ADL維持等加算は、通所介護(地域密着型も含む)事業所の利用者が、ADLの維持・改善の度合が一定の水準を超えた等の要件を満たした場合に取得できる加算として2018年の介護報酬改定で創設されました。
2021年度の介護報酬改定では、対象サービスに介護老人福祉施設などが追加されたほか、一部の算定要件が緩和されるなどの見直しが行われています。
*関連記事:ADL維持等加算 2021年度介護報酬改定の変更ポイント
通所介護のADL維持等加算(I)、(II)の算定要件は以下の通りです。 ※「(III)」は改定前時点で同加算を算定していた事業所に対する2023年3月31日までの経過措置
ADL維持等加算(I)では、下記の要件をすべて満たす必要があります。
(1)以下の要件を満たし、都道府県知事等に『介護給付費算定に係る体制等に関する届出書』及び『ADL維持等加算に係る届出書』を提出していること
(2)評価対象者数(評価対象利用期間が6カ月を超える者)が10名以上であること
(3)評価対象者全員が、利用開始月と、その翌月から起算して6カ月目(6カ月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、一定の研修を受けた者が、Barthel IndexでADL値を測定していること
(4)測定した日が属する月ごとにLIFEを用いてADL値を提出していること
(5)ADL値を用いて一定の基準に基づき算出したADL利得について、平均値が『1』以上であること
(6)サービスの質の向上を図るため、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用し、利用者の状態に応じた個別機能訓練計画の作成(Plan)、当該計画に基づく個別機能訓練の実施(Do)、当該実施内容の評価(Check)、その評価結果を踏まえた当該計画の見直し・改善(Action)の一連のサイクル(PDCAサイクル)により、サービスの質の管理を行うこと
通所介護のADL維持等加算(II)では、下記の要件をすべて満たす必要があります。
(1)ADL維持等加算(I)のうち、(1)~(4)、(6)の要件を満たすこと
(2)ADL値を用いて一定の基準に基づき算出したADL利得について、平均値が『2』以上であること
ADL維持等加算(III)※経過措置では、下記の要件をすべて満たす必要があります。
(1)従前のADL維持等加算の届出を行っていて、令和3年度の介護報酬改定に係るADL維持等加算の届出を行っていないこと
(2)評価対象利用期間に5時間以上の利用回数が5時間未満の利用回数を上回る利用者の総数が20名以上であること
(3)評価対象利用期間の初月において要介護度が3以上である利用者が、利用者の総数に対して15%以上であること
(4)評価対象利用期間の初月において初回の要介護・要支援認定があった日から起算して12カ月以内の利用者が15%以下であること
(5)評価対象利用期間の初月と6カ月目において、事業所の機能訓練指導員がBarthel IndexにてADL値を測定し、その結果を厚生労働省に提出している利用者が90%以上であること
(6)評価対象利用期間の6カ月目におけるADL値から評価対象利用期間の初月におけるADL値を控除した値が多い順の上位85%について、ADL利得が「ADL利得が0より大きければ1」「ADL利得が0より小さければ-1」「ADL利得が0ならば0」として区分し、合計した数が0以上であること
*算定要件における各項目の詳細や留意点については、算定要件と合わせてダウンロード資料(無料)にまとめておりますので、本記事と合わせてぜひご確認ください。
通所介護におけるADL維持等加算の単位数は以下の通りです。
通所介護(地域密着型を含む)におけるADL維持等加算の取得率は、令和2年4月サービス提供分の時点で2.38%となっています。
第185回社保審・介護給付費分科会資料「令和3年度介護報酬改定に向けて(自立支援・重度化防止の推進)」より
「介護経営.com」では上記で解説した内容に加え、算定要件の詳細や、ADL維持等加算の介護報酬改定に関するQ&Aなどをまとめた資料【通所介護事業所向けADL維持等加算算定のガイドブック】を無料でご提供しています。下記から簡単な手順でpdfファイルをダウンロードいただけますので、ぜひ皆さまの業務にお役立てください。
最後までお読みいただきありがとうございました。