介護職員等ベースアップ等支援加算とは介護職員等の処遇改善を目的とし、1人あたりの収入を3%程度(月額平均9,000円相当)引き上げるために設けられた加算です。
2022年度の臨時介護報酬改定で新たに創設されました。ここでは、介護職員等ベースアップ等支援加算の算定要件や単位数などについて説明します。
(厚生労働省 介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要より引用)
介護職員等ベースアップ等支援加算を算定するには、以下の要件をすべて満たすことが求められます。
※加算の算定額を上回る賃金改善
経営の悪化などにより事業の継続が困難な場合は、介護職員等ベースアップ等支援加算による賃金改善分を除く職員の賃金水準を見直すことはやむを得ないとされています。ただし、賃金水準を見直す場合、その内容について都道府県知事等に届け出ることが必要になります。
介護職員等ベースアップ等支援加算の対象となる職種は以下のようになっています。
「その他の職員」の範囲は、各事業所で判断することになりますが、その他の職員にも配分を行う場合は、介護職員の処遇改善を目的とした加算であることを十分に踏まえた配分となるように留意する必要があります。
介護職員等ベースアップ等支援加算のサービス区分ごとの加算率は以下の通りです。
介護職員等ベースアップ等支援加算の単位数は、基本報酬に加算・減算(介護職員処遇改善加算および介護職員等特定処遇改善加算を除く)を加えた単位数に加算率を掛け合わせることで算出します。
例えば、入浴介助加算と介護職員処遇改善加算を算定している通所介護事業所の場合、以下のような計算式になります。
(基本報酬+入浴介助加算の単位数)×1.1%=介護職員等ベースアップ等支援加算の単位数
介護職員等ベースアップ等支援加算のQ&Aは、厚労省からまだ公表されていません。
ただし、ベースアップ等の考え方など 「介護職員処遇改善支援補助金のQ&A」が参考になりますので、そちらをご覧ください。
介護職員等ベースアップ等支援加算は、2022年(令和4年)10月から算定することができます。
加算を算定するためには、期日までに賃金改善の見込み額や賃金改善実施期間などを記載した計画書を都道府県知事等に提出する必要があります。
以下は、2022年10月から加算を算定する場合のスケジュールです。
【スケジュールの例】 2022年8月末日 申請書、計画書の提出 2022年10月 介護職員等ベースアップ等支援加算の算定開始 2022年12月 10月分の介護職員等ベースアップ等支援加算の入金。賃金改善の実施。 2023年5月 2022年度分における加算の最終入金。賃金改善の最終調整。 2023年7月末日 実績報告書の提出
2023年(令和5年)3月には介護事業者の事務負担軽減等を目的として、介護職員等ベースアップ等支援加算と介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算に関する書類が簡素化され、計画書と実績報告書の記載内容や様式が変更されました。
具体的には、
といった簡素化が行われました。
それでは、新様式となった計画書と実績報告書の記載内容について見ていきましょう。
令和5年(2023年)度分の計画書の記入例を厚生労働省が公開しています。
ここでは、介護職員等ベースアップ等支援加算に関する部分へ記載する内容をご紹介します。
【計画書の記載内容】
令和5年(2023年)度分の実績報告書の記入例を厚生労働省が公開しています。
【実績報告書の記載内容】
など
介護職員等ベースアップ等支援加算を算定することが決まった場合、これまでと利用料(利用者負担金)が変わることになりますので、加算を算定する前までに、更新した重要事項説明書を使い、利用者やその家族に説明し、同意を得る必要があります。
原則として重要事項説明書を更新して説明、同意を得ることが求められていますが、自治体によっては、利用者負担額改定表や同意書等を使って変更点を説明し、利用者やその家族から同意をいただくことを認めている場合もあります。事業所の所在する自治体で、どのような方法が認められているのか確認しましょう。
利用者やその家族に介護職員等ベースアップ等支援加算の算定を開始することをお伝えする同意書のひな形を作成しましたので、ぜひダウンロードをしてご活用ください。
こちらの同意書の様式は介護経営ドットコム編集部が独自に作成しておりますので、事業所の所在する自治体によっては、この様式の使用を認められない可能性があります。その点に留意していただき、使用する前に必ず自治体に確認をとっていただいてからご使用いただきますようにお願い致します。
介護職員等ベースアップ等支援加算の同意書(Wordファイル)の無料ダウンロード
介護職員処遇改善支援補助金は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、「介護職員の収入を3%程度(月額9,000円)引き上げること」を目的として設けられました。
2022年度の国の予算編成過程において検討され、2022年10月から看護、介護、保育、幼児教育の分野での処遇改善のために必要な措置の実施が予定されていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症や少子高齢化への対応が重なる最前線で働く方々に対して早急な支援が必要となっていることから、2022年2月に前倒しで補助金という形で実施されました。
介護職員処遇改善支援補助金は、2022年2月から9月の期間で実施されていました。2022年10月以降は、介護職員等ベースアップ等支援加算として運用が開始されたことに伴い、介護職員処遇改善支援補助金の制度は終了しています。
介護職員処遇改善支援補助金のサービス区分ごとの交付率は以下の通りです。
介護職員処遇改善支援補助金は、基本報酬に加算・減算(介護職員処遇改善加算および介護職員等特定処遇改善加算を除く)を加えた単位数に加算率を掛け合わせることで、交付金額を算出します。
例えば、早朝・夜間加算と介護職員処遇改善加算を算定している訪問介護事業所の場合、以下のような計算式になります。
(基本報酬+早朝・夜間加算の単位数) × 1単位の単価 × 2.1% = 介護職員処遇改善支援補助金
こちらの記事では、2022年度の臨時介護報酬改定で新設された介護職員等ベースアップ等支援加算について解説してきました。
記事の内容は、作成時点の最新資料・情報を基にしております。
具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。