訪問介護事業所において、ご利用者へのサービスの質を向上させていく上で、また事業所収支を安定させるためにも重要となるのが「特定事業所加算」です。
本記事では訪問介護における特定事業所加算の算定要件や単位数について説明しています。特定事業所加算の要件を確認したい、これから特定事業所加算の取得を検討している訪問介護事業所の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- 訪問介護の特定事業所加算とは
- 訪問介護の特定事業所加算の算定要件
- 訪問介護の特定事業所加算の単位数
- 特定事業所加算の算定率
- まとめ
訪問介護の特定事業所加算とは
訪問介護における特定事業所加算は、ヘルパーの活動環境の整備や人材の質の確保、中重度者への対応など、質の高いサービスを提供する訪問介護事業所を段階的に評価する加算として設けられており、特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)のいずれかで評価されます。
訪問介護の特定事業所加算の算定要件
訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の算定要件は以下のようになります。
※各加算の算定要件は、後ほど比較する上で番号を飛番にしています。
訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件
訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)では、下記のすべての要件を満たす必要があります。
①訪問介護員等に対して個別研修計画の策定、研修の実施をしていること
②利用者の情報や留意事項等の伝達、訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催していること
③サービス提供責任者から訪問介護員等に利用者の情報や留意事項等の伝達、及び訪問介護員等からサービス提供責任者への報告を行っていること
④訪問介護員等に健康診断を定期的に実施していること
⑤緊急時における対応方法を利用者に明示していること
⑥訪問介護員等の総数に対して『介護福祉士の占める割合が30%以上』または『介護福祉士、実務者研修修了者等が占める割合が50%以上』であること
⑦すべてのサービス提供責任者が『3年以上の実務経験がある介護福祉士』または『5年以上の実務経験がある実務者研修修了者等』であること
⑧『前年度』または『前3月間』において、利用者総数のうち要介護度4、5または特定の状態である者の占める割合が20%以上であること
⑩都道府県知事等へ届出していること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅱ)の算定要件
訪問介護の特定事業所加算(Ⅱ)では、下記のすべての要件及び、⑥・⑦のいずれかを満たす必要があります。
①訪問介護員等に対して個別研修計画の策定、研修の実施をしていること
②利用者の情報や留意事項等の伝達、訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催していること
③サービス提供責任者から訪問介護員等に利用者の情報や留意事項等の伝達、及び訪問介護員等からサービス提供責任者への報告を行っていること
④訪問介護員等に健康診断を定期的に実施していること
⑤緊急時における対応方法を利用者に明示していること
⑩都道府県知事等へ届出していること
⑥訪問介護員等の総数に対して『介護福祉士の占める割合が30%以上』または『介護福祉士、実務者研修修了者等が占める割合が50%以上』であること
⑦すべてのサービス提供責任者が『3年以上の実務経験がある介護福祉士』または『5年以上の実務経験がある実務者研修修了者等』であること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅲ)の算定要件
訪問介護の特定事業所加算(Ⅲ)では、下記のすべての要件を満たす必要があります。
①訪問介護員等に対して個別研修計画の策定、研修の実施をしていること
②利用者の情報や留意事項等の伝達、訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催していること
③サービス提供責任者から訪問介護員等に利用者の情報や留意事項等の伝達、及び訪問介護員等からサービス提供責任者への報告を行っていること
④訪問介護員等に健康診断を定期的に実施していること
⑤緊急時における対応方法を利用者に明示していること
⑧『前年度』または『前3月間』において、利用者総数のうち要介護度4、5または特定の状態である者の占める割合が20%以上であること
⑩都道府県知事等へ届出していること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅳ)の算定要件
訪問介護の特定事業所加算(Ⅳ)では、下記の要件をすべて満たす必要があります。
①サービス提供責任者に対して個別研修計画の策定、研修の実施をしていること
②利用者の情報や留意事項等の伝達、訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催していること
③サービス提供責任者から訪問介護員等に利用者の情報や留意事項等の伝達、及び訪問介護員等からサービス提供責任者への報告を行っていること
④訪問介護員等に健康診断を定期的に実施していること
⑤緊急時における対応方法を利用者に明示していること
⑧『前年度』または『前3月間』において、利用者総数のうち要介護度3、4、5または特定の状態である者の占める割合が60%以上であること
⑨常勤のサービス提供責任者を配置し、かつ、基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
⑩都道府県知事等へ届出していること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の比較
特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅳ)の要件を比較すると以下のようになります。
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(Ⅰ)
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(Ⅱ)
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(Ⅲ)
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(Ⅳ)
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①個別研修計画の策定、研修の実施
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訪問介護員等
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サ責
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②定期的な会議の開催
③情報の伝達、報告
④定期的な健康診断の実施
⑤緊急時の対応の明示
⑩都道府県知事への届出
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共通で必要
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⑥訪問介護員等の資格要件等
⑦サービス提供責任者の資格要件等
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両方必要
|
片方必要
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なし
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⑧中重度の利用者の割合
(Ⅰの場合は要介護度4・5、Ⅳの場合は要介護度3~5)
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20%
|
なし
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60%
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⑨サービス提供責任者の基準以上の配置
|
なし
|
必要
|
『個別研修計画の策定、研修の実施』の要件や『定期的な会議の開催』の要件など、算定要件における各項目の詳細や留意点については、算定要件と合わせてダウンロード資料(無料)にまとめておりますので、本記事と合わせてぜひご確認ください。
訪問介護の特定事業所加算の単位数
訪問介護における特定事業所加算の単位数は以下のようになっています。
加算名
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単位数
|
特定事業所加算(Ⅰ)
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所定単位数の20%
|
特定事業所加算(Ⅱ)
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所定単位数の10%
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特定事業所加算(Ⅲ)
|
所定単位数の10%
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特定事業所加算(Ⅳ)
|
所定単位数の5%
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特定事業所加算の算定率
訪問介護における特定事業所加算の算定率は、「訪問介護における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業(速報値)」によると、以下のようになっています。
加算名
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算定率
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特定事業所加算(Ⅰ)
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10.2%
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特定事業所加算(Ⅱ)
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31.9%
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特定事業所加算(Ⅲ)
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2.0%
|
特定事業所加算(Ⅳ)
|
0.1%
|
算定無し
|
55.8%
|
出典:第20回社保審・介護給付費分科-介護報酬改定検証・研究委員会資料「(3)訪問介護における平成30年度介護報酬
改定の影響に関する調査研究事業(速報値)(案)」より
まとめ
今回ご紹介した、訪問介護の特定事業所加算についての記事はいかがだったでしょうか?「介護経営.com」では上記で解説した内容に加え、算定要件の詳細や、特定事業所加算の介護報酬改定に関するQ&Aなどをまとめた資料【訪問介護事業所向け特定事業所加算算定のガイドブック】を無料でご提供しています。下記から簡単な手順でpdfファイルをダウンロードいただけますので、ぜひ皆さまの業務にお役立てください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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