限度として算定
※ただし、口腔機能向上サービスの開始から3カ月ごとの利用者の口腔状態の評価の結果、口腔機能が改善せず、引き続き口腔機能向上サービスを行うことが必要と認められる利用者については、引き続き算定可能
※加算I・IIの併算定は不可
歯科医療を受診している場合であって、次の(1)(2)のいずれかに該当する場合は、口腔機能向上加算は算定できません。
(1)医療保険において歯科診療報酬点数表に掲げる「摂食機能療法」を算定している場合
(2)医療保険において歯科診療報酬点数表に掲げる「摂食機能療法」を算定していない場合であって、介護保険の口腔機能向上サービスとして「摂食・嚥下機能に関する訓練の指導若しくは実施」を行っていない場合。
2019年時点における「口腔機能向上加算」の算定率は下記のとおりです。
【通所介護】(事業所ベース)…10.2% 【通所介護】(回数・日数ベース)…0.8%
【地域密着型通所介護】(事業所ベース)…5.9% 【地域密着型通所介護】(回数・日数ベース)…0.9%
【認知症対応型通所介護】(事業所ベース)…5.4% 【認知症対応型通所介護】(回数・日数ベース)…0.5%
【通所リハビリテーション】…15.7%
最後までお読みいただきありがとうございます。「介護経営.com」では、上記で解説した内容に加え、算定の際によく迷うケースをまとめたQ&Aまで網羅した資料【口腔機能向上加算算定要件ガイドブック】を無料でご提供しています。下記から簡単な手順でpdfファイルをダウンロードいただけますので、ぜひ皆さまの業務にお役立てください。