居宅介護支援の実地指導(運営指導)・監査に必要な書類とチェックリストとは?

2023.01.30
2023.09.19
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居宅介護支援は介護保険法に基づくサービスを提供しています。そのため、指定権者(市町村)によって法令を順守しているか定期的に確認を受けることになります。このチェックが運営指導(実地指導)です。

運営指導の実施についての通知が届いた事業者の中には、「運営指導で指摘を受けるとどうなるの?」や「前回の実地指導から時間が経っているから、何を準備すればいいかわからない。」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方に向けて、この記事では、実地指導・監査の必要書類とチェック項目について解説しています。

目次
    行政指導(実地指導・集団指導)と監査の違いとは?
    居宅介護支援の実地指導監査に必要な書類とは?
      居宅介護支援の実地指導の標準確認項目とは?
        居宅介護支援の実地指導のチェックリスト・自己点検票とは?
          居宅介護支援の実地指導対策のポイントとは?
            まとめ

              行政指導(実地指導・集団指導)と監査の違いとは?

              行政指導(運営指導・集団指導)と監査の違いとは、行政指導を実施する目的は「サービスの質の確保と保険給付を適正化すること。」であるのに対し、監査を実施する目的は「運営基準違反等の可能性がある場合に、その内容を的確に把握すること。」というように、実施の目的が異なる点が挙げられます。

              行政指導(運営指導・集団指導)と監査の関係性については、以下の図のようになっています。

              居宅介護支援の運営指導(実地指導)とは?

              運営指導(実地指導)とは、サービスの質の確保と保険給付の適正化を目的とし、指定権者(市町村)が、指定の有効期間中(6年間)に少なくとも1回以上、原則事業所を訪問して、法令の遵守等を確認することです。

              以前は『実地指導』という名称で行われていたこの指導は、確認する内容によってはオンラインツールを活用して実地にて行わない場合もあることから、2022年に『運営指導』という名称に変更されました。

              指定権者(市町村)が運営指導で実施する指導は以下の3つとなります。

              (1)介護サービスの実施状況指導

              (2)最低基準等運営体制指導

              (3)報酬請求指導

              運営指導が行われた結果、『指導なし』または、指摘事項の程度に応じて『助言』、『口頭指導』、『文書指導』といった指導等を受けることになります。

              (1)介護サービスの実施状況指導

              介護サービスの実施状況指導では、利用者様に対して適切なサービスを提供しているかをチェックするために、施設設備の状況や利用者様等に対するサービスの提供状況などを、実地で確認されます。

              (2)最低基準等運営体制指導

              最低基準等運営体制指導では、サービス種別ごとの基準等に規定されている運営体制を満たしているかどうか、確認されます。

              ※原則実地で行われます。現場に行かなくても確認可能と判断された場合、オンラインツールを活用し、実施されることがあります。

              (3)報酬請求指導

              報酬請求指導では、不正請求を防止するために、適正に介護報酬を請求しているかどうか、確認されます。

              ※原則実地で行われます。現場に行かなくても確認可能と判断された場合、オンラインツールを活用し、実施されることがあります。

              居宅介護支援の監査とは?

              監査とは、不正や法令違反が認められる場合やそのおそれがある場合に、内容を的確に把握することを目的として、指定権者(市町村)が、事業所の訪問または関係者の出頭を通して、法令の遵守等の状況を確認することを指します。

              監査は、運営指導(実地指導)の結果、不正の疑い等が発覚して実施されるケースが多いです。不正の疑い等とは、具体的には以下の4つのうちいずれかに当てはまるものです。

              (1)人員、施設設備、運営基準に従っていない状況が著しいと認められる場合またはその疑いがある場合

              (2) 介護報酬請求について不正または不正の疑いがある場合

              (3)不正の手段による指定等またはその疑いがある場合

              (4)高齢者虐待等があるまたはその疑いがある場合

              そして、監査の結果、違反・不正行為が認められた場合は、その内容に応じて、改善を求める『改善勧告』や『改善命令』、行政処分である『指定の一部効力停止』『指定の全部効力停止』『指定取消』が行われます。

              居宅介護支援の実地指導監査に必要な書類とは?

