訪問介護事業所において、ご利用者へのサービスの質を向上させていく上で、また事業所収支を安定させるためにも重要となるのが「特定事業所加算」です。
本記事では訪問介護における特定事業所加算の算定要件や単位数について説明しています。特定事業所加算の要件を確認したい、これから特定事業所加算の取得を検討している訪問介護事業所の方は、ぜひ最後までご覧ください。
訪問介護における特定事業所加算は、ヘルパーの活動環境の整備や人材の質の確保、中重度者への対応など、質の高いサービスを提供する訪問介護事業所を段階的に評価する加算として設けられており、特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅴ)の区分が設けられています。
訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅴ)の算定要件は以下のようになります。
特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅴ)の要件を比較すると以下のようになります。
(※)
(※)7.または8.の要件のいずれかを満たすこと
※各区分の算定要件は、比較表の番号に合わせているため飛番にしています。
訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)では、下記のすべての要件を満たす必要があります。
①すべての訪問介護員等に対して個別研修計画の策定し、研修を実施または実施を予定していること
②利用者の情報や留意事項等の伝達、訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催していること
③サービスの提供にあたってサービス提供責任者から訪問介護員等に利用者の情報や留意事項等を伝達し、サービス提供後は訪問介護員等からサービス提供責任者へ報告を行っていること
④すべての訪問介護員等に健康診断を定期的に実施していること
⑤緊急時における対応方法を利用者に明示していること
⑥訪問介護員等の総数に対して『介護福祉士の占める割合が30%以上』または『介護福祉士または実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者の占める割合が50%以上』であること
⑦すべてのサービス提供責任者が『3年以上の実務経験がある介護福祉士』または『5年以上の実務経験がある実務者研修修了者または介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者』であること
⑩『前年度』または『算定日が属する月の前3月間』において、利用者総数のうち要介護度4、5または日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・M、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が20%以上であること
⑫都道府県知事等に届出を提出していること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅱ)では、下記の①~⑤、⑫の要件と、⑥・⑦のいずれかの要件を満たす必要があります。
⑥訪問介護員等の総数に対して『介護福祉士の占める割合が30%以上』または『介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者の占める割合が50%以上』であること
⑦すべてのサービス提供責任者が『3年以上の実務経験がある介護福祉士』または『5年以上の実務経験がある実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者』であること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅲ)では、下記のすべての要件を満たす必要があります。
訪問介護の特定事業所加算(Ⅳ)では、下記の要件をすべて満たす必要があります。
①すべてのサービス提供責任者に対して個別研修計画の策定し、研修を実施または実施を予定していること
⑧常勤のサービス提供責任者を配置し、かつ、基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
⑪『前年度』または『算定日が属する月の前3月間』において、利用者総数のうち要介護度3、4、5または日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・M、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が60%以上であること
訪問介護の特定事業所加算(Ⅴ)では、下記のすべての要件を満たす必要があります。
⑨訪問介護員等の総数に対して、勤続年数が7年以上の者の占める割合が30%以上であること
訪問介護における特定事業所加算の単位数は以下のようになっています。
訪問介護における特定事業所加算の算定率は、「訪問介護における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業(速報値)」によると、以下のようになっています。
出典:第20回社保審・介護給付費分科-介護報酬改定検証・研究委員会資料「(3)訪問介護における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業(速報値)(案)」より
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最後までお読みいただきありがとうございました。