研修09_介護記録の書き方

2021.04.19
2024.03.25
11:22
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目次
    介護現場における記録とは
      介護記録の種類とその内容
        介護記録は何のために書くのか
          介護記録は誰のために書くのか
            5W1H
              書き方のポイント

                介護現場における記録とは

                介護現場では、介護サービスの提供をすることはもちろんですが提供したサービスの内容について記録することが必要です。この記録はサービス提供の証拠となるものですのでサービス提供と同様に非常に重要なものになります。また記録はサービス提供の証拠となるだけではなく、利用者に必要なサービスを見極めて適切に提供するうえでも重要になってきます。利用者の状態をサービス内容とあわせて記録を残すことで、サービス内容の見直しの際にも役に立ちます。なぜそのサービスを提供したのか、結果がどうであったのかといった点を記録に残すことでサービス提供の根拠ともなり、介護サービスの質の向上にもつながります。

                介護記録の種類とその内容

                このように重要な記録ですが、介護現場で必要になる記録には読む記録と書く記録に分けられます。介護現場で実際にサービス提供した内容とその際に確認した利用者の状態などを記録するのが書く記録です。一方の読む資料としては、利用者に対し提供するサービス内容をあらかじめ取り決めたものとしてのケアプランや、このケアプランを作成するための資料として利用者の状態や家族の情報を記録したものとしてのフェイスシートやアセスメント表、モニタリング表などがあります。

                現場で介護サービスを適切に提供するためにも、これらの記録はあらかじめ読んでおくことが必要です。介護目標や介護計画を理解することができるため、適切な介護サービスを提供することができますし、自分が書く記録の中にはどのような点に注目して書くことが期待されているのかが、よりはっきりわかるようになります。これら以外にも書く記録として事業所ごとに定めるチェックシートや連絡ノートなどがあると思われます。いずれも記録する目的を把握することでより良い記録ができるようになります。

                介護記録は何のために書くのか

                介護記録を書く目的としては

                「制度上の必要要件であること」

                「サービスが適切であるかを判断するため」

                「介護サービスの向上を支えるサイクルとして必要」の3点が挙げられます。

                介護保険制度上、提供したサービス内容などは記録して保管することが義務付けられており介護報酬支払のための必要書類となっています。万一の事故やトラブルといった事態のときにも記録は事実関係を証明する必要書類となり得ます。そのためにも常日頃からサービスの内容だけではなく、サービス提供したときの状況などについても記録しておくことが重要になります。

                サービスが適切かを判断する材料としても活用されます。実際のサービス提供はケアプランや個別援助計画などに沿って提供されています。ケアプランなどで計画されたサービスが提供されているかの証拠となると同時に、利用者の日々の状況を記録しておくことで計画していたサービス内容が利用者の状態向上など、あらかじめ設定していた目標の達成に役立っているのかが記録から読み取ることができます。適切な効果が出ていない場合には計画を見直すことが必要になりますので、あらためてアセスメント(課題分析)する必要があります。その際にも利用者の状態や状況などが詳しく記録された介護記録が重要な資料となります。

                サービス向上のサイクルを適切に支えていくためにも記録が重要になります。アセスメント(課題分析)により作成されるケアプランがあり、これに基づき介護計画を立案し説明を行い介護サービスを実施します。介護サービスを提供した際の内容や状況を記録するのが現場の介護記録になります。現場の介護記録によって利用者の状況を把握するモニタリングを行いますので、必要な情報が適切に記録されていないと適切なモニタリングすることができなくなります。モニタリングの結果に基づき介護計画の見直しを行いますので、その点でも現場の介護記録はとても重要です。

                介護記録は誰のために書くのか

                介護サービスの提供に際して利用者本人はもちろんですが、家族などがいる場合には家族等の要望や気持ちを無視することはできません。特に家族等が離れて暮らしている場合には利用者の状況などを聞かれることも珍しくありません。その際にも利用者の状況や介護の状況などを正確に伝えるうえで介護記録が役にたちます。介護保険の制度上、事業所で保管を義務付けられている介護記録は利用者やその家族などから請求があった場合にはいつでも開示することが定められてもいますので、家族が読むことを想定して記録することも良い記録とする一つの手段です。

                介護記録を事業所内のスタッフ同士で共有することも目的の一つとなります。利用者の情報を共有することで、より良い統一された介護サービスの提供をすることが可能になります。介護は一人のスタッフで行うことはできません。職員同士で協調してチームとしてより良いケアを提供することが求められています。

                そのためには介護現場で自分以外のスタッフが利用者にサービス提供する際にも介護記録を事前に読めば利用者がどのような状況にあり、今注意しないといけないことや求められていることを明確に理解できるような介護記録をすることが必要になります。事業所内のスタッフ同士以外にも、利用者の主治医や看護師、リハビリスタッフやケアマネージャーなど、利用者へのサービスに関わるすべてのスタッフで共有することでより良いケアの提供を行うことができるようになります。