              居宅介護支援の運営指導(実地指導)や監査に向けてどのような書類を準備すればよいのかご紹介します。

              運営指導で確認される書類は、厚生労働省から『標準確認文書』として示されています。

              *参考:厚生労働省 確認文書

              確認文書
              重要事項説明書 (利用申込者又は家族の同意があったことがわかるもの)
              内容及び手続きの説明の理解にかかる利用申込者の署名文書
              利用契約書
              アセスメントシート
              サービス担当者会議の記録
              居宅サービス計画
              支援経過記録等
              モニタリングの記録
              個別サービス計画
              勤務実績表/タイムカード
              勤務体制一覧表
              従業者の資格証
              管理者の雇用形態が分かる文書
              管理者の勤務実績表/タイムカード
              介護保険番号、有効期限等を確認している記録等
              運営規程
              雇用の形態(常勤・非常勤)がわかる文書
              研修計画、実施記録
              方針、相談記録
              業務継続計画
              研修及び訓練計画、実施記録
              感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための対策を検討する委員会名簿、委員会の記録 、指針、研修の記録及び訓練の記録
              個人情報同意書
              従業者の秘密保持誓約書
              パンフレット/チラシ
              苦情の受付簿
              苦情者への対応記録
              苦情対応マニュアル
              事故対応マニュアル
              事故発生時の市町村、家族等への報告記録、再発防止策の検討の記録
              虐待防止のための委員会の開催記録、虐待の発生・再発防止の指針、研修計画、実施記録、担当者を設置したことが分かる文書

              居宅介護支援の実地指導の標準確認項目とは?

              居宅介護支援の運営指導(実地指導)当日に確認される項目は、厚生労働省から『標準確認項目』として示されていますので、その一部を抜粋してご紹介します。

              *参考:厚生労働省 確認項目

              【人員】

              • 利用者に対し、従業者の員数は適切であるか
              • 必要な資格は有しているか
              • 専門員証の有効期限は切れていないか
              • 管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合、兼務体制は適切か

              【運営】

              • 利用申込者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか
              • 重要事項説明書の内容に不備等はないか
              • サービス提供は事業所の介護支援専門員・従業者によって行われているか
              • 資質向上のために研修の機会を確保しているか
              • 性的言動、優越的な関係を背景とした言動による就業環境が害されることの防止に向けた方針の明確化等の措置を講じているか

                など

              居宅介護支援の実地指導のチェックリスト・自己点検票とは?

              自己点検票とは、事業所が自己点検するための様式で、介護保険法に定められる基準(人員基準・運営基準)や介護報酬の算定が適正に行われているかどうかチェックします。

              運営指導の前には自己点検票を用いて事業所の状況を確認することが求められますので、指定権者のホームページから自己点検票の様式をダウンロードして入力しましょう。

              ここでは、東京都目黒区が公開している居宅介護支援の自己点検票を参考に、その内容の一部をご紹介していきます。

              【人員に関する基準】

              • 事業者が、事業所ごとに1以上の員数の指定介護支援の提供に当たる介護支援専門員であって常勤のものを置いているか。
              • 介護支援専門員の員数は、利用者の数が35又はその端数を増すごとに1以上を基準として配置されているか。
              • 事業者は、事業所ごとに常勤の管理者を置いているか。
              • 管理者は、主任介護支援専門員であるか。

              【運営に関する基準】

              • 事業者は、指定居宅介護支援の提供開始前に、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、運営規程の概要その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記載した文書(重要事項説明書)を交付して説明を行い、利用申込者の同意を得ているか。
              • 事業者は、通常の事業の実施地域等を勘案し、利用申込者に対し自ら適切なサービスを提供することが困難である場合、適当な他の事業者の紹介その他必要な措置を講じているか。

              【介護報酬】

              • 運営基準減算
                • 指定居宅介護支援の提供の開始に際し、あらかじめ利用者に対して、利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることが出来ることについて、文書を交付して説明を行う。
                • 居宅サービス計画の新規作成及びその変更に当たって、利用者の居宅を訪問し、利用者及び家族に面接の実施。

                  など

              • 初回加算
                • 新規に居宅サービス計画を作成。
                • 要支援者が要介護認定を受けた場合に居宅サービス計画を作成。
                • 要介護状態区分が2区分以上変更された場合に居宅サービス計画を作成。

              居宅介護支援の実地指導対策のポイントとは?

              運営指導(実地指導)において指摘・指導を受けないためにどのような対策が必要になってくるのか、ポイントをいくつかご紹介します。

              • 日頃から書類を整理する。
              • 日頃から定期的に書類の不備がないかを確認する。
              • 利用者様の個人情報は個別にファイリングするなど、個人情報保護の観点から適切に保管を行う。
              • 重要事項説明書に記載されている営業日や苦情相談窓口などが最新の情報になっているか確認する。
              • 基本報酬、加算の算定要件を理解し、要件を満たした上で算定しているかを確認する。
              • 従業者や管理者の業務内容が変更された場合は雇用契約書を取り直すか辞令書等で明記する。

              まとめ

              居宅介護支援における運営指導(実地指導)・監査について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

              運営指導で指摘を受けないためには、自己点検票や標準確認文書等を準備した上で、抜け漏れをなくすためにも、日頃の書類作成、整理、保管がとても大切になっています。

              ここでご紹介した内容が、皆様の事業所運営のお役に立てば幸いです。

              最後までお読みいただきありがとうございました。

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