「リハビリテーション計画書」は、訪問・通所リハビリテーションを提供するに当たって、医師がリハビリを指示する際にその目的や方法などについて説明するための書類です。
(1)訪問または通所リハビリテーションサービスを初めて実施するにあたって作成し、利用者の同意を得て交付します。
(2)利用者の心身の状態、生活環境を踏まえ、利用者の希望、リハビリの目標と方針、健康状態、リハビリの実施上の留意点、リハビリ終了の目安・時期などを記載します。 *既に居宅サービス計画(ケアプラン)等が作成されている場合には、その内容に沿って計画を立案します。
(3)計画書の評価と見直しについて、計画の進捗状況を初回はサービス提供開始からおおむね2週間以内、その後はおおむね3月ごとに評価し、必要に応じて見直します。
計画の見直しに伴いケアプランを変更する必要がある場合は、速やかに介護支援専門員に情報提供を行います。
また、事業所とは別の医療機関で計画的な医学的管理を行っている医師やその他の居宅サービス事業者などにも適宜、情報提供が必要です。
21年度介護報酬改定に併せて厚労省が改正した様式・記載要領を基に、リハビリテーション計画書を作成する際のポイントを紹介します。
(1) 本人の希望及び家族の希望本人の希望に関しては、興味・関心チェックシートで把握した、「利用者がしてみたい」または「興味がある」と答えた内容を考慮して、利用者に確認の上、したい又はできるようになりたい生活の希望等を該当欄に記載します。 家族の希望は、利用者の家族が利用者に関して特に自立してほしいと思っている生活内容や今後の生活で送ってほしいと希望する内容に該当する項目を具体的に確認した上で、該当箇所に記載します。
(2) 健康状態、経過 原因疾病、その疾患の発症日・受傷日、直近の入院日、直近の退院日、手術がある場合は手術日と術式等の治療経過、合併疾患の有無とそのコントロールの状況など、これまでのリハビリテーションの実施状況(プログラムの実施内容、頻度、量等)を該当箇所に記載します。
(3)心身機能・構造 評価基準の各項目について、現在の状況・活動への支障がある場合には該当項目を選択しましょう。
6分間歩行試験、TUG Test、MMSE、HDS-Rについては評価した値を記載します。
認知機能については、MMSE(Mini Mental State Examination)又はHDS-R(改定長谷川式簡易知能評価スケール)を選択し、その得点を記入するとともに、将来の見込みについて該当箇所にチェックします。
服薬管理の状況については、現在の状況と将来の見込みを該当箇所にチェックします。
コミュニケーションの状況については、現在の状況を記載するとともに、将来の見込みを該当箇所にチェックします。
(4)活動の状況 評点については、リハビリテーション計画の見直しごとに、以下の通り、各活動の状況の評価を行い記入します。
◆基本動作 居宅を想定しつつ、基本動作(寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、立位保持)の状況を評価し、該当箇所にリハビリテーション開始時点及び現在の状況について記載します。
◆ 活動(ADL)(Barthel Index を活用)
下記を参考に現在「している」状況について評価を行い、リハビリテーション開始時点及び現在の状況について該当箇所に記載します。
(5)リハビリテーションの目標、方針、本人・家族への生活指導の内容、実施上の留意点、リハビリテーションの見通し・継続理由、終了の目安と時期 目標は長期目標と短期目標(今後3カ月間)を、方針については今後3カ月間として、該当欄に記載します。
※2021年度介護報酬改定で新設されたLIFE関連の加算を算定する際、リハビリテーションの目標については、コード表を用いた入力をします。リンク先: LIFE利活用の手引きP25 図表 8 およびP39 P46 をご参照ください)
本人・家族への生活指導の内容を、自主トレーニングの内容と併せて記載します。
リハビリテーション実施上の留意点について、リハビリテーション開始前・訓練中の留意事項、運動負荷の強度と量等を該当箇所に記載します。終了の目安・時期についても、時期の見通しを記載します。
また、事業所の医師が利用者に対して3カ月以上のリハビリテーションの継続利用が必要と判断する場合には、リハビリテーションの継続利用が必要な理由とその他介護サービスの併用と移行の見通しをリハビリテーションの見通し・継続理由欄に記載します。
(6) 特記事項 (1)から(2)の項目以外に記入すべき事項があった場合に記載します。
(7) 環境因子
家族、福祉用具等、住環境、自宅周辺の環境、利用者が利用できる交通機関の有無、その他のサービスの利用について、課題があった場合に該当箇所にチェックします。あわせて、福祉用具と住環境については調整の状況及び調整状況についても該当箇所にチェックします。具体的に記載すべき課題がある場合は備考に記入します。
(8) 社会参加の状況
過去と現在の参加の状況(家庭内での役割や余暇活動、社会活動及び地域活動への参加など)を聞き取り、この取り組みを今後継続する意向があるかどうか確認します。
さらに、サービス利用終了後の生活に関して、利用者と家族と共有するため、通所リハビリテーション利用終了後に利用を希望する社会参加等の取組に関して聞き取ります。
(9)活動(IADL)※Frenchay Activity Index を活用
下記を参考に現在「している」状況について評価を行い、リハビリテーション開始時点および現在の状況を該当箇所にその得点を記載します。
(10) 「活動」と「参加」に影響を及ぼす課題の要因分析
能力および生活機能の障害と、それらの予後予測を踏まえて、本人が希望する活動と参加において重要性の高い課題、活動と参加に影響を及ぼす機能障害の課題と機能障害以外の要因を分析し、簡潔にまとめて記載します。
(11)リハビリテーションサービス リハビリテーションの提供計画については、(10)で分析した課題の優先順位をつけ、順位に沿って、目標(解決すべき課題)、目標達成までの期間、担当職種、具体的支援内容、サービス提供の予定頻度、時間について記載します。
具体的支援内容欄には、リハビリテーション会議を通して検討し、利用者またはその家族が合意した提供内容について記載します。
※LIFE関連の加算を算定する際は、具体的支援内容については、コード表を用いた入力をします。リンク先:LIFE 利活用の手引きP32 図表 9 およびP40 P46 をご参照ください。
また、利用者の家族や居宅サービス計画に位置付けられている他の居宅サービスの担当者と、利用者の居宅に訪問する場合、その助言内容についても、あらかじめ分かる範囲で記載します。
さらに、居宅や通所施設以外でリハビリテーションを実施する場合は、あらかじめその目 的、内容、場所についても記載します。
(12) 情報提供先 リハビリテーション計画書は、介護支援専門員や計画的な医学的管 理を行っている医師、居宅サービス計画に位置付けられている居宅サ ービスの担当者と、その写しを共有すること。また、当該計画に関する 事項について情報提供をした場合は、該当の情報提供先にチェックします。
・21年度介護報酬改定では、リハビリテーション・機能訓練、栄養管理、口腔管理の取り組みを一体的に運用して自立支援・重度化防止を効果的に進めるため、リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理、口腔管理に関する各種計画書について、重複する記載項目を整理し、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式が設けられました。
これに関連して、指定の一部様式で計画書を作成した場合は、リハビリテーション計画書の作成に代えることができます。
参考:3月16 日厚労省通知「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」
・計画書は2年間保存する必要があります。 ・訪問介護員などほかの居宅サービス事業所の担当者に情報提供を行い、利用者のよりよい在宅生活を支援するものとなるよう配慮が必要です。 ・全体のケアマネジメントとリハビリテーションマネジメントとの両者におけるアセスメントや計画書の基本的考え方や表現などが統一されていることが望まれます。
(注)記事の内容は、2021年4月末時点の情報を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開された場合、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。配信日:2021年6月25日