同一建物等減算とは、事業所と同一の建物等に居住する利用者に対してサービス提供等をする場合の適正化を勘案した減算です。訪問系サービスと通所系サービスでは要件、適用範囲等が異なります。
2021年度介護報酬改定では、同一建物等減算を適用した場合の支給限度基準額の算定を見直す改定が行われました。ここでは訪問系サービスにおける同一建物減算について、詳しく説明します。
・訪問介護 ・(介護予防)訪問入浴介護 ・(介護予防)訪問看護 ・(介護予防)訪問リハビリテーション ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・夜間対応型訪問介護 ・通所介護 ・(介護予防)通所リハビリテーション ・地域密着型通所介護 ・(介護予防)認知症対応型通所介護
訪問系サービスにおいて、以下のいずれかの要件を満たす場合に同一建物減算が適用されます。
・事業所と同一敷地内建物等(※1)に居住する利用者にサービスを提供した場合 ・同一敷地内建物等以外の建物で、1月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等(※2)に居住する利用者にサービスを提供した場合
※1) 「同一敷地内建物等」とは、「事業所と構造上または外形上、一体的な建築物」、及び「同一敷地内並びに隣接する敷地(事業所と建築物が道路等を挟んで設置している場合を含む)にある建築物のうち、効率的なサービス提供が可能な建物」を指します。
具体的な該当例は以下の通りです。 ・建物の1階部分に事業所がある場合 ・建物と渡り廊下でつながっている場合 ・同一敷地内にある別棟の建築物 ・幅員の狭い道路を挟んで隣接する場合
※2) 同一の建物に20人以上居住する建物とは、「同一敷地内建物等に該当しない建物」であり、「その建物に、その事業所の利用者が20人以上居住する建物」を指します。
※「同一建物に居住する利用者が1月あたり20人以上(または50人以上)である場合の利用者数」とは、事業所とサービス提供契約のある利用者のうち、該当する建物に居住する者の数を指します。算定月の前月等ではなく、算定月の実績で判断します。
同一建物等減算の適用に関する留意事項は以下の通りです。
・減算を受けている利用者と受けていない利用者との公平性の観点から、同一建物減算を受けている利用者の区分支給限度基準額を計算する際は、減算前の単位数を用います。なお、区分支給限度基準額を超える場合、管理に際して区分支給限度基準額の超過分に同一建物減算を充てることはできません。
・月の途中に減算の適用を受ける建物に入居した、または退居した場合、月の全てのサービス提供部分が減算の対象となるのではなく、入居した日から退居した日までの間に受けたサービスについてのみ減算の対象となります。
・「同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物」であっても「サービス提供の効率化につながらない場合には、減算を適用すべきではないこと」と明記されています。よって、例えば、「広大な敷地に複数の建物が点在する場合」や「幹線道路や河川などにより敷地が隔てられており、迂回が必要な場合」など、事業所と同一建物の利用者を訪問する場合とは移動時間が明らかに異なるものについては、減算対象とはなりません。
・事業所ベース……24.29%(10%減算)、1.40%(15%減算) ・件数ベース…0.77%(10%減算)、0.11%(15%減算) ・単位数ベース…3.08%(10%減算)、0.71%(15%減算)
※いずれも2019年3月サービス提供分
※出典:第182回 社会保障審議会介護給付費分科会資料