                介護サービスを提供するうえでは、思わぬ事故やトラブルも避けて通れないものです。事業所側に責任が無くても訴えられてしまうことも実際に発生しています。そのような時には介護記録が事実の証明に役に立ちます。いつ、どのような状況で、どのような経過で事故が起こったのか、客観的にわかるような記録にしておくことで的確な事実の証明が可能になり結果として事業者やスタッフを守ってくれるものとなります。

                特に事故発生のときには一定の要件を満たす事故であった場合には行政への報告が義務付けられています。その際の事故報告書は介護記録を基に作成することになります。事故発生の状況や経緯が明確になっていないと適切な事故報告書の作成が困難になるため、常日頃からこれらの記録すべき要件を満たした介護記録を作成しておくことが求められます。

                結論として介護記録は、利用者のためだけではなく、介護スタッフ、事業所、利用者に携わる医療専門職の医師や看護師、その他のリハビリスタッフなど様々なサービス提供者や家族等、利用者に関わる全ての人にとって必要なものであるということになります。

                5W1H

                正しい介護記録を書くうえで重要なものとして5W1Hが挙げられます。5W1Hとは、「WEHN」(いつ)、「WHERE」(どこで)、「WHO」(誰が)、「WHAT」(なにを)、「WHY」(なぜ)、「HOW」(どのように)のことです。記録する出来事について、この5W1Hにあてはめて記録するようにすれば適切な記録にしやすくなります。起こった出来事をどのように記録すればよいか迷ったときは、この5W1Hを意識して書くようにすることをお勧めします。

                特に誰かの行為や行動の記録をする場合、主体が「WHO」誰なのかを明確に書くように意識します。日常会話では複数の文章をつないだり、主語を省略したりして「WHO」がわからなくなることが良くあります。この点については特に注意して記録するようにしましょう。

                書き方のポイント

                施設における記録

                施設での介護は24時間365日複数の利用者を対象に行われますが、集団ケアではなく、一人一人に目を向けた個別ケアが提供されていることに留意します。利用者ごとにアセスメント、介護計画、目標がありますので、これらに基づいた記録をすることが必要になります。具体的には

                1.計画どおりの介護がおこなわれているか

                2.利用者にどのような変化が起きているか

                3.結果として介護の目標にどれだけ近づいているか

                という点についての観察とその記録が求められているということになります。

                この点に注意した上で、利用者の生活について、食事、排泄、入浴など場面ごとに起こったこと、その時の利用者の状況などについて記録していくことになります。もちろん適宜支援した内容についても記録しますが、支援する内容についてはケアプランや個別援助計画の内容を基本として、他に必要としている援助がないかや、今の計画にある援助内容が適切かなどといったところについても利用者の状態を注意深く観察して、その時の介護職としての気づきがあれば、あわせて記録するようにします。

                もちろん利用者からの訴えや要望があれば、それらについても必要に応じて記録に残すようにします。このような視点で行われた記録は、施設内の様々な職種のスタッフで構成されるチームの中で利用者の情報を共有するための重要な情報となりますし、次の個別援助計画を作成する際の重要な情報としても役に立ちます。

                施設の介護記録として求められるもの以外の業務日誌や連絡ノートのようなものについては、介護記録とは完全に分けておくことが必要です。介護記録はあくまで利用者一人一人に注目して行われるものですので、施設全体に関わる出来事や状況の記録、利用者に関係しないスタッフ間の連絡事項などについては別のノートなどを活用して記録するようにします。


                居宅における記録

                居宅介護は利用者の自宅などに訪問して行うため利用者の生活様式や考え方をできるだけ尊重した形で行うことが必要です。またサービス提供の実態やサービス提供時の利用者の状況等については直接サービス提供している介護職員以外は見えないことも多くなります。サービス提供責任者への報告やスタッフ同士の情報共有ももちろんですが、利用者本人や家族等の方が読むことも意識して記録することが求められます。

                加えて訪問介護の場合、計画にない援助内容については利用者から直接依頼されたことであっても制度上援助することが困難であるという制限があります。利用者が自分でできないために必要としている援助を適切に行うためにはあらかじめ、できること、できないことの見極めをして、必要な援助は何なのか、を明確にケアプランなどに記載することが必要になります。これらのことから

                1.訪問介護計画書やケアプランで定められていることは何か

                2.できること、できないことを見極められているか

                に特に注意して記録することが必要です。

                訪問介護の場合には、そのため適切なケアプランを作成してもらい、利用者が必要とする適切な援助を実現するためにも介護職員が行う介護記録が重要になるということです。

                一方で基本的には職員一人でサービス提供しますので記録にはあまり長い時間を割くことはできません。そのため計画で決められたサービスをピックアップしておきチェックシート的なものを準備しておき、毎回定期的に行っているサービスについては簡単に記録できるようにしておくことも役に立つ方法です。しなければいけないことは簡単なチェックを入れることで記録を完了したうえで、その際の気づきや利用者の状況などを簡潔にまとめて記録するようにします。


                医療的ケアに関わる記録

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