令和3年度 介護報酬改定(訪問看護)についての進捗最新情報

2020.12.17
2021.03.20
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2020年10月22日の社会保障審議会(第189回介護給付費分科会)で、訪問看護の報酬・基準について検討されました。

【訪問看護に関して、論点として挙げられたのは3つ】

①退院日当日の訪問看護

②在宅療養を支える訪問看護提供体制

③役割を踏まえたサービスの提供

因みに、2020年8月3日の第181回介護給付費分科会における事業者団体ヒアリングでは、一般社団法人日本訪問看護事業協会は、以下について要望しています。

・看護体制強化加算について、看護職の人員基準を設け、看護職が全体の60%以上とする要件の追加

・入院・入所時の医療機関等への情報提供の評価(訪問看護情報提供料の新設)

・緊急時訪問看護加算を診療報酬の24時間対応体制加算と同額に改定

今回は、このようなヒアリングをもとに、厚生労働省から検討の方向(案)が示され、議論が進みました。

①退院日当日の訪問看護について

訪問看護の退院日当日のサービス提供は医療保険の場合、特別訪問看護指示書による訪問、介護保険の場合は特別管理加算対象者の場合と限定されています。しかし、退院日当日に訪問が求められる利用者は上記だけではありません。

『退院当日に訪問が必要なケース例』

・単身高齢者などの療養環境を整える必要がある方

・退院に対して不安が大きい方

・退院日当日から処置が必要な方

・服薬管理が必要な方など

「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」では、入院・入所施設からの退院当日の訪問の要請は37.9%、(内、看護師の訪問の要請は28.7%)その中で、31.8%の利用者には訪問看護費を算定しなかったというアンケート結果がありました。

『対応の方向(案)』

「一定の条件の下、退院当日の訪問看護を算定可能としてはどうか」という議論がされました。

今後も議論が続きますが、背景には早期退院や在宅で医療依存度の高い方が住み慣れた環境で過ごすためにも、療養環境を早期に整える観点から議論が必要な内容です。

②在宅療養を支える訪問看護提供体制について

今後増加が見込まれる利用者の医療ニーズに対応するため、看護体制強化加算と緊急時訪問看護加算について議論されました。看護体制強化加算とは、充実したサービス提供体制の事業所を評価し、一定の要件を満たす事業所に対しては600単位または300単位と加算されるものです。

2019年12月時点で、看護体制強化加算Ⅰを算定している事業所は2.6%、看護体制強化加算Ⅱを算定している事業所は4.7%です。

『医療ニーズに対応する為に必要な加算になのに算定率が低い訳』

今後、ますます医療ニーズに対応する為に、必要な加算にも関わらず、算定率が低い理由は「算定するための要件」にあります。

1、算定月の前6月間における利用者総数のうち、緊急時訪問看護加算を算定した割合が50%以上

2、算定月の前6月間における利用者総数のうち、特別管理加算を算定した割合が30%以上

などがあります。

訪問看護の場合、原則事業所の都合により、利用者の受け入れを拒否することはできません。そのため、様々な利用者から訪問看護の依頼があり、緊急時訪問看護加算、特別管理加算の算定割合を維持することが困難です。

その根拠となるデータとして、「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」では、看護体制強化加算を算定できない理由について、「特別管理加算の対象となる利用者が少ない」と答える事業所が55.0%となっています。

『検討の方向(案)』

「要件の見直しを検討してはどうか」と議論されています。今後、医療ニーズの高い方の増加が見込まれることや現時点での算定率の低さ等から今後も議論が必要です。

③役割を踏まえたサービスの提供について

訪問看護サービス及び介護予防訪問看護サービスの役割や、理学療法士等によるサービス提供の状況等も踏まえて、各種加算も含めた評価の要件や内容の見直しについて議論されました。

令和2年度の診療報酬改定では、理学療法士等による4日以上の訪問の場合、基本療養費を減額、機能強化型加算に看護職員の割合を要件に追加、適正な方への訪問を推進するためにも訪問看護計画書に訪問職種の記載を義務化するなどの措置をとっています。

背景として、2019年度の訪問看護費の総請求回数に占めるリハ職のサービスの割合は53.9%にのぼっており、理学療法士等が10名以上の事業所数は20カ所(2009年)→205カ所(2017年)へと約10倍に増加しています。

『意見の内容』

東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)

岡島さおり委員(日本看護協会常任理事)

江澤和彦委員(日本医師会常任理事)

「すべての訪問看護ステーションに“看護職員割合”の基準を設けるべき」

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)

「リハビリ専門職による訪問看護の制限(一定回数以上、リハビリ専門職が訪問した場合には減算を行うなど)」「要支援者への訪問看護の給付除外」を提案

武久洋三委員(日本慢性期医療協会)

「軽度の利用者は訪問看護にリハビリを求め、重度者は医療的ケアを求めるという自然の成り行きとも思える。厳しいペナルティは設けるべきではない」

眞鍋老人保健課長(厚生労働省老健局老人保健課)

「訪問リハビリや市町村の地域支援事業などを活用する選択肢もある」

等の意見がありました。

ただ、理学療養士等(常勤換算)の割合でいうと、60~80%未満の事業所は4.3%、80%以上は0.4%と低い実態があります。

利用者・家族のニーズから生まれた結果であるため、「リハ職の訪問看護が良くない」というわけではありません。

また、この内容について理学療法士等の協会及び団体が議論に参加していないことも事実です。

今後、①②③に関しては、今後の事業運営に大きく影響する事柄であり、時流に対応した適切な舵取りの為に注目していく必要があります。

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参考資料

・平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和元年度調査)「訪問看護サービス及び看護小規模多機能型居宅介護サービスの提供の在り方に関する調査研究事業報告書」

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000685774.pdf

